ゼウリクヨウイ

ゼウリクヨウイ

解説

「上陸用意(ジョウリクヨウイ)」のことで艦艇から外出するための準備をする意味。艦艇乗員にとって、一番うれしい号令です。
手旗信号には小さい文字がないため、「ジョウ」を「ゼウ」と表現します。

手旗組み合わせ表

手旗組み合わせ表
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引用元:海の手帳(公益財団法人 日本海事広報協会 発行)

手旗信号とは

 右手に赤旗、左手に白旗を持って行う「手旗信号」は、日本特有の視覚通信です。
 明治期に日本海軍で考案されたもので、今でも海上自衛隊では、艦艇同士の通信に使用されている伝統的な通信手段のひとつです。

「手旗信号」を演練する女性隊員「手旗信号」を演練する女性隊員

「手旗信号」のルーツ

 「手旗信号」のルーツは、18世紀にフランスで考案された「腕木通信」といわれる強大な腕木の形の変化を望遠鏡で確認する視覚信号とされ、当時フランス全土に腕木通信網が整備されていました。

 この腕木通信を参考にし、フランス海軍やイギリス海軍などでは、視覚内の通信手段として、両手に同じ色の旗を持って、アルファベット26文字と数字10字を表現する「セマホア信号」が考案されました。この 「セマホア信号」は、現在でも諸外国海軍等にて広く使用されています。

腕木信号

 日本には、明治期に日本海軍が、日本の実情に合わせイロハ48文字を送受信できるように「手旗信号」が開発されました。当時は、秘密扱いとされた「手旗信号」は、その有用性から陸軍でも採用され、幾多の変遷を得て、海上自衛隊に継承されています。

 情報通信が高度に発達した昨今、「手旗信号」は、過去の産物と言えるかもしれません。
 しかし、特別な機材や電源を必要とせず、一切電波を発することのない「手旗通信」は、時に無線通信を凌駕する潜在力を持ち合わせた、簡便かつ合理的な通信手段とも言えそうです。

フランス海軍艦艇と「セマホア信号」で交信する「いかづち」航海科員
フランス海軍艦艇と「セマホア信号」で交信する
「いかづち」航海科員

※第1術科学校教育参考館 所蔵