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 米海大ナウ!

 海軍リーダーシップ倫理センター(NLEC)配偶者プログラム

(071 2016/07/27)

米海軍大学   客員教授
1等海佐    下平   拓哉

   昨今、米海軍が重視しているものの一つにリーダーシップ教育があります。2014年5月、米海大が所在するニューポートの同じ基地内に、これまで分散されていたリーダーシップ関連部門を集約し、「海軍リーダーシップ倫理センター(Navy Leadership & Ethics Center: NLEC)」を新たに設置し、新兵からトップに至るまで一貫したリーダーシップ教育を所掌することになりました。
   NLECには、メジャーコマンドの指揮官候補や駆逐艦等の艦長・副長候補の士官、部隊先任下士官候補の下士官等に対して様々なプログラムを提供しますが、その中でも特に興味深いのが、該当士官及び下士官に対する配偶者プログラムがあることです。

【シニア・モデレーターへの聞き取りとクラスルーム】

   配偶者プログラムは、一週間、夫婦一緒に行われます。そこでは、オンブズマンやMBTI(Myers Briggs Type Indicator)等の様々な手法が取り入れられています。オンブズマンでは、誠実な対話を通じて、生起した問題にどのように対応すべきかを考えます。また、MBTIとは、ユングの心理学的類型論をもとに米国において開発されたもので、他者との違いを知り、他者を肯定的にとらえることを目的にした自己理解、自己管理メソッドです。

【必読文献と夫婦共同作成課題】

   米国における教育の最大の特徴の一つが、本をよく読むことです。NLECもその例外ではなく、当該期間中、多くの必読文献が提示されます。その代表的なものの一つが『7つの習慣(The 7 Habits of Highly Effective People)』です。これは、1989年、アメリカの最優良経営コンサルタントとして活躍したスティーブン・R・コヴィーによって書かれたもので、7つの習慣とは、主体性の発揮、目的、最優先事項、Win-Win、理解、相乗効果、刃を砥ぐことを示しています。コヴィーの著作には、その他、時間の使い方に焦点をおいた『7つの習慣:最優先事項(First Things First)』『7つの習慣:原則中心のリーダーシップ(Principle Centered Leadership)』がありますが、いずれもミリオンセラーであり、NLECのみならず、米国ではリーダーシップを考える上で最低限必要な教養とされています。
   配偶者プログラムの最後は、これらの教育の集大成として、夫婦による共同作業を実施します。これからの将来を乗り越えていくためには、何が必要かを考え、それを模型化します。そして、それを他者に説明、表現できることが最終目標となります。よく考え、それを正しく表現することができて、はじめて結実するのです。

(2016年7月11日記)

【NLEC HP】
https://www.usnwc.edu/Departments---Colleges/Command-Leadership-School-(1).aspx

【リーダーシップ必読文献】
https://www.usnwc.edu/Departments---Colleges/Command-Leadership-School-(1)/Resources.aspx