防大かわら版vol144

2022年11月24日

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◯掲示内容一覧
 ・秋季定期訓練参加所感【各大隊】

秋季定期訓練参加所感【各大隊】

山内学生
 10月17日0430(朝4時半)、眠い目をこすり北富士演習場に向け出発した。この1週間の秋季定期訓練では、16㎞徒歩行進、野営訓練、地図判読及び戦闘訓練を行った。特に、16㎞徒歩行進と地図判読において、幹部自衛官として必要なことを学ぶことができた。
 16㎞徒歩行進では、当日の背嚢は校内で訓練した時よりも入組み品が多くかなりの重さとなり、肩がちぎれそうな程痛かった。周りの学生も痛みで顔が歪んでいた。しかし、いざ徒歩行進を開始すると、校内での事前訓練とは異なり、隊列から遅れたり、もう無理だと弱音を吐いたりする者は少なく、訓練班全体の成長を感じた。私自身、途中で背嚢の肩紐の片方がちぎれるというアクシデントに見舞われたが、その際、教官や助教が速やかに対応にあたっている姿を見て、幹部自衛官には、全体をよく見て、部隊・隊員が困っていることに素早く対応する力が必要であると感じた。
 地図判読では、草が生い茂るなか、曲がるべき道を見つけることや、現在地を把握することがとても難しかったが、普段知らない場所での訓練であり、貴重な体験をすることができた。また、足場が悪く通ることが難しい道に遭遇した際は、幹部自衛官として部隊を率いる際、自分だけでなく隊員が通れるかどうかを基準に経路を考えなければいけないということを学ぶことができた。
 この秋季定期訓練は、これまでに行ってきた訓練の集大成であり、形式的な訓練ではなく状況を想定した実戦的な訓練ができた。2学年進級時には陸海空要員へと分かれていくことになるが、今回の訓練で学んだことを基礎としこれからの訓練に臨んでいきたい。

姫田学生
 私たち1学年は、10月下旬に北富士演習場と校内にて秋季定期訓練を実施した。5日間で宿営基礎、地図判読、16km徒歩行進、戦闘訓練などを行った。その中でも、私は宿営基礎と戦闘訓練が特に記憶に残っている。
 宿営基礎は、宿営地に天幕(テント)を張り、飯盒炊飯を行い、歩哨(監視する壕を作り、敵の偵察や攻撃に対して警戒を行う者)や動哨(移動しながら警戒や見張りをすること)による警戒を実施しながら就寝態勢をとった。私は歩哨、動哨を深夜2時から3時の間で勤務したが、昼間と夜間では視界や音の聞こえ方が違うことを実感し、貴重な体験となった。
 戦闘訓練は、ドーランや周辺の植生を利用した偽装、分隊による攻撃要領などを実施した。私は、分隊による組前進の際に組長として参加したが、他の組とうまく連携しながら前進することが非常に難しく、改めてコミュニケーションの重要性を感じた。また、訓練が終了した後に偽装で使ったドーランを落としきれず、多くの上級生に顔色が悪いと心配していただいたのは良い思い出である。
 今回の定期訓練では、同期との団結力、絆、信頼がより強固なものなった。また、教官及び助教の方々からは、幹部自衛官を目指す私たちにとって重要となる考え方や立ち振る舞い、その他注意するべき点などを懇切丁寧に指導していただいた。これらのことを今後の防衛大学校における生活や各種訓練、行事等に生かし、将来の自衛隊生活を充実させていく所存である。

大野学生
 私たち1学年は、防衛大学校及び北富士演習場にて、10月17日から5日間の秋季定期訓練を行った。訓練内容は校内において「射撃と運動」、北富士演習場において「16㎞行進」、「天幕による宿営」及び「地図判読」などの基礎的な訓練を実施した。様々なことを学んだが、特に印象に残った2つのことについて述べていきたいと思う。
 1つ目は、「16km行進」である。背嚢を背負い、銃を持って行進するというものである。富士山の麓での実施ということもあり、起伏が激しく距離を歩けば歩くほど辛くなっていったが、班の全員がフォロワーシップを発揮して完歩することが出来た。同期の支えだけでなく、部隊から助教として来ていただいた隊員の方々の笑顔になれるようなお話やアドバイスも大きな力となった。
 2つ目は、「天幕による宿営」である。この訓練では、天幕の設営、飯盒炊飯の2つを主に行った。天幕の設営は校内で訓練したこともあり、速やかに行うことが出来たが、不安定な地盤や連携ミスにより設営するのに大変時間がかかってしまった班もあった。飯盒炊飯は同期全員で正しい手順・時間でおいしいお米を炊くことができ、楽しいひと時を過ごすことが出来た。夜は寒さに悶えながら、交代で歩哨や動哨を行った。厳しい環境において訓練を実施していくことの厳しさを痛感した。
 このように、我々1学年の秋季定期訓練は非常に充実したものになった。特に本訓練を通して改めて同期の大切さが感じられた。また、私は器材係を担っていたので係勤務を行ううえでの責任感の重要性も強く感じた。他にも新たに経験できたことが多々あり、この秋季定期訓練は私の中で貴重な財産になった。今後も常に向上心をもって、様々な訓練を経験し、学んでいきたいと思う。

柿元学生
 私たち訓練10班は北富士演習場及び校内での5日間、訓練担当指導教官の「一致団結、感謝の気持ちを忘れるな」の要望事項の下、訓練を行った。訓練内容としては戦闘訓練、野営基礎、16キロ行軍などであった。
 野営基礎においては、飯盒炊飯、歩哨を行った。燃料不足により火力を持続させることが難しかったが、何とか炊飯を成功させようと皆で知恵を絞りあった。助けてくださった助教への感謝の気持ち、日頃満足に食事をとれていることへの感謝の気持ちを再認識した。16キロ行軍では、前日からの北富士の想像を遥かに上回る寒さによる疲労、整っていない足場、起伏の激しさなどにより決して楽な道のりではなかった。そんな時には励まし合う仲間の存在が欠かせなかった。戦闘前の移動手段としての徒歩行進であり、いかに体力を残してたどり着けるかが課題であった。各人が分隊長の学生の下、工夫をしながら、確実に1歩1歩を歩み、誰一人として欠けることなく完歩することが出来た。
 この秋季定期訓練は学びの多い濃い時間であった。仲間、全力でバックアップをしてくださる方々、日頃の生活への感謝の気持ちを再認識した。仲間と見上げた富士の星空は格別であった。

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