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 米海大ナウ!

 複雑性と革新;非正規戦・非国家主体センター(CIWAG)シンポジウム

(070 2016/07/22)

米海軍大学   客員教授
1等海佐    下平   拓哉


【マイケル・フリン元米国防情報局(DIA)長官とピーター・ダットン中国海事研究所(CMSI)所長】



   2016年6月28、29日、米海大の非正規戦・非国家主体センター(The Center for Irregular Warfare and Armed Groups : CIWAG)主催の第8回CIWAGシンポジウムが実施されたので、参加してきました。CIWAGは、テロ、ゲリラ、反乱勢力等に代表される非正規戦に対する学際的な研究を促進させるため、2008年に米海大に設置されました。
   今回のテーマは、「複雑性と革新」であり、ISILのプロパガンダ、シリア騒乱におけるソーシャル・ネットワークの役割、クルド・ISILに対するトルコの戦略、中国の非対称戦・サイバー戦、グレーゾーン紛争における米海軍特殊部隊の役割、麻薬とテロに係るヒズボラの関与等を扱いました。





   基調講演で、マイケル・フリン(Michael T. Flynn)元米国防情報局(DIA)長官は、2016年7月まもなく発売の新著『The Field of Fight』を紹介し、これまでテロの増長を止めることができなかったのは、伝統的な軍事情報の分野が疎かになっていたことを鋭く指摘しました。テロとの戦いに勝つためには、敵を知ること、特に情報機関の連携強化による現場への正確な情報提供が重要であることを強調していました。
   CIWAGの特徴は、学際的アプローチを採ることともに、学者と実務者との相互作用を強化することにあります。したがって、最近顕著となっている実際のケース・スタディを題材とする活発な議論が重要視され、スピード感が求められます。
   米海軍特殊部隊(ネイビーシールズ)出身の初の米海大学校長であるハウ少将は、「非正規戦が非常に危険な脅威であることを忘れてはならない」と警鐘を鳴らしています。

(2016年7月8日記)

【CIWAGシンポジウム】
https://www.usnwc.edu/About/News/June-2016/NWC-symposium-focuses-on-irregular-warfare.aspx

【ダットン教授関連論文】
https://www.usnwc.edu/Publications/Naval-War-College-Review/Summer---2016.aspx

   米国の国益を守るために、あえて摩擦を創出するアプローチを提唱