防大かわら版VOL.123

2020年09月16日

防大かわら版ロゴ

◯掲示内容一覧
 ・夏季定期訓練参加所感【各学年・各要員】


夏季定期訓練参加所感(2学年陸上)

2学年 陸上要員  髙谷 慶太朗
 機械システム工学科 長野県松本深志高等学校(長野県出身)

夏季定期訓練において第2学年は防衛大学校校内、武山駐屯地及び関山演習場にて、「忍耐力」という訓練隊長の要望事項の下、陸上自衛官に必要な基礎的動作について訓練を実施した。武山駐屯地、関山演習場では防衛大学校では実施できない訓練を実施できる環境が整っており、陸上要員として貴重な経験を体験することができた。
 私が特に印象に残っている訓練は40km行軍(徒歩行進)である。行軍では演習場の地形上、山道を歩いたため行軍経路は坂が多く、過酷な道のりであった。加えて行軍当日は雨が降っており、より負荷がかかる状況であった。そういった状況の中で歩くことにより、行軍の厳しさを実感した。足を止めてしまいそうになることが何度もあったが、そのたびに「忍耐力」という言葉を自らに言い聞かせ、完歩することができた。
 この定期訓練で実施した演習場での訓練や、部隊の自衛官の方から聞いた話を通して将来どのような道に進みたいか具体的に考えることができたとともに、体力面、知識面においてまだまだ未熟であると実感した。これからの防衛大学校での生活では、望む進路に進めるよう、また立派な陸上自衛官になれるよう日々精進していく所存である。

戦闘訓練の様子(前列中央が本人)

築城訓練の様子

夏季定期訓練参加所感(3学年陸上)

3学年 陸上要員 島津 裕作
 地球海洋学科 神奈川県立海老名高等学校(神奈川県出身)

 第3学年の陸上要員は日本各地の普通科連隊に配置され、「部隊とは何か」という知見を得るため、約3週間訓練を実施する。その間は、部隊の人と同じ部屋で生活し、営内生活も体験する。私は広島県にある海田市駐屯地に所在する第46普通科連隊において、私を含む6名の同期と訓練に臨んだ。
 訓練の内容は、駐屯地の業務や部隊での火器の取扱い、射撃、行進など様々であった。陸上自衛官として必要な素養を広く浅く、学び、実習できたと感じている。特に、最終週には、敵に発見されないよう茂みの中を歩き、銃を持って突撃し、敵陣地を制圧する総合訓練を実施した。25km行軍に引き続く訓練だったため過酷であったが、その訓練をやりきった時の達成感は非常に大きかった。
 営内生活において隊員は、規律正しく、いつでも出動できる態勢を整えていた。広島県は土砂災害の多い地域であり、隊員自ら大雨情報などを収集し、必要な準備を行い、即応態勢を維持する隊員達からは強い責任感を感じた。そのような隊員と過ごすことができたことは、非常に貴重な経験となった。
 私は、担当教官から「思考を止めるな」と言葉を頂いた。常に変化する状況に対し、必要な情報は何か、自分ができることは何か、どのように伝えるか、というように指揮官は常に何かを考える存在だと学んだ。また、担当教官から幹部がどうあるべきかを多く教わった。同じ部屋の陸曹の方は「部下の話をよく聞いてくれる幹部」になって欲しいと話をしてくれた。
 私は、様々な経験を基に「幹部のあるべき姿」を確立しなければならない。そのためには、教養、体力、気力、人間力の向上に励み、今後の防大生活はより一層人との関わりを大切にして色々なことに挑戦していきたいと考えている。

教官の説明を聞く様子
(写真一番左が本人)

学校長の視察を受けている様子
(説明を受け、操作をしているのが本人)

夏季定期訓練参加所感(4学年陸上)

4学年 陸上要員 藤井 航
 機械工学科 東山高等学校(京都府出身)

 私たち第4学年陸上要員の学生は、今夏、北海道東千歳演習場において約3週間にわたる定期訓練を行った。陸上要員の学生にとって本訓練は、これまでに防衛大学校において受けた訓練の集大成であり、自分が身に付けた知識や技能を発揮できる非常に有意義なものであった。
 本訓練では検定射撃や部隊研修、戦闘訓練など様々な訓練が行われたが、その中でも私が特に印象に残ったのは、1夜2日にわたって行われた防御総合訓練及び攻撃総合訓練である。これらはそれぞれ、掩体壕や鉄条網による陣地の構築から続けて行われる防御戦闘訓練と約40kmの徒歩行進から続けて行われる攻撃戦闘訓練である。陣地の構築や長距離の徒歩行進、戦闘訓練を一連の状況として行う総合訓練は私たちにとって初めての経験であり、その中で自分が将来の幹部自衛官としてまだまだ技能的、精神的に向上すべき余地があると感じることも多かった。私たち第4学年は残り8か月足らずで防衛大学校を卒業し陸上自衛官に任官する。本夏季定期訓練において得た様々な経験を、これからの幹部自衛官としての成長の糧としたい。

左側が本人

第7師団部隊研修時
(中央が本人)

夏季定期訓練参加所感(2学年海上)

2学年 海上要員 幡谷 寛朗
 公共政策学科 茨城県立水戸第一高等学校(茨城県出身)

2学年に進級し要員が選定されてから2回目の定期訓練であった。新型コロナウイルスの影響で、感染防止の観点から様々な制約の中での訓練となったが、乗艦実習と幹部候補生学校研修を行なうことができ、有意義な訓練であったと考える。
 実習では、練習艦「せとゆき」に乗艦した。航海中は蛇行運動における操艦や操舵、陸測艦位測定の実技、戦術運動、溺者救助訓練、霧中航行、訓練補給艦による洋上給油の見学を実施した。座学では、応急操舵、防火・防水等を学習した。どの訓練でも現場は緊張感が高く、訓練が実任務と直結するということを実感した。艦艇勤務ならではの臨場感を感じ取ることができた。
 幹部候補生学校研修では、昨年度卒業された先輩方から学校生活について事細かく説明していただいた。明治時代に建造された由緒ある赤レンガ校舎、江田島特有の景色、海軍兵学校から残る伝統、埃一つない廊下等、見るもの全てに対し身が引き締まるのを感じた。懇談では、諸先輩方の話を聞く中で、改めて防衛大学校生活の重要性を認識した。
 校外訓練に参加するにあたり、事前に校内訓練で要点の予習は行なっていた。しかし、実際の現場では知識があるだけでは不十分であった。現場で感じた最大の特徴は経験の違いである。特に操艦操舵訓練では常に潮流や風向、その艦の特性を考慮するため、非常に苦労した。幹部候補生学校でも、専門的知識の修得や様々な部隊実習を通じた経験を積むことの必要性を認識するとともに、改めて幹部自衛官になる責任とその重みを感じた。
 海上要員の訓練に必要な知識、技術は多岐に渡る。そして部隊勤務ではこれらの内容をその都度応用しなくてはいけない。このことを2学年時に体感できたことを好機と捉え、今後の大学校生活に活かしていきたい。

陸測艦位測定の様子

操艦・操舵実習の様子

夏季定期訓練参加所感(3学年海上)

3学年 海上要員 戸田 海斗
 公共政策学科 愛知県立横須賀高等学校(愛知県出身)

海洋国家日本、その海の防衛を担う海上自衛隊の一員となるべく我々は日々の生活、訓練に励んでいる。その中でこの夏季定期訓練では実際に部隊にお世話になり、学校で学んできたことを実践する場であると私は考えている。今回の訓練は大きく分けて二つの部隊で実習を行なった。
 一つ目は護衛艦しまかぜである。普段、我々は海自特有の無線の交話法や艦を動かす進路などを求める運動盤、海事法規などの勉強をしているが、実際に乗艦してこれらを艦艇で実践してみると、最初は学校での訓練では簡単にできることも刻一刻と変化する艦上で行うことは難しく、将来これを日常的に行う恐ろしさを感じた。しかし、乗員の方への質問、何気ない雑談の中でコツが分かり、最終日までには少しずつ馴染むようになり、自らの成長を感じることができた。
 二つ目は厚木航空基地である。航空部隊では、P-1の見学や整備、基地隊の見学、管制業務のシミュレーターを通して航空部隊の持つ任務、その重要性、部隊の現状などを肌で感じることができた。そして、これにより海自がなぜ大きな規模の航空部隊を持ち、その力をどのように使うのかという将来に大きく活かせる知識を学べた。
 この定期訓練を通して私は、何事もやってみる、見てみるということの大切さを知ることができた。今後もこの意識を大切にし、一人前の海上自衛官を目指していきたい。

乗艦実習の様子

運動盤の教務の様子

夏季定期訓練参加所感(4学年海上)

4学年 海上要員 久保 飛翔
 情報工学科 愛媛県立松山東高等学校(愛媛県出身)

今年の夏季定期訓練は護衛艦「まきなみ」に13日間乗艦し、横須賀~和歌山~鳥取を航海した。
出港初日から悪天候による船酔いとの闘いの続く毎日であったものの、乗艦実習はとても密度が濃く、意欲的に実習に取り組むことができたと考える。個艦訓練では基準艦の航跡と同じように進むために実際に操艦する蛇行運動を始め、陸上目標から自艦の位置を特定する陸測艦位、夜中の見張りを行った。また、防火部署訓練では、火災を見つけてからの初期消火の訓練を行い、防水部署訓練、自艦が大型の浮遊物に接触したという想定を基に探知を実施し、閉鎖を行うとともに遮防措置を実施した。特に今回は曹士の方々と同じ作業を行い、幹部が普段しないような作業に関わることで、自分が幹部になった際の現場における指揮要領を身をもって理解することができた。これは将来部下を持った際の統率などに活かせると考える。また、複数の護衛艦による合同訓練も実施され、射撃訓練や陣形を形成する戦術運動などは実に偉観であった。艦対抗形式で行われたNAVCOMEX(信号送受信訓練)で「まきなみ」は団結して取り組み、優勝することができた。
 乗艦実習全般を通して、分単位の訓練計画や天候が悪い中でも訓練を実施するという過酷さと共に、改めて日本の領海やシーレーンを守る海上自衛隊の偉大さ及びその任務の責任や重要性を実感することができた。
 今回の実習では、昨年度の私たちの分隊長にお会いした。幹部自衛官は転勤が多いと言われるが、この広い海で、繋がっていることを深く認識することができた。
 来年はいよいよ幹部自衛官としての一歩を踏み出す。将来を見据え、残りの防大生活を最大限有効活用し、将来の日本の国防を背負う一人となるべく、努力していく所存である。

機動艇訓練の様子
(手前が本人)

信号送受信訓練の様子
(本人)

夏季定期訓練参加所感(2学年航空)

2学年 航空要員 杉浦 真央
 航空宇宙工学科 愛知県立半田高等学校(愛知県出身)

2学年航空要員の夏季定期訓練では校内訓練、航空自衛隊基地研修、航空機運用実習(グライダー訓練)を行った。私は航空自衛隊の一員として今後自らが働く組織の特徴を知ることを課題として設定し訓練に臨んだ。
 校内訓練では空自における安全や航空法規などの座学に加え、基本教練の訓練を行った。航空自衛隊の基本教練は防大で教育している基本教練(陸上自衛隊基準)と違い、多少の差異があるが、4学年のわかりやすい教育のおかげで、習得することができた。
 また、部隊研修として行った美保基地及びグライダー訓練では、課題であった空自の組織的特徴を、体感することが出来た。それは、「空自は掛け算の組織である」ということである。例えば、輸送機を一機飛ばすために、整備、補給などの多種多様な職域の隊員がかかわっており、そのどれか一つでも欠けてしまうと輸送機を飛ばすことはできないように、一つのミスで全体の任務遂行が不可能となってしまう。このことはグライダーに関しても同様であり、パイロットから整備分隊にいたるまで安全事項、基礎的な事項が徹底できなければ運用が困難であると実感した。
 今回の訓練を通して、自分が将来空自の幹部としてどのような能力が必要であるのか、新たな課題を見つけることが出来た。またそれは、日々の学生舎や訓練で培ってきた能力と根本的な部分では同じであるとも感じたため、今後の防大生活を通じて将来の空自幹部としての資質を磨くべく、基礎的事項を徹底するよう精進していく。

右から2番目が本人

美保基地研修の様子

夏季定期訓練参加所感(3学年航空)

3学年 航空要員 池田 馨
 電気電子工学科 愛媛県立今治西高等学校(愛媛県出身)

今回の夏季定期訓練では、私は、沖縄県の航空自衛隊那覇基地において研修を行った。那覇基地は、南西航空方面隊唯一の戦闘航空団であり、24時間のアラート態勢を整えている戦闘機部隊が在籍しているため、これまで研修してきた航空自衛隊の基地とは違い、前線基地ならではの緊張感を自身の体で体験することが出来た。普段、見聞きしないところで勤務する実際の現場では、どの部隊においても、数え切れないほどの学ぶべきところがあった。
 特に、我が国を取り巻く安全保障環境がさらに厳しい状況になりつつある状況下、実際に目で見た現場の各部隊では、幹部、曹士を問わず、どの隊員においても、自身の職種、役割に誇りと情熱を持っており、高い意識の中、直接的または間接的にも、国防を担っている。これは、まだ学生である私たちにはないもので、自分たちの考え方の甘さを実感させられるとともに、任官するにあたり、必要になるものであると実感した。また、航空自衛隊はかけ算の組織であり、他部隊、他の組織など多数の人と支え合うことで最高度の能力を発揮している。つまり、勤務し、関わる上で、高い人間性と素直さ、謙虚さが部隊において、求められている。このように私は、実習の約1ヶ月間、飛行群、整備補給群、基地業務群、所在部隊研修や沖縄の戦跡研修など、様々な研修を通して、将来、任官し、幹部自衛官になる上で、私たちには何が必要で、何を身につけなければならないか、何が求められているのかを考えさせられ、自身の考え方や価値観を大きく変化させるとともに、任官意欲をさらに高めることが出来た良い機会であったと考える。
 最後になるが、このコロナ禍で、勤務時間や自己能力向上の時間をとることが難しい中、時間を割き、私たちの研修に対応してくださった方々、この機会を与えてくださった方々へ感謝するとともに、今回の夏季定期訓練で得た貴重な経験を糧に、常に楽しむことを忘れず、情熱を持って、パイロットになるという自己の夢の実現と国防を担う立派な幹部自衛官になるため、より一層自学研鑽に励んでいきたいと考える。

     拳銃操作訓練の様子
       (手前が本人)

滑走路見学時の集合写真
 (前列左から1番目が本人)

夏季定期訓練参加所感(4学年航空)

4学年 航空要員 吉田 博人
 建設環境工学科 茨城県立並木中等教育学校(茨城県出身)

4学年航空要員の夏季定期訓練では「航空機運用総合訓練」「警戒管制部隊及び高射部隊研修」「基本教練」「火器及び弾薬、射撃予習」といった課目について訓練をするが、中でも「航空機運用総合訓練」は防衛大学校で2学年時に航空要員となってから4学年に至るまでの訓練内容の集大成と言える課目であった。また、今回の訓練では、「警戒管制部隊及び高射部隊研修」で入間基地の部隊を訪れ、研修を行った。本記事では、今回の定期訓練の中でも最も印象深い「航空機運用総合訓練」と「警戒管制部隊及び高射部隊研修」について触れる。
 「航空機総合運用訓練」は、静岡県航空協会所有の富士川滑空場にて約1週間の滑空機の運用を主体とする模擬航空団を4学年が中心となって運営し、団の能力を向上することを任務として勤務する訓練である。その訓練は、1週間のうち前後半で役職を交代し、航空団における役職を模擬的に体験するというものであった。私は前半に「防衛部長」、後半に「整備分隊長」として勤務し、団の司令部機能と現場部隊の活動を行った。この訓練を通し、司令部の幕僚活動は現場の隊員の活動を左右するものであり、団の運営に直結する非常に重要なものであると感じた。また、「状況に応じた柔軟な対応」とは「十分な準備」のもとにしか存在し得ないということが身に染みた。
 「警戒管制部隊及び高射部隊研修」は入間基地が新型コロナウイルス感染拡大対策を行っている中での研修となったが、そのような中であっても研修内容は充実しており、勤務内容の見学や現役幹部自衛官との懇談を通して現場を知ることが出来た。基地全体の教育を兼ねたランニングも楽しく、良い研修となった。

第2移動警戒隊(右が本人)
この後にランニングが控えている

航空機運用総合訓練の様子
(中央が本人)

防大かわら版