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 米海大ナウ!

 米海大中国海事研究所(CMSI)との共同研究を発信 CMSIマーティンソン研究員と共同執筆した拙稿がジェームスタウン財団編Web誌 『チャイナ ブリーフ』に掲載

(003 2015/05/21)

米海軍大学連絡官/インターナショナル・フェロー
本校戦略研究会(SSG)   1等海佐    下平  拓哉

   


   ジェームスタウン財団(The Jamestown Foundation)が編集しているWeb誌『チャイナ ブリーフ(China Brief)』Vol XV, Issue 10(2015年5月15日)に、米海大中国海事研究所(CMSI)マーティンソン(Ryan Martinson)研究員と共同執筆した拙稿が掲載されました。
   海上自衛官とCMSI研究員との共同執筆は初めてのことであり、これは、昨年、海上自衛隊幹部学校と米海大間で新たに合意された関係強化メモランダムに基づいて共同研究した成果のひとつです。
   今後、海上自衛隊幹部学校と米海大が一層協力関係を深め、ともに研究・発信・教育していくことは、深刻さを増すアジア太平洋地域の安全保障にとって、有効かつ堅実なツールであることは間違いないでしょう。

要 旨

「沿岸警備隊の弱点補強を進める中国 (Curing China’s Elephantiasis of the Fleet)」
   本年4月に海軍情報部から公表された報告書『中国海軍(PLA NAVY)』によれば、中国の海洋法執行機関は200隻以上の船艇を有し、世界でも有数の外洋型沿岸警備隊であると評価している。そして、中国はこれらの船艇を活用して、東シナ海や南シナ海における領有権主張を強めている。
   本稿では、中国の海洋法執行機関の弱点が、沿岸を警戒監視するための航空機にあることに着目して分析を加えた。2013年7月に、中国の海洋法執行機関の再編がなされ、中国海警(China Coast Guard)が新たに設置されたが、北海・東海・南海分局のそれぞれに2機合計6機しか固定翼航空機を保有していない。300万平方キロの広大な海洋を警戒監視するにはあまりにも不十分である。
   しかし、中国海警局では、固定翼航空機の重要性をすでに認識しており、現在保有しているY-12を上回る能力を有するMA-60やAG-600の導入を検討していることが分かった。中国のスプラトリー諸島や、ファイアリー・クロス礁、ミスチーフ礁における活動は活発化を増している。中国海警が、船艇とともに固定翼航空機の本格的な導入が始まれば、現在の弱点は克服され、海洋における中国の主張を現実化できる恐るべき沿岸警備隊となることに警鐘を発した。

【チャイナ・ブリーフ HP】
http://www.jamestown.org/programs/chinabrief/single/?tx_ttnews%5Btt_news%5D=43913&tx_ttnews%
5BbackPid%5D=25&cHash=6304dfd02f91e0b01d47f2f5a0975426#.VVjr7MtFDIU