横須賀地方総監部ウェブサイトをご訪問いただいてる皆さん、こんにちは。
この度、第50代横須賀地方総監として着任した伊藤海将です。東海鎮守府に始まり、5つの総監部の中で最も長い歴史を有するこの横須賀の地において、護衛艦「たちかぜ」船務長以来、ちょうど四半世紀振りに勤務できることを大変嬉しく感じているとともにその重責に身の引き締まる思いです。皆様方におかれましては、常日頃から海上自衛隊の活動に関心をお持ちいただくとともに、ご理解とご協力を賜りこの場をお借りして厚く御礼御申し上げます。
さて、我が国を取り巻く安全保障環境は戦後最も厳しく、そしてその複雑さを増しています。昨年末安保関連3文書が策定され、今年度以降の大幅な防衛費の増額がなされていることは周知のとおりです。
我々はこのように激変する戦略環境下、これまでの70年間とはまったく別次元の世界に投げ込まれていると言って良いと思います。そのような状況の下、私は勤務方針として「伝統の継承」、そして「変化への挑戦」の2点を隷下部隊に示しました。まず、私の言うところの「伝統の継承」は、良き伝統を継承し、より良い組織、つまり、より素晴らしい海上自衛隊を後進に繋ぐということです。「伝統の継承」というと、伝統にしがみつく、いわゆる「伝統墨守」と捉える人がいますが、現状に甘んじていてはより良い組織を構築することなど叶いません。変化を先取りし、我を適合させる、つまり「変化への挑戦」と「伝統の継承」を表裏一体の形で成し続けることが海上自衛隊をさらに大きく飛躍させる鍵となります。
この「伝統の継承」と「変化への挑戦」というパッケージを推進していく上で我々が念頭に置いておかねばならないことがあります。それは我が国日本が、「少子高齢化」などという生易しいものではなく、「人口減少社会」に突入しているという事実です。伝統の継承を通じて、より良い組織を構築するにせよ、変化に挑戦するにせよ、そのすべての基盤は「人」です。我が国の人口は2009年にピークを打ち、じ後、一貫して減少し続けています。昨年1年間の人口自然減はおよそ80万人となりました。これはほぼ中規模の県1県分に値します。人口減少社会にあっては、共に勤務する上司、先輩、同僚、部下、後輩、つまりすべての「他人(ひと)に関心を持つ」ことによって、一人ひとりを大事にし、強くし、総じて海自が有する人的基盤を強化して行かねばならないのです。このコンセプトを人口減少社会におけるキーワードを用いて言い換えれば、「人への投資」を通じて、隊員個々の生産性を向上させるということになります。私はそれに全力をもって取り組む所存です。
海上自衛隊は昨年創設70周年を迎えました。今を生きる我々は、30年後、つまり21世紀中葉に勤務する後輩諸君にとっての海上自衛隊を、素晴らしい創設100周年を迎えることが叶う組織としなければなりません。私は、歴代総監を始め、各級指揮官並びに歴代隊員諸官がこれまで築いてこられた海上自衛隊横須賀地方隊の輝かしい伝統を継承し、より素晴らしい組織として後進に繋ぐべく変化に挑戦し続けていく所存です。
チャールズ・ダーウィンはこのように言ったと言われています。「生き残るものは、最も強い種でも最も賢い種でもない。最も変化に適合し得る種である」と。
終わりに、本ウェブサイトをご覧いただいている皆さんにおかれましては、海上自衛隊の活動に対します、引き続きのご理解、ご協力の程よろしくお願い申し上げます。
令和5年8月29日
海上自衛隊 横須賀地方総監
〒238-0046
神奈川県横須賀市西逸見町1丁目無番地
海上自衛隊 横須賀地方総監部
TEL 046-822-3500(代表)
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