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 米海大ナウ!

 米国海軍大学に批判的思考を学ぶ-海上自衛官の知的挑戦
 下平1佐の執筆論文が外交専門誌『外交』に掲載

(046 2016/02/18)

米海軍大学   客員教授
1等海佐    下平   拓哉

   外交専門誌『外交』は、『外交』編集委員会が幅広い視点から,日本を取り巻く国際情勢の現状、外交に関する各界各層の様々な議論を広く紹介する、国内唯一の外交専門誌です。最新の第35号(2016年1月)に、私の原稿が掲載されました。


要 旨

「米国海軍大学に批判的思考を学ぶ-海上自衛官の知的挑戦」

   台頭する中国は、「新安全保障観」や「一帯一路」、「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」等の新たな概念を次々に掲げ、アジア太平洋地域における安全保障と経済の分野において、積極的かつ堅実に主導的な立場を獲得しようとしています。
   このような安全保障と経済に係る環境変化に対し、日本は「積極的平和主義」を、そして米国は「リバランス」を掲げ、2015年4月25日の日米共同声明により、「不動の同盟」を確認しました。そして18年振りに「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」を改定し、また環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の促進を合意するなど、アジア太平洋地域、さらには世界の安全保障と経済の安定に大きな希望が灯されました。
   これらによって、日米が協働して主導してゆく方針が明らかとなり、日本が位置するアジア太平洋地域における抑止力が大きく高まったことは確かでしょう。次に必要なステップは、外務、防衛、経済産業等、それぞれの分野における優先順序を付した具体的方策の立案、つまり行動プランの策定と実行です。
   しかしながら、安全保障問題の多様化、複雑化、そして予測可能性の困難化といった傾向を踏まえれば、新たな環境変化に応じて新たな行動プランを策定、実行できる人材の育成も併せて重要な問題である。直面する安全保障環境を冷厳に判断し抑止力を高める人材を育ててゆくことこそが、今の日本に忘れがちな最重要な側面です。
   ここでは、私が教鞭を執る米海軍大学における教育研究内容を踏まえ、これまで見過ごされてきた海洋安全保障に係る教育研究の集中化とグローバル化を図ることを提言しました。

(2016年2月4日記)

【外交HP】
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/gaikou/vol35.html