海上自衛隊幹部学校

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 米海大ナウ!

 作戦思考を身につける:統合軍事作戦(JMO)

(053 2016/03/25)

米海軍大学   客員教授
1等海佐    下平   拓哉

【JMO部長ラブランチ大佐】

   2016年2月19日、「統合軍事作戦(Joint Military Operations:JMO)」のインターミィディエイト・コース(主として少佐級)が開始されました。JMO部長のラブランチ(Richard LaBranche)大佐の言を借りるならば、「クリティカル(批判的)」かつ「クリエイティブ(創造的)」な作戦思考を身につけるための17週間にわたる知的旅行の始まりです。
   インターミィディエイト・コースは、卒業後、艦隊司令部等において作戦レベル(Operational level)の幕僚活動、とりわけ作戦計画を立案するといった実践的な活動ができることを目指しています。したがって、特に今年から、作戦の基本・基礎にあたる「戦術(Tactics)」を強化していることが大きな特徴でしょう。具体的には、艦艇や潜水艦、航空機といったプラットフォーム、武器、センサー等の「能力(Capability)」を徹底的に学ぶことから始まります。

テーブルトップ演習で使用する戦術ボード】

   与えられた目的を達成するため、戦術場面において、どのように艦艇、潜水艦、航空機といったプラットフォームを配備するか。最新鋭の沿海域戦闘艦(LCS)をどのように使うのか。これらを判断するためには、我の兵力の能力を徹底的に理解した上で、同盟国の能力にも通じる必要があり、そして考え得る相手の能力と意図を掴むことが重要となります。しかしながら、その能力と意図の把握はあまりにも難しく、また未知な部分も多いため、それをカバーできる唯一の手段として、「クリティカル(批判的)」かつ「クリエイティブ(創造的)」な活発な議論が必要なのです。
   JMO部長のラブランチ大佐は、F/A-18ホーネットを乗りこなす生粋の米海軍軍人で、いわゆる「海上軍人(Maritime Warfighter)」です。JMO部長就任にあたって次のように語っています。「訓練とは、知っていることを準備すること。そして教育とは、知らないことを準備すること。」
   日本の防衛に任ずる者にとって、現在に対応し、将来に備えるためには、訓練と教育、ともに不可欠な要素なのです。

(2016年3月13日記)

   【JMOビジョン】
   https://www.usnwc.edu/About/News/March-2015/New-JMO-Chair-Lays-Out-Vision.aspx

   【CNCS2016シラバス】
   https://www.usnwc.edu/getattachment/55173c57-9867-4664-9c5d-e554732b2fad/Spruance-Course-2016-Syllabus.aspx

   JMOインターミィディエイト・コース2016のシラバスをダウンロードすることが可能です。これを見れば、それぞれのセミナーの目的、背景、議論のポイント、必読文献等を理解することができます。