防大かわら版VOL.133

2021年09月10日

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◯掲示内容一覧
 ・遠泳訓練参加所感【各大隊】
 ・夏季定期訓練参加所感【各学年・各要員】
 ・中期学生隊学生長としての決意・抱負
 ・中期大隊学生長としての決意・抱負【各大隊】

遠泳訓練参加所感

大古場学生
 防衛大学校では7月の約1か月間は夏季定期訓練が実施される。その夏季定期訓練の中で1学年のメインとなる訓練は東京湾での8km遠泳である。
 私は防衛大学校に入るまでは泳ぎが大の苦手であった。平泳ぎでは50m泳ぐのがやっとで正直海面で8kmなんて絶対に無理だと思っていた。しかし、プールでは30分、45分、60分、90分、120分。海面では1km、2km、3km、4kmと段階的な訓練内容が着実に私の泳力を伸ばしていった。また、心が挫けそうなときには一緒に泳いでいる同期や指導官の方々が励ましてくれた。そうして一度も脱落することなく遠泳訓練当日を迎えることができた。7月20日、遠泳当日は天気にも恵まれ晴天下での遠泳となった。前日には上級生の方々から激励を受け、私たちは全員で完泳する気概で満ち溢れていた。しかし、当日は水温が上がったことによって、いままではいなかったクラゲが大量に発生しパニックに陥る学生が多く見られた。そのような中でも、声をかける学生、後ろから押してあげる学生など何とか全員で完泳できるようにみんなが団結した。そうして私の区隊は誰一人脱落することなく完泳することができた。
 私はこの8km遠泳を通して真の団結について学ぶことができたと思う。今後さらなる困難に向き合ったとしても、今回学んだ団結心を持ってすれば必ず乗り越えていくことができるだろう。  

遠泳中の様子

佐々木学生
 夏季定期訓練、1学年最大の山場である8km遠泳。私は、もともと水泳は得意であったが、海で泳いだ経験はほとんどない上、泳ぐ場所はクラゲだらけで決して綺麗とは言えない東京湾、また、約50名の組員を先頭で率いる組長を任せられ、不安でいっぱいであった。
 プールでの訓練では、長い時間全く変わらないペースで泳ぎ続けること、組員が遅れることのないように調整しながら泳ぐことの難しさを感じた。30分、60分、120分と時間が延びていき、皆が泳ぐことに自信を持ち臨んだ海面訓練では海で泳ぐことの大変さを思い知らされた。プールではなかった波や潮流が私たちの隊列を崩し、進む勢いを止める。それまでプールでは楽に泳げていた人も中々前に進めない。正直、海面訓練の始めは「本当に8km完泳できるのか?」と思った。組長が潮に流されてしまうと組全体が流され、組長のペースが速すぎると遅れる者が出てくるため、潮流、組長等、気を配らなければならないことが多い上、ただでさえ慣れない海、毎回必死で泳いだ。
 そして、8km遠泳本番。天気は快晴、波も穏やかで絶好の遠泳日和であった。訓練では泳いだことのない8kmは想像以上に長かったが、今までの訓練の成果もあり、全員で完泳することができた。
 この訓練を通じて、仲間と協力して最後まであきらめないこと、多くの人を率いる難しさを学ぶことができた。

屋外プールでの訓練の様子

海面訓練の様子

新見学生
 私は、遠泳という行事を乗り越えて以前の自分より成長したと自信を持って言うことが出来る。
 私は泳ぐ事が大の苦手あった。案の定私は、水泳検定において水泳補備訓練者として判断されてしまった。補備訓練が始まった当初は、泳げない事に不安を覚えてはいなかった。私の中で何事も真面目に取り組めば出来ないことは無いと信じていた。そして、遠泳も例外では無いと考えていたからだ。毎日の校友会時間に教官の方々の指導のもと真面目に遠泳のための練習に励んだ。周りの同期はどんどん上達していった。私もそうなりたいと思い毎日、毎日プールに通い泳ぐ練習をした。しかし、現実はそう甘くはなかった、また一人また一人と水泳補備訓練を卒業していった。気が付けば同じ中隊の補備訓練者は、私一人になっていた。真面目に取り組めば出来ないことは無いという私の信条が崩れていくような気がした。何をすればいいのか分からなかった。何度もこれ以上泳いでも無駄ではないのかと思った。そんな時に私の頭に浮かんだのは、応援してくれる同期、家族や教官だ。応援してくれる人達に泳ぐ事を諦めたような恥ずかしい姿は見せることが出来ない。そう思って泳ぐことを続けた。同期から遅れはしたが日に日に上達をしていき、なんとか本番も泳ぎ切ることもできた。
 初めから上手くいっていた人には分からない気持ちを身をもって知ることが出来た。将来この経験を幹部自衛官として活かしていきたい。

遠泳訓練の様子

藤田学生
 6月中旬、遠泳訓練のための泳力判定、泳法判定が行われた。泳力判定では平泳ぎ100mのタイムを測定するのだが30mしか泳ぐことができず、泳法判定では全ての項目にチェックが付き、水泳補備者となった。毎日泳いでいくことで段々とコツを掴み、一週間ほどで水泳補備訓練を抜けることができ、それからのプールでの時間泳では困ることがなく海面訓練を迎えることができた。
 初めての海面訓練、焦りや緊張などは無くプールでの練習と同じようにできると思っていたが、海はそう甘くなかった。浜辺から見える美しい青色とは違って海中は隣の学生を確認することができないほど濁った緑色をしていて、独特の匂いと塩辛さ、高い波が泳ぐ邪魔をしてくる。だが悪いことばかりではなく、プールよりも体が浮き、立ち泳ぎをすることも可能であった。このような状況の中、徐々に距離を伸ばすことで海に慣れていった。
 7月20日、穏やかな波、いつも以上に透き通った海、照り付ける太陽と絶好調のコンディションで遠泳訓練本番が始まった。だが絶好調なのは私たちだけではなくクラゲたちも同様であった。シロクラゲに囲まれることや毒をもつアカクラゲに遭遇することがあり区隊内での声掛けが重要であった。
 最初は8kmなんて到底泳げないと思っていたがいざ始まってみればあっという間に終わった。この訓練を通して学んだ数々のことは私の人生においての宝となり、今後の生活をより充実させるものだと考える。  

夏季定期訓練参加所感(2学年陸上)

引野学生
 2学年陸上要員は、防衛大学校、武山駐屯地及び関山演習場において陸上戦闘の各個動作や行動要領について訓練を実施した。武山駐屯地と関山演習場では、校内で実施できない訓練を実施する環境が整備されており、充実した内容の訓練を行うことができた。様々な訓練を実施したが、その中でも特に印象に残っている訓練は各個戦闘と徒歩行進である。
 関山演習場で行った各個戦闘では、校内で実施したときよりも敵陣地までの距離が長く周りの植生が高いことから、教範では匍匐前進をしなければいけない距離も低い姿勢で走る動作を行うなど、より実戦的な訓練を行うことができた。実地の地形や植生に合わせて臨機応変な行動が必要不可欠であるということを実感した。
 徒歩行進では、高低差の激しい山道30kmを定められた荷物と装備で規律を維持しながら歩いた。開始時は軽いと感じた装備品も時間が経つにつれて自身の体に重くのしかかり、疲労と睡魔に襲われながら何度も足を止めそうになったものの、完歩した後の達成感と充実感は今まで経験したことのないものであった。
 本定期訓練を通じて、幹部自衛官となって部下を持つうえで、辛い顔や苦しい顔を見せないよう訓練担当指導教官から幾度となく指導された。今後は、体力面だけでなく精神面を鍛え、知識を増やすなど、さらに成長する必要があると感じた。 

夏季定期訓練参加所感(3学年陸上)

太田学生
 第3学年陸上要員の夏季定期訓練は、本州各地の普通科連隊に配属されて各部隊とともに約3週間の訓練を実施する。私は、高知駐屯地の第50普通科連隊へ、私を含めた8名で訓練に参加した。訓練の内容は、40km行進、分隊攻撃、野戦築城、機関銃射撃等である。これらは陸上要員として身につけておかなければならない知識や技能であるが、私にとっては困難なことも多くあり自己の未熟さを痛感するばかりであった。私が基本的なことで困難に陥っている間も、部隊の隊員は様々な任務を達成し、多国間演習でも活躍する精強さを持っていた。
 部隊の隊員が持っている精強さとは何に由来するのだろうか。それは、四国に駐屯する陸上自衛隊部隊を統べる第14旅団長の要望事項「プロであれ」が答えのすべてであると感じた。国防のプロフェッショナルとしての自覚が連隊の隊員ひとりひとりにあるからこそ、困難な任務も成し遂げる強い意志があるのだ。
 今回の実習を通して、恥ずかしながら私にはプロであることの自覚が不足していたことを痛感した。そのため、数年後部隊で勤務する時までに、プロの一人として活躍できるよう防衛大学校での訓練等を通して研鑽を積んでいきたい。  

夏季定期訓練参加所感(4学年陸上)

和田学生
 我々第4学年陸上要員は今夏、北海道東千歳駐屯地において約3週間にわたる訓練を行った。本訓練はこれまで防衛大学校で実施してきた各種の訓練を集約して行う、いわば集大成であり我々学生はこれまでの訓練の成果を発揮すべく奮励努力した。
 本訓練は主に前段「分隊防御」、後段「分隊攻撃」の構成で行われた。
 分隊防御訓練では1日目に野戦築城によって陣地を構築し、2日目にその防御陣地をもって防御戦闘を行った。野戦築城においては分隊長の学生の指揮のもと小銃用掩体(身を隠すための穴、写真左参照)及び機関銃用掩体の位置を選定し確実に射撃を実施できる陣地を構築した。1人当たり2つ以上の掩体を掘るという過酷な訓練であったが分隊で協力して時間内に陣地を構築することが出来た。2日目の防御戦闘では敵の砲爆撃、化学武器への対処訓練などを行いながら敵の攻撃を破砕した。
 分隊攻撃訓練では、まず1日目に約40㎞行進を行った後に集結地を占領し、2日目に敵陣地の偵察を実施、3日目に攻撃を実施した。行進から攻撃までの連続状況による疲弊した状態での訓練は今まで経験したことのない特に厳しい訓練であったが日頃の訓練の成果を発揮し敵を圧倒撃滅できた。
 最後に、本訓練実施のためにご尽力いただいた訓練隊長、担当教官、及び多忙な業務の中支援してくださった助教や支援部隊の方々に感謝を申し上げ、本訓練で学んだことを今後の資とし優秀な幹部自衛官となるべく日々の鍛錬を継続していきたい。

分隊防御の様子

戦闘訓練の様子

夏季定期訓練参加所感(2学年海上)

石井学生
 令和3年度夏季定期訓練において2学年海上要員は海事法規に関する座学、呉・江田島研修、乗艦実習等の貴重な体験を通じ海上自衛官として必要な基礎的識能について理解を深めることができた。
 海事法規に関する座学では一般的な海上での法律、港や航路によって異なる様々な特性など、海上航行のために必要な知識を得ることができた。
 呉・江田島研修においては潜水艦教育訓練隊、エアクション艇隊、海上自衛隊幹部候補生学校、てつのくじら館を研修した。特に印象に残っている研修は海上自衛隊幹部候補生学校研修である。1泊2日と短い期間であったが約3年後の生活を体験することができ、私自身の3年後の姿を想像することができた。また、防衛大学校65期卒業生との懇談を通じ、日々の生活の積み重ねがいかに大切であるか改めて感じた。
 乗艦実習では練習艦「しまかぜ」に乗艦し、艦内生活を通じて様々な躾事項等を学んだ。また、操艦訓練や航海当直を体験することで、より具体的に自身の将来像を描くことができるものとなり大変有意義であった。また、乗艦実習中に函館港に寄港し、北海道及び函館の歴史や特性を学ぶことができた。
 今回の夏季定期訓練を通じて海上自衛隊の魅力の一部を体験することができたと思う。今後の訓練においても様々な知識を習得し将来、海上自衛官として勤務するために必要な基盤を固める事ができるよう精進したい。

乗艦実習にて

練習艦しまかぜ

夏季定期訓練参加所感(3学年海上)

小林学生
 今年度の第3学年海上要員夏季定期訓練は新型コロナウイルスの影響により、例年の乗艦実習ではなく地方隊研修及び航空部隊実習を行った。
 クルーザー巡航をはじめ校内訓練においては副直士官演習や運動盤、カッターなどを行い海上要員としての基礎技能を概ね習得することができた。
 乗艦実習がなかったことは残念ではあるものの、普段あまり表舞台にでてこない後方支援部隊を多く研修することができ、いかにして前線部隊が運用されているのかを理解することができた点は今後幹部自衛官としての勤務において非常に大きな資となったと感じている。補給や造修、警備隊など彼らがいなければ護衛艦は動くことはできない、また自衛官だけでなく民間企業や技官の方々の支えがあって自衛隊が成り立っていることを知った。
 また、米海軍基地研修及び第7艦隊参謀長講話においては日米同盟の現場を肌で感じ、米軍は我々を一人の士官候補生として、また近い将来共にオペレーションを行う仲間として見ていると強く感じることができ大きな刺激となった。
 各研修先部隊において63期の方々などにお話を伺い、勤務している姿を拝見するとともに、教育隊の候補生ともお話をすることができ、近い将来の私たちの姿や立場を改めて具体的に自覚することができた。
 本訓練で得たことを次年度の訓練に生かし海上要員としての知識、技能のさらなる習得に努めていきたい。

夏季定期訓練参加所感(4学年海上)

中原学生
 夏季定期訓練で一番印象に残ったことはと言えば、毎年恒例の乗艦実習である。今年の乗艦実習は、新型コロナウィルスの影響で例年に比べ大幅に短い一週間弱という期間で実施された。「幹部候補生学校へ繋がるような実習にしたい」という意気込みで臨んだ防大最後の乗艦実習は、間違いなく海上要員としての3年間で一番充実したものであったと断言できる。
 今年の実習では航海指揮官としての占位運動や溺者救助訓練の実施、防火・防水訓練における現場班長の見学など、今までよりも幹部自衛官になった時に実際に自分が行う仕事に焦点を当てて実習にあたることができ、より鮮明な将来のイメージアップができた。そして何より、今年の乗艦実習はとにかく船の幹部の方々と話をすることができた。私が乗った護衛艦「てるづき」の方々には、職域の話はもちろん、今やるべきことや若手幹部として苦労した経験談、艦艇における良好な人間関係の構築方法、結婚のタイミング、貯金の話に至るまで、些細な質問に対しても夜遅くまで話をして頂いた。てるづきで教えて頂いたことは間違いなく幹部候補生学校だけでなく、その後の幹部自衛官としての将来に繋がるものであったと言える。ただでさえ多忙な幹部の方々が、我々実習員のためにここまで多くの時間を使ってくださったことには、本当に感謝してもしきれない。今回の乗艦実習で学んだ事を活かして、卒業までの時間を今回の実習と同様に充実したものにしたいと思う。

    水泳自主訓練の様子

乗艦実習の様子

夏季定期訓練参加所感(2学年航空)

石原学生
 航空要員となり約4か月が経過し2回目の定期訓練を迎えた。新型コロナウイルス感染防止のため様々な制約があったものの、校内訓練のほかに航空自衛隊基地研修及び航空機運用総合訓練を実施した。私は、この夏季定期訓練を通じて航空自衛隊の空中勤務特性や組織の構造を理解することができた。
 校内訓練では、部隊経験豊富な教官から航空法規及び航空機からの緊急脱出時の要領について教育を受けた。航空法規は自衛隊の航空機にどのような法規が適用されるかを学ぶため、民間機との違いに留意しつつ学ぶことができた。
 航空自衛隊基地研修では、入間基地を拠点とし、人員や物資の輸送を行う第2輪送航空 隊を1週間研修した。航空機運用の問題点や輸送航空隊の飛行隊や整備群、飛行場勤務隊から学んだ内容は校内では知りえない・体験できないことばかりだった。多忙な部隊勤務 の中、事前の資料作成や現場での説明をする時間を我々に割いていただき支援のありがたさを実感した。
 航空機運用総合訓練は、グライダー訓練と呼ばれ、航空自衛隊の組織的特徴である「掛け算の組織」を実感した。私は、グライダーの組み立て及び分解や飛行前点検を行う整備 分隊員として勤務した。整備分隊の作業が遅れると組織に0が掛け算されてしまい、航空 機を飛ばすことができなくなってしまうことから「掛け算の組織」を理解した。整備のような地上からの支援も空中勤務において重要であると学んだ。また、搭乗者としても勤務し、時速 170kmも出るグライダーに搭乗した。移動速度が速く停止ができないため、上空で瞬時に物事を判断しなければ事故につながることも学んだ。
 約1か月の夏季定期訓練を通じ、幹部となる身として、組織の掛け算においてプラスを掛けられるようにするためのアプローチを考えることが今後の私の課題であると感じた。組織の中の一員であり常に「掛け算」されているという感覚を忘れずに、今後も精進するつもりだ。

フライトの気象分析の様子

航空機総合運用訓練の様子

夏季定期訓練参加所感(3学年航空)

北川学生
 私は今回の夏季定期訓練で石川県の航空自衛隊小松基地において戦闘航空団研修を行った。小松基地は日本海側唯一の戦闘航空団である第6航空団が所在する基地で24時間の対領空侵犯措置態勢を維持している。そのような緊張感のある現場で勤務されている方々の声を聞くことができ非常に多くのことを学ぶことができた。
 研修を通して特に印象に残っている言葉は飛行群司令の「任務の中での感謝と感動を忘れない」である。災害派遣等の任務の中での国民からの感謝や自分自身が持った感謝の気持ち、任務完了の達成感による感動は自分の進むべき道が分からなくなった時に自分を助けてくれる力になることだと理解した。また、印象に残っている出来事は体験搭乗である。非常に貴重な経験になったのはもちろん、パイロットが普段見ている景色、任務の重要性、責任感や誇りを直接感じることができ、将来この任務に航空自衛官としてなんらかの形で関わることができることに感動を覚えた。
 また、各部隊では曹士、幹部問わず自分の任務に誇り、責任、情熱を持って取り組んでいる姿に触れ、国防に対する強い意識を感じた。学生である我々との大きな差を感じると共にそのような部下を持つ立場になる我々の責任の重さ、現状の力不足を痛感した。将来、部下を持つ者として相応しい努力を積み重ねたい。
最後になるがこれからの航空自衛隊は戦闘領域の拡大に伴い部隊改編等の大変革の時代に突入する。そのような激動の中で必要な能力を身につけ、この研修で得た感謝と感動を忘れずに自分の目指す理想の幹部像に向け一歩一歩確実に進んでいきたい。

飛行教導群研修

警備犬研修

夏季定期訓練参加所感(4学年航空)

西尾学生
 4学年航空要員の夏季定期訓練では、主に航空機運用総合訓練、校内訓練、松島基地での部隊実習を行った。ここでは特に印象的であった航空機運用総合訓練、部隊実習について述べる。
 航空機運用総合訓練では、2学年と合同で静岡県の富士川滑空場にて1週間訓練を実施した。ここでは航空機であるグライダーを運航するため、模擬航空団を4学年が主体となり運営することで団の任務を達成した。4学年にはそれぞれ役職があり、私は「安全班長」として勤務し、全体の安全事項の監督、注意喚起等を行った。安全事項が守られていない場合最悪死者が出ることもある訓練において、事故発生時にどう動くべきなのかを常に考える必要があり、安全事項の重要性、1人で全体を見ることの難しさを学んだ。
 松島基地での部隊実習では飛行群や整備補給群等の見学を行った。幹部自衛官との懇談もあり部隊での勤務について知ることが出来た。この研修で学んだ事は幹部候補生学校での職種選択に活かしたい。また松島基地は東日本大震災で大きな被害を受けており、部隊の方々に当時のお話を伺うことが出来たためとても貴重な機会であった。史跡研修では震災の伝承館に行き、当時の映像などを通じて自衛隊が活躍している姿を見た。このような活躍を見て、自分も将来災害派遣等で活躍したいと思った。

中期学生隊学生長としての決意・抱負

能勢学生
 今年度の学生隊年間目標は「誇り」である。この年間目標を達成すべく、前期の学生隊は学生間指導の実施方法や学生の食堂喫食要領に関して、見直しを実施してきた。この見直しを確実に定着させ、新しい防衛大学校の伝統を築くのがこの8月から始まる中期である。また、開校祭をはじめとする様々な行事や定期試験がある、この防大で最も充実した期間の学生隊方針を「メリハリ」とした。日常の生活と非日常である行事を繰り返す中期において、学生が誇りを持って生活していくためには、「メリハリ」が必要不可欠である。
 また、新型コロナウイルスもいまだ防衛大学校に大きな影響を与えている。学生には様々な制約がかかっているが、その中でも一人一人が目標を見失わずに、目の前のできることに全力で取り組んでいる。このような学生約2000名を指揮する立場にあることを誇りに思うとともに、その重責を感じる。中期の4ヶ月間、学生隊学生長として学生隊を「メリハリ」のあるより良いものとするために全力を尽くしていく所存である。

卒業式観閲行進にて

カッター訓練において

中期第1大隊学生長としての決意・抱負

中村学生
 中期大隊運営の方針を「大成」とした。前期第1大隊学生長である川島学生が掲げた「改政」という前期大隊運営の方針の通り、第1大隊は昨年度の新型コロナウイルスによる鬱屈した雰囲気を払拭し、新しい1大隊を作り上げバトンを渡してくれた。私は、このバトンを受け継ぎ、新たな1大隊を更に良いものにしていくことが使命だと考えている。
 新しい取り組みを始める時というのは何かと不具合や思い通りにならないことも多くあるが、新しいルールや取り組みを始めるための目的などは、まだ学生の中で曖昧で浸透していないのが現状である。中期を通して朝礼、各種教育及び情報共有等の機会を活用しこれらの取り組みを浸透させていかなければならない。また中期は、行事や競技会が多いという時期的特性とともに長い期間であるため、目標を見失いやすいという特性がある。行事等においては、私自身が競技会に参加して、1大隊の雰囲気を活性化し、1大隊としての団結を促進させる。また、規律違反が起こることによって、1大隊としての団結や士気が損なわれることがないよう、気を引き締めて勤務に臨む。中期1大隊学生長として、新しい1大隊を確立し、団結した1大隊を作り上げる所存である。

第1大隊本部にて

体操部にて

中期第2大隊学生長としての決意・抱負

釜坂学生
 私が掲げる中期第2大隊学生長勤務方針は「思考」である。
前期第2大隊学生長勤務方針は「試行」であり、その方針の下で試行錯誤を繰り返し、成長することを目指した。中期はそこからさらに発展させて、考え、思いを巡らせることに焦点を当てるために中期の方針を「思考」とした。
 また、現在の学生に必要なものとして思考力が挙げられる。組織の理想像と現状のギャップから問題点を見つけ出し、その原因、解決するための計画を練り、用いる手段を見出し、実践し、改善していくという問題解決能力は幹部自衛官にとって必要不可欠な資質である。この問題解決能力の基礎となるのが思考力であると考える。 しかし、現在、学生舎での問題解決に積極的に取り組もうとしている学生は少数であるように感じる。私は学生舎生活を通して問題解決のための思考力を1人でも多くの学生に身につけてほしいと考えている。そのために前期の「試行」で実践した事項の反省点や改善点、新しい挑戦などを第2大隊の学生で考え、議論しあう機会を少しでも多く設けていき、思考力を養う土台を構築していく。
 現在は新型コロナウイルスの影響で防衛大学校の方針や施策、学生舎運営には課題が数多く存在する。これは逆境ではなく、むしろ好機である。これらの課題に対し、長期勤務学生に限らず、上下級生を問わず学生の意見に耳を傾け、幅広い視点で議論しあうことで問題解決により近づき、学生の思考力も向上するはずである。
 学生自らが考え、問題解決に向けて努力する、「思考」の目標達成に向けて全身全霊で取り組むことを決意する。

卒業式観閲行進において

中期第3大隊学生長としての決意・抱負

林学生
 中期の特性として、期間が長く、前期や後期と比較して行事が集中している。同時に、この期間は中だるみの時期でもある。目指すべきは、規律を維持しつつ、行事では実力を発揮できる3大隊という組織の姿である。この目標の実践を継続していくためには、オンオフの切り替えを大切にしていく必要がある。規律の維持と祭りのような盛り上がり、この二つは相反するものではなく、両立できるものである。そのために、私の勤務方針を「メリハリ」とした。盛り上がるところは誰よりも盛り上がる、機とあれば全員で結束して助け合いながら実力を発揮したり、困難にも立ち向かうことができる、そんな3大隊という組織を追求できるように尽力していく。
 私はこの過程において、3大隊員相互の情のつながりを大切にしていきたいと考えている。理想とするものは、個人の実力の発揮で組織の力になり、実力を発揮することである。しかし、実際は、組織の利益のためには自分の不利なことも少なからずあるだろう。そんな中で、団結するためには、「3大隊の仲間のために」という、情の気持ちが必要不可欠になると私は考える。
 3大隊全員で団結した経験の一つ一つの積み重ねが、3大隊の年間目標である3大隊ブランドの醸成にもつながる。中期ではその経験をするまたとないチャンスである。前期からもらったバトンを、中期で少しでも前に進めて、後期に渡せるように勤務に励むことをここに決意する。

 校友会(柔道大会)の様子

中期第4大隊学生長としての決意・抱負

池田学生
 昨今のコロナ禍の情勢下において、私たちの生活様式は絶えず変化しているが、それを受けて、私たち防衛大学校学生もまた、状況に応じて変化していかなければならない。そういった中で中期は、様々な競技会や開校記念祭など行事が多く、前期・後期に比べて環境や雰囲気は、よりめまぐるしく変化していく。身の回りの環境が絶えず変化すると、その場の雰囲気に流されてしまう学生もいるとは思うが、そのような状況下で私たちに求められているものは、本質を見失うことなく、「在るべき姿」「自身の理想」を常に追求していくことであると考えている。
 そのために、私たちは常に自身の行動を省み、自らが主体的に考え、所属する組織のために率先して行動することはもちろん、一人一人が一致団結し、自主自律、規律維持の感化教導の輪を広げていかなければならない。私個人としても感化教導の輪を広げるために、話し合いの場を数多く設けるなど、皆が意見を述べやすいような環境・雰囲気づくりにも注力していこうと考えている。
 これらを4大隊の学生一人一人が意識し、行動すればどうなるのだろうか。年度最優秀大隊の称号を獲得すること、4大隊や防衛大学校学生としての帰属意識向上、そして、さらなる発展に寄与することができるなど、結果は計り知れないものになると思う。
 私は、4大隊員全員で、この4大隊をより自主自律を達成した、人格形成・人間関係構築の場としてふさわしい「より良い大隊」、常に高みを目指し「挑戦し続ける大隊」にしていきたいと考える。これらを実現するために、私は第4大隊学生長として職務を全うする所存である。

防大かわら版