防大かわら版VOL.106

2019年03月26日

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◯掲示内容一覧
 ・防大4年間の思い出と今後の抱負(各大隊)
 ・ICCに参加して

防大4年間の思い出と今後の抱負

4学年 上瀧 陽介 近畿大学附属高等学校(大阪府出身)

私が防衛大学校に入校したのは2015年4月のことだ。あれから4年が過ぎ、卒業を目前に控えているが、思い返すと辛いこと、楽しいこと、たくさんの思い出があった。
 1学年では数多く初めての経験をし、辛いことを経験すると同時に成長する喜びを経験することができた。また同時に自分自身で身の回りのことをやらなければならないため、両親の有難さが身に染みた。
 2学年ではカッター競技会に向けて同期の学生と一致団結して海上訓練や陸上訓練に臨み切磋琢磨し、心身を鍛えることができた。
 3学年では夏の定期訓練で初めて駐屯地で生活し防大生以外の隊員と訓練、寝食を共にして陸上自衛隊について見識を深め、隊員の日常起居を体験することができた。
 4学年では、4年間を通して出会った仲間たちと休日や長期休暇に行うキャンプが最も楽しかった思い出となった。
 防衛大学校に入校してから多くの仲間ができ、防大でしか体験できない本当に様々な経験をさせて頂けたと思う。
 今後の抱負は、卒業までに悔いのないように生活することだ。入校当時は時には辞めたいと思うこともあったが、今では卒業して仲間と離れ離れになりたくないと感じる。その気持ちを吹っ切り、すっきりとした気持ちで幹部候補生学校に入校できるよう、今の生活1日1日を大切にして卒業研究、日々の勉学そして訓練に励んでいきたい。また幹部候補生学校に入校後は一人前の幹部自衛官になれるよう、精進していきたい。

2学年時前期の部屋での集合写真
(後列右から2番目が本人)

防大4年間の思い出と今後の抱負

4学年 橋本 真冶 富山県立富山中部高等学校(富山県出身)

4年前、小雨がしとしとと降る朝、小学生の時からの夢であった防衛大学校の門を希望と緊張の入り混じった何とも言えない気持ちで通ったのを今でも覚えている。
 この4年間で、防大は私に数々の貴重な経験の場を与えてくれた。特にフランス海軍士官学校への派遣と、自衛隊記念日観閲式での大隊指揮官という役職は、私を広い知見の修学と責任感の高揚に導いてくれた。
 一方、ただ必死に生活を送っていた1学年の頃とは打って変わって、2学年から4学年に進級するにつれて理想と現実のギャップに悩むとともに、自分に足りないものに数多く気づかされた。しかしながら、幸運なことに自分の周りには見習うべき存在が多く、彼らに追いつこう、追い越そうと向上心を持って生活できたと思う。そんな苦悩の日々も私にとって成長の糧になったことは言うまでもない。
 防大での修養の4年間は、私の自衛隊人生の土台であり、今後の人生の礎となるであろう。防大を卒業するに当たり、多くの方々の支えがあり素晴らしい時間を過ごせたことに感謝の念を抱いている。そして、国家防衛の志を同じくする一人の幹部自衛官として、期待に応えられるよう日々精進していく所存である。

フランス海軍士官学校にて(右から2番目が本人)

防大5年間の思い出と今後の抱負

4学年 池田 健司 早稲田摂陵高等学校(京都府出身)

防衛大学校の生活は、長くもとても短く濃密な5年間であった。この大学校において、一番の魅力は人とのつながりであると考える。私は2学年のとき、希望の学科も要員も叶わなかったために勉学を疎かにしてしまい留年した。留年を知らされたその日は、眠ることができず枕をただ濡らしていた。親には申し訳なかったが、もう1年間を2学年として過ごさなければならないと思うと退校しようかとも考えた。しかし、そんな悲しみに暮れているときに、声をかけてくれる同期や上級生、相談に乗ってくださった指導教官や教官の方々には本当に助けられた。特に訓練6班(62、63期)の学生は、かけがえのない存在である。真剣に相談した時に真面目に答えてくれることや、厳しい状況にあったとしても一人で悩まず、同期と協力すれば乗り越えられてしまう。確かに訓練や競技会といったことは防衛大学校でしか経験できないことだが、人とのつながりがより濃く感じるのはこの大学校の一番の魅力ではないかと考える。防衛大学校に入校しまわり道もしたが、貴重な経験ができた。今後は、少しでも恩返しができるよう日々努力したい。

夏季定期訓練時の休日(前列左から2人目が本人)

防大4年間の思い出と今後の抱負

4学年 長谷川 裕貴 北海道札幌国際情報高等学校(北海道出身)

防衛大学校の4年間も終わりが近づいている。この4年間を振り返ると、今までの人生の中で最も充実した期間であり、ここでの生活は毎日が学びの連続であった。防衛大学校の生活では、訓練や学生舎生活、海外派遣など、ここでしか出来ない数多くの経験が私を成長させてくれた。その中でも、私は防衛大学校で出会った先輩、同期、後輩の存在が私の人生に非常に大きな影響を与えてくれたと感じている。第一希望で入学した私を待ち受けていたのは、今までの生活とはかけ離れた日々であり、つらいことや大変なことも多くあった。しかし、こうした生活の中で私を救ってくれたのは、厳しくもしっかり面倒を見てくれた先輩方、そしていつも支えてくれた同期の存在であった。また、自分の学年が上がっていくにつれて、後輩達を教育する責任感も増していき、学ぶことも多くなっていった。
 この生活で一番感じたことは、人は1人では生きていけないということである。自分が生活していく中で、困難な状況に立ち向かう時には必ず誰かの助けがあり、その助けがあってこそ、人は成功でき、成長できるのだということを身に染みて感じることができた。防衛大学校で作りあげた人脈はかけがえのないものである。これから国家防衛という厳しい任務につく中で、国民の負託にこたえるべく、強い使命感を胸に職務に邁進していく所存である。

海外派遣時(右から3番目が本人)

ICCに参加して「To Be Leaders」

4学年 依田 正隆  静岡県立浜松北高等学校(静岡県出身)

防衛大学校が主催する国際士官候補生会議(International Cadets’ Conference / ICC)は、1998年から毎年開催されています。本年度は22回目を迎え、全21ヵ国から31名の士官候補生が参加しました。今年の統一テーマは「変化する世界、変わらない信念~ To Be Leaders~」であり、時代の移り変わりと共に変化する安全保障環境において、将来我々に求められる普遍的なリーダーシップについて、討議を通じて考えることを目的としました。
 ジェンダーをはじめとする軍隊におけるダイバーシティ、多国籍作戦遂行に求められる統率、宇宙の軍事利用、軍隊におけるAI技術という、まさに今後の自衛隊そして諸外国の軍隊が直面するであろう議題を軸として活発な討議が展開され、「リーダーシップ」という概念や、その実行について主体的に考えることができたと感じています。
 米国をはじめ、諸外国でも同様の国際会議を開いている士官学校は多くあります。しかし、これらの会議と防大のICCが大きく異なるのは、ICCは防大に所属する全学生が参加する行事であるという点です。防大では、全学生が海外士官候補生の意見に接し、彼らとの交流を通じて国際感覚を養う機会を与えられています。将来、国際的な任務にも携わることになる我々にとって、自分とは異なる視点を理解し、その立場にたって物事を考える姿勢が身に着くことこそ、ICCにおいて最も有意義なことであると考えています。
 ICCが今後とも豊かな国際感覚を醸成する場として活用されていくことを期待しています。

討論会で熱弁を披露する本人

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