防大かわら版VOL.126

2021年02月10日

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◯掲示内容一覧
 ・後期学生隊学生長としての決意・抱負
 ・後期大隊学生長としての決意・抱負【各大隊】
 ・冬季定期訓練参加所感【海・空・陸要員代表】
 ・入校へのアドバイス【各大隊】


後期学生隊学生長としての決意・抱負

池上 学生

今年度は前・中期学生隊学生長とともに年間方針「万里一空」~あるべき姿の追求~を掲げた。前・中期学生隊学生長の後を継ぎ、学生隊運営に全力を尽くす所存である。
 私は後期学生隊本部の勤務方針を「継承」とした。今年度は波乱の年である。新型コロナウイルスの影響はここ防衛大学校にも大きく及んだ。各種行事は中止・縮小となり、生活の一部であった一斉喫食や、中央ホールでの点呼なども無くなった。だが私は、今までの良き伝統・悪しき伝統のその意味を見直す良い機会であると考えている。後期はそれらを見直し、学生隊運営をより円滑・充実したものとした上で来年度の学生隊へ継承し、國分良成学校長の掲げる「世界一の士官学校」の実現を目指していく。
 学生隊学生長として学生の前に立ち勤務できることを誇りに思い、この任を全うする所存である。

  3学年時サンドハースト富士総合訓練にて

後期第1大隊学生長としての決意・抱負

伊藤 学生

この防衛大学校で得られる最大の成果とは何だろうか。国家防衛の志と強い責任感、いかなる状況下でも発揮できる冷静な判断力、素早く的確な判断をするための先見性と洞察力、新たな価値を創発・獲得するための戦略的思考力、戦略を実行するために人や組織を率いるリーダーシップ力、集団行動における協調性など、列挙すれば数々挙げられる。その中で、私の考える最大の成果は、様々な人と関わり合うことで涵養される人間性であり、心であると考えている。そんな背景から、私の後期の方針の中核を『心』とした。
 さて、後期という時期的特性上、この1年の、さらには4学年にとっては4年間の集大成を発揮する必要がある。学生はこれまで築き上げた努力を成果という形で残し、次学年ないしは幹部自衛官として新たな一歩を踏み出すことが求められる。また、この期は先を見据えた継承に重きが置かれる。この防衛大学校には今まで受け継がれてきた伝統があり、その核には心がある。率先垂範・自主自律を確立した上級生が背中で示し、下級生が積極性や向上心を以って貪欲に吸収していくことで、その心は継承され、伝統として根付いていくのであろう。第1大隊学生長の任に就く私は、微力ながらもその追い風となり、それらの気風を促す環境作りに尽力したい。
 以上のように「成果の追求」と「心の継承」という2つの事柄に着意し、防衛大学校の伝統に恥じぬよう、また、後期第1大隊学生長という職責を全うできるよう精勤する所存である。

韓国空軍士官学校への1年派遣にて

棒倒し競技会(2019年度)

後期第2大隊学生長としての決意・抱負

髙田 学生

 本年度の第2大隊の年間方針は「自主自律」である。この年間方針を達成するために、組織として自主自律の気風を醸成するとともに、個人においても高い理想を掲げ、それに向かい努力することが必要である。
 前期、中期の第2大隊学生長の尽力により、大隊としての自主自律の気風は完成されつつある。しかし、個人レベルでは、大隊としての変化に対応できていない学生が散見される。そこで私の後期第2大隊学生長としての勤務方針を「個人なくして組織なし」とした。防衛大学校ひいては自衛隊において求められる自主自律とは、組織としての自主自律であると私は考えている。しかし、組織というものはそれを構成する個人があってこそ成立し、個人レベルでの変革がなされてこそ、大隊としての自主自律が完成すると考えている。
 個人レベルの変革をもたらすためには、長期勤務学生や綱領委員会、週番学生が大隊員に対して自分の果たすべき役割や責任、2大隊員としての誇りを自覚させ、日々精進しなければならない。2大隊員のフォロワーシップを引き出し、各人に変革をもたらすことこそが私の任務であると考える。
 後期は本年度の集大成であり、次年度へ向けステップアップする時期でもある。第2大隊の持ち味である組織力を発揮し、大隊をより良いものにできるよう全身全霊で勤務していく所存である。

後期第3大隊学生長としての決意・抱負

峯元 学生

 新型コロナウイルスは今なお猛威を振るい、我々の生活に多大な影響を与えている。防衛大学校の生活も前年度とは全く違うものとなり、特に、競技会が満足に行えなくなったことは学生の士気を大きく低下させた。しかし、防衛大学校学生としてやるべきことは変わらない。それは、様々な変化に動じず、本質を見失わず、規律ある生活の中で人格を陶冶し、幹部自衛官たるに必要な素質を育成することである。
 これを踏まえ、後期の勤務方針を「3大隊らしさの追求」とした。3大隊らしさというのは、「お祭り3大隊」という言葉に集約される。普段の生活においては、厳格な規律の元、個人が目標を掲げ、自主自律の体現に努め、その中でも、部屋を中心として学生同士の信頼関係を築くことで、3大隊特有の温かさである「家族愛」を生み出し、こと競技会においては、この「家族愛」を根底に、学生が強固に結束し、看板を勝ち取るために他のどの大隊よりも士気を高め、一致団結することが出来る。これが「お祭り3大隊」であり、3大隊のあるべき姿である。後期は、時期的特性として、期間が短く、卒業や進級を控え、学生が浮つきがちである。さらに今年度においては先述のように、コロナウイルスの影響により学生の士気が低下し、規律に対する意識も薄れやすいと考える。そこで、私は3大隊らしさを今一度追求することで、年間目標である「最優秀大隊」を達成し、さらには、規律あり、家族愛あり、士気ありの「お祭り3大隊」を次年度にも継承するためにも全力を尽くして、勤務に励む所存である。

卒業研究の風景

後期第4大隊学生長としての決意・抱負

木村 学生

 後期大隊学生長としての責務とは、防衛大学校や学生はどう在るべきか、指揮官には何が必要なのか等、この4年間において学び考えた全てをもって、次年度以降の学生隊の更なる飛躍の為に勤務することであると考える。私の今までを振り返り、試し、そして卒業後の自衛隊人生に活かすことの出来る、まさにベストタイミングである後期に第4大隊学生長として勤務できることを幸運に思う。
 本年度はコロナウィルスの流行により4月当初より学生生活にも様々な変化があった。対面授業・訓練が中止となった際、今後どうなるのかと思案している中で私は防衛大学校の気風であり、入校後何度も耳にした「自主自律」の真価を目の当たりにした。部屋の上級生が入校して間もない1学年のため基本教練を教える姿や、放送を用いて体力練成を呼びかける声があった。誰かに言われたからではなく、自分は何ができるか、何をすべきか、そして下級生に何をしてあげられるのだろうか、という主体的な思考が4大隊の至る所で具現化していたのだと思う。自ら考え、そして実行に移すことが自主自律の鍵であると身に染みて感じることができた期間であった。
 この自主自律の気風を更に強固なものとし、いかなる状況でも飛躍を続けることのできる大隊を創り上げるため、私の勤務方針を「千思万考・実践躬行」とした。「考える力」と「実行力」を4大隊に醸成するため、私の全てをもって勤務する所存である。

冬季定期訓練参加所感(海上要員)

石川 学生

 今年度の第3学年冬季定期訓練では、新型コロナウイルスの影響で硫黄島研修が見送りとなった。海上要員は主に校内訓練を行い、硫黄島戦史を通じた資質教育及び第2術科学校研修を行った。
 校内訓練では、地文航法、副直士官演習、信号通信及びカッターを実施し、海上自衛官として必要な知識や技能を概ね修得することができた。また、今回新たに教育法を学び、来年度入校してくる1学年に対し適切な指導・教育が行えるよう訓練に臨んだ。この教育法において、人に分かりやすく教育することの難しさを実感し、我々3学年が来年度、最上級生の立場になるという強い責任感を感じた。
 硫黄島に関する戦史を通じた資質教育では、硫黄島での戦いのような過酷な状況下でも自国の存続と家族の命を守るため、自らの使命を果たし、最善を尽くした日米両軍人の行動について学び、先人の使命感に対し敬服した。この日米両軍人のように不撓不屈の精神で自国を守り、そして冷静な判断を下すのが将来我々の姿である幹部自衛官に求められていると感じた。
 また、第2術科学校は、艦艇機関部の仕組みや応急工作等の専門的な分野の学校であり、実際に作業中のところを研修させていただいた。その際、第2術科学校学生として勤務していた防衛大学校63期生とも会い、我々66期の近い将来の職場を見る貴重な体験ができた。
 以上の訓練期間で得たものを今後の防衛大学校の学生舎生活で生かし、自身が思い描く幹部自衛官像の確立に努めていきたい。

海技訓練場にて

教育法の様子

冬季定期訓練参加所感(航空要員)

山崎 学生

 冬季定期訓練では航空機運用実習、教育法実習、硫黄島戦史教育、岐阜基地研修が実施された。
 航空機運用実習ではグライダーを用いて分解結合や機体の取り回し等の知識を習得するとともに、指揮官となってグライダーを運用することの難しさを体感した。
 教育法実習では、同期を1等空士の隊員と想定して基本教練を教育する訓練を行った。目線や拳の握りといった細かではあるが大切な部分は指導できたのだが、特に教育者(指揮官)としての態度や話し方の難しさや大切さを痛感した。
 硫黄島戦史教育では、「散るぞ悲しき」を通読し、講義を受け、討論することによって硫黄島という極限の状況下での栗林中将の統率について学習した。栗林中将は家族や部下に対して非常に温情を示され、本人も誠実であり無私であったことから、統率の中の統御という要素で非常に長けていたと理解するとともに、私もこうありたいと感銘を受けた。
 最後の岐阜基地研修では、飛行や電子戦技術、誘導武器の実験・開発を行う飛行開発実験団の研修や、補給処についての講義等を通して、これまでに研修した輸送航空隊や戦闘航空団との違いを発見し、また基地特性を理解することができた。
 冬季定期訓練は1週間と短い期間であったが、上記の通り充実し、実りの多い訓練となった。特に指揮に関しての学びは将来幹部自衛官となったときの大きな糧になるだろう。来年度、4学年に進級すると春季定期訓練では新1学年に対して実際に基本教練を教育し、夏季定期訓練では2学年を指揮してグライダーを運用するので本訓練を十分に活かしたい。 


冬季定期訓練参加所感(陸上要員)

出口 学生

 私たち陸上要員は冬季定期訓練で硫黄島についての学習、砂盤(周囲の草木や土を使い地面や机上に地形を模して作ったジオラマ)を用いた指揮活動、戦闘訓練、射撃訓練及び空挺団研修を行った。その中でも特に印象深い2つの訓練について所感を述べる
 1つ目は硫黄島の戦史についての学習である。例年であれば実際に硫黄島に行き研修するが、今年は残念なことに現地に行くことは叶わなかったため、防衛大において硫黄島の戦いの特性や過酷な状況下における指揮について学んだ。硫黄島の戦いのような過酷な状況でも将来幹部自衛官となる我々には部隊を指揮し続けることが求められる。栗林中将を多角的に考え指揮官として必要とされる素質について深く考えることが出来た。
 2つ目は空挺団研修である。空挺団が使用する落下傘は畳むのにも多くの技術が必要とされ、車両等の重物料梱包も工夫を施して降下させているのが分かった。それぞれの隊員が自分の仕事に責任と誇りを持ち、互いを信じ協力することによって空挺団は傘の絆で結ばれているのが感じられた。また、飛び降り訓練を体験した。高さ11メートルから飛び出すには、恐怖心に打ち勝ち自分で飛び出さなければならない。普段、高度300メートルから数十キロの装備を持って任務達成のため降下訓練をしている隊員の方々の凄さを感じられた。
 5日間ではあるが得るものが多く有意義な訓練期間であった。訓練に関わってくださった全ての方々に感謝したい。

入校へのアドバイス

鈴木 学生

 防衛大学校に合格された皆さん、おめでとうございます。4月からの入校に向けて悩みや疑問等、期待以上に不安なことも多いことと思います。入校までにどのようなことをしておけば良いのか知りたい人のために、やっておくと良いことを2つアドバイスさせていただきます
 1つ目は、防衛大学校の情報を集めることについてです。自衛隊地方協力本部主催の説明会に参加すると、現役防大生の生の声や準備しておくべきことを聞くことができます。入校後はこれまでとは大きく違う生活が待っていますが、説明会への参加等で情報を集め、不安や疑問を解消するのが良いと思います。
 2つ目は運転免許についてです。防衛大学校は全寮制であり、休日にしか自動車教習所に通うことはできません。また、休日に活動を行う校友会(部活動)もあるため、自動車学校に通うことが難しく、定められた期限内に免許を取得するのが困難な人もいます。入校後に運転免許を取得するのは大変な場合があるため、入校までに取っておくことをお勧めします。
 最後に、防衛大学校の生活は大変だと感じるかもしれませんが、最初からできる人はいません。同期と共に苦難を乗り越えることで確実に成長することができるので安心して入校してください。また、訓練や防衛学などここでしか学ぶことのできないことも多くあります。仲間とともに切磋琢磨し、幹部自衛官にふさわしい資質を身に付けることができる場所が防衛大学校です。皆さんの入校を心からお待ちしています。

秋季定期訓練にて

齋藤 学生

 防衛大学校入校に向けて私自身の経験をもとに2つアドバイスを送ろうと思います。
 1つ目は体力トレーニングです。入校当初は清掃や作業服等のアイロンがけ、訓練等初めて経験することが多いため、体力的にも精神的にも負担が大きいです。しかし、周りと比べて体力があると少し余裕が生まれるので日々の生活を円滑に進めることができます。また、防衛大学校は幹部自衛官となるべき者の教育訓練を司る施設等機関であり、自衛官には体力が求められます。そのため、将来任官するときや訓練及び体育科目についていくためにも少しずつでよいので今のうちから体力トレーニングを行うことが好ましいです。
 2つ目は高校の勉強の範囲の復習です。防衛大学校の1学年の学科教育では高校の範囲が主になります。夜に自習時間という各人が自習をできる時間が設けられていますが、苦手な教科などはテスト前に時間が足りなくなってしまうことがあります。そのため、受験後に軽くで良いので復習しておくと日々の勉学がずっと楽になると思います。また、理工学専攻では全員が物理及び化学を履修するため、理工学専攻で入校する人の中で高校で物理、もしくは化学を履修していなかった人は概要を掴むだけでも良いので学習を進めておくことをお勧めします。
 最後に、防衛大学校での集団生活を不安に思っている人もいると思いますが、様々な人が集まるため人との関わりも必然的に増え、見識を深めることができます。楽しいことだけではなく辛く苦しいこともありますが、同期と支えあって困難を乗り越えていくことでより自己の成長につなげることができます。皆さんの入校を心からお待ちしております。防衛大学校で共に成長していきましょう。

髙見 学生

 春から防衛大学校に入校する皆さん、合格おめでとうございます。入校する皆さんに私から伝えたいことが2つあります。それは「信念を持つこと」と、「同期を第一に考えること」です。
 信念は人それぞれにあるでしょう。面接の際に固めてきた目標を信念とするもよし、入校してから考えるもよし。何にせよ、信念を持って己の芯を通してください。私の信念は、「人との関わりを大切にする人間になる」というものです。入校してから2カ月、協力の重要性を身に染みて感じたためこれに固まりました。1学年の間は、日々の指導や学業、訓練など時間に追われます。このような生活で困難や辛苦に揉まれる中、納得がいかない事や不服を感じる事があるかもしれません。しかし思い出してほしいのは、自分がなぜ防衛大学校に入校したのかということです。皆さんがそれぞれ信念を持って困難に打ち克ち、成長していかれることを望んでいます。
 もう1つ、重要なのは同期です。69期として共に入校した仲間を絶対に見捨てないでください。苦楽を共にして助け合う関係は彼らとだけです。指揮官の基礎である統率には3つの機能があります。指揮・管理・統御です。指揮、管理は文字通りの意味ですが、統御はどういう意味でしょうか。一言でいうと「信頼」です。この指揮官の言うことならば聞ける、ということです。人徳という言葉に置き換える人もいます。統御の基礎は同期との関係にあると考えます。私は中期小隊学生長付という役職に就くことができ自分なりに精一杯努力してきましたが、思い返すと同期の助け無しには成し得ないことばかりでした。日々同期を大切にし、親しき中にも礼儀ありというように些細な言動にも注意して信頼を構築しあってほしいです。

屋上にて

竹井 学生

 防衛大学校に合格された皆さん、おめでとうございます。将来幹部自衛官となる者を育成する防衛大学校は一般の大学とは非常に異なります。そのため、不安を抱えている方もいるのではないでしょうか?私も入校に際し、多くの不安を抱えていました。
 1つ目は夏に行われる8km遠泳訓練です。私は入校するまで平泳ぎをすることができず、8kmという想像もつかないような距離を完泳できるかどうか不安でいっぱいでした。しかし、毎日訓練をすることで10日後には平泳ぎができるようになり、無事完泳することができました。 
 2つ目は学生舎生活です。私は裁縫や衣服のアイロンがけといった自衛隊員の基本となることを今まであまりしたことがなく、しっかりと生活していけるかどうか不安でした。しかし、入校し上対番(1対1で面倒を見てくれる上級生)となった学生、同部屋の上級生が中心となり上手にできる方法やコツを丁寧に教えてくれます。今では自分でしっかりとすることができるようになりました。
 防衛大学校では学生舎生活、訓練等を通じて他の大学では体験できない貴重な経験をすることができます。そして、周りの人への気遣いや先見性、多角的な視点といった様々なものを身に着けることができます。もちろん、辛いときや苦しいときもあります。しかし、そのような瞬間を共に乗り越えた同期は一生の仲間になります。是非、防衛大学校で心身共に成長しましょう。皆さんの入校を心からお待ちしております。

防大かわら版