防大かわら版VOL.128

2021年03月22日

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◯掲示内容一覧
 ・大韓民国空軍士官学校長期派遣所感
 ・DCE/ICC実施に際して


大韓民国空軍士官学校長期派遣所感

安田学生
 안(アン)녕(ニョン)하(ハ)세(セ)요(ヨ)!こんにちは!私は派遣学生として、清州にある韓国空軍士官学校に1年間滞在した。コロナの状況下で、外出・外泊等の制限はあったものの、授業・訓練等は通常通り行われた。
 訓練では、空軍ならではの科目が多く、特に空挺降下訓練と飛行訓練が印象に残った。空挺降下訓練は、夏季2週間に渡り、軍人として備えなければならない基礎知識と能力を身に付け、パイロットとして必要な陸上・海上・空中での生存能力を育てる訓練だ。強靭な体力づくりを基本として、落下傘の扱い方、航空機からの降下や着陸時の受け身の取り方等の訓練を受け、実際に輸送機からの降下を3回実施した。肉体的にも精神的にも非常に厳しい訓練ではあったが、その達成感は言うまでもない。飛行訓練では、シミュレータを使用した練習を積んだのち、実際に指導官と2人で練習機に搭乗する。上空では操縦桿を受け取り、指示された通りに操縦を行うという貴重な経験ができた。
 学科教育では、国際関係の科目とは別に航空体力管理論・航空戦史・航空宇宙法等、空軍士官候補生として習得すべき分野に特化した教育が行われていた。最初の3か月は語学の面で苦労することも多かったが、そのたびに素晴らしい仲間に助けられた。
 慣れない土地で緊張や不安も多かった。しかし、1年間の派遣を終えて言えることは、海外の士官候補生は非常にモチベーションが高く、士官になるという意識が強いことだ。防大生も、日頃から勉強や体力錬成等に励んでいるが、まだまだ成長できる余地はあると考える。派遣で得た知識・経験を活かして、そして世界一の士官学校を目指してこれから頑張っていきたい。

DCE/ICC実施に際して

小俣 学生

昨年から続く新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、多くの行事が中止・縮小となった。本来であれば24回目の開催となるはずであったICC(国際士官候補生会議:International Cadets Conference)も影響を受けた。昨年度のICCで、4大隊議長であった時は、急遽縮小となり、海外士官候補生招聘のないまま、防大内での開催となった。また、今年度は海外士官候補生の招聘は取りやめとなったことが実行委員長になった段階で通達されていた。
 しかし、ここで何もできず、コロナに打ち負かされては、防大の名が廃る。その一心で、実行委員会以下、大隊の各議長たちとともに考え、担当幹部の方と話し合った結果が、今回実施となったDCE(Domestic Cadets Exchange forum :国内士官候補生会議)と、在日米軍将校らとの交流会議ICC/UNEF(USFJ-NDA Exchange Forum)であった。
 前者は、海上保安大学校と防衛医科大学校の学生を防衛大学校に招聘し、相互理解を目的に交流会議を行うもので、後者については、在日米軍将校と防大生によって討議と発表を行い、交流を図るというものであった。いずれの会議も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響により、オンラインでの開催となったものの、実行委員会・各大隊議長は持てるすべての能力を発揮し、会議を実施することができた。
 そこで学んだことは、多く、この書面で書ききる事は不可能である。最大の教訓は「協同:Corporations」の重要性である。
 今日の安全保障環境は多様化し、厳しさを増し、平時からの国防体制の構築が重要となる。そのため、自衛隊は、多くの他省庁・国家と協力していかなくてはならない。その協力するパートナーが海上保安庁であり、米軍であり、自由主義を共有する諸外国であると今回の会議を通して実感した。
 この文章を書き終わるにあたり、DCE・ICCに関与した全ての学生、教官、職員の方々に感謝を申し上げる。この新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大を日本と世界の「協同」によって乗り越えられることを祈って、本文章の締めとする。

防大かわら版