海上自衛隊幹部学校

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 留学制度

米国防大学

1等海佐 半崎 誠

 

   2018年6月から1年間、ワシントンDCに所在する米国防大学に留学し同校のアイゼンハワースクールにて国家資源戦略論を学ぶ機会を得ました。この米国防大学は統合参謀本部議長隷下の統合軍事大学であり、学生は米国4軍から選抜された大佐及び中佐のほか、沿岸警備隊、国務省、国防総省、国家安全保障省などの文官職員及び民間企業社員、並びに50か国以上からの留学生で構成されています。米国防大学は安全保障分野を職務とする者にとって最高のキャリア育成機関のひとつであり、私にとって米国でのこの1年間は、国家資源戦略に関する知見の習得、米国の社会・文化に対する理解の深化、各国から集う軍種及び職業を異にする多くの学生たちとの交流を通じ、貴重な経験と成長を得る機会となりました。

   アイゼンハワースクールは、正式名称をThe Dwight D. Eisenhower School for National Security and Resource Strategyといい、その名のとおり安全保障戦略の策定能力及びその実行のための国家資源の評価・管理・運用に必要な知見及び政策立案能力の習得を目的とした教育を行っています。このため、アイゼンハワースクールは国家資源の管理運用に必要な知見となる経済学や産業研究、組織管理論などで構成されたカリキュラムを持ち、米軍各大学のなかでもユニークな教育課程となっています。国家資源戦略とは、安全保障戦略がEnds(目的)・Ways(方法)・Means(手段)で構成されたものとすると、このうちのMeans(手段)を構築するための戦略であり、安全保障戦略と密接に連携するものです。このような国家資源戦略論は、今日及び将来のわが国を取り巻く安全保障環境下での海上自衛隊のレジリエンシー強化やより適切な体制/態勢構築のための施策検討において貴重な示唆を与えてくれるものと考えます。

   また、アイゼンハワースクールで学ぶ国家資源戦略に加え、米国防大学では留学生を対象にしたアメリカの歴史、文化、社会制度、政治体制などを学ぶクラスもあり、国家としてのアメリカについて理解を深める機会にもなりました。特に、建国以来の歴史を背景とした彼らの物事に対する考え方、建国の理念を基盤として彼らがいかに自由と民主主義を重視しているかを知ることは、米国が国際社会を見る際の視点や事象の捉え方の理解に役立ちました。さらに、米国社会がもつ多様性が米国発展の力の源泉となっている事実とともに、その多様性ゆえに様々な矛盾や問題にも直面していること、そしてそのことを隠すことなく議論する姿勢も強く印象に残りました。わが国の同盟国である米国のこうした価値観や考え方についての理解は、今後、わが国と米国の防衛協力や交流の場で大きな力になると考えます。
   そして、米国を含めた多くの国々からの学生たちとの交流によって、私の留学生活はより意義深いものになりました。わが国の同盟国や友好国から広く集った彼らとの絆を深められたことは、この一年での最大の成果でもあります。様々なバックグラウンドと多様な考え方をもつ彼らとの毎日の会話や議論は、私にとって、知見を広げ新たな視点を得る機会になりました。ここ米国防大学での厳格なアカデミックイヤーで席を並べ、ともに課程を修了したこの友人たちの存在は私の生涯の財産であり、国際社会の平和と安定のためにこれから彼らと一緒に仕事をできることを私は誇りに思います。

   最後に、このような貴重な留学機会を与えていただいたこと、そして、留学の準備段階から留学終了までの全ての期間を通じてサポートを与えていただいた多くの方々に感謝を申し上げ、本稿の結びとします。