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 戦略研究会

 防衛白書の “宇宙” を読み解く
-いま宇宙で何が起きているのか:CSIS『Space Threat Assessment 2019』から-

(コラム148 2019/11/15)

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“うさでん”?
    防衛省の令和2年度概算要求『我が国の防衛と予算 令和2年度概算要求の概要』によれば、2020年度予算の概算要求に、宇宙領域における能力強化のための宇宙関連経費524億円が計上された1。その中には、2020年度航空自衛隊に「宇宙作戦隊」を新設するための費用が盛り込まれている。自衛隊史上初めて“宇宙”の名を冠する部隊が誕生し、宇宙空間の防衛を担うこととなる2
    こうした中、9月末「令和元年版防衛白書」が閣議決定されたが、我が国の安全保障において宇宙空間は今や“宇サ電”(宇宙・サイバー・電磁波の新3領域の頭文字)を構成するものとして、同白書の巻頭特集I「新たな防衛計画の大綱」(=30大綱)に取り上げられており、「これらの新たな領域については、我が国としての優位性を獲得することが死活的に重要3」であると位置付けられている。
    陸・海・空という従来のドメインに、新たに4番目の物理的空間として加わった宇宙は、極めて速いスピードで変化する我が国の安全保障環境の下において、急激に重要な位置に引き上げられた感がある4。近年ではもっぱら「はやぶさ」や「リュウグウ」を通して宇宙を見、感じている人々が多い中、我が国の安全保障において「なぜいま宇宙なのか? 我が国が宇宙で、何を、何から守るのか?」「宇宙作戦隊とは? 自衛隊が宇宙空間で活動するのか?」など、自国のこととして感じることが難しい部分も多いのではないか。
    眩しい青空、輝く星空のその先に拡がる、長くロマンと冒険と科学の象徴であった宇宙が、なぜいま安全保障上の重要領域なのか。いったいいま宇宙ではどんなことが起きているのか。新防衛白書と30大綱、そして米戦略国際研究センターからの最新の報告書を併読しながら考えてみたい。

なぜ宇宙が重要なのか
    「私たちの人工衛星から自由を奪うことは、すなわち私たちそのものから自由を奪うことを意味する。」 5
    2019年、米戦略国際研究センター(Center for Strategic and International Studies:CSIS)エアロスペース・セキュリティ・プロジェクト(Aerospace Security Project:ASP)からの報告『Space Thread Assessment 2019』の巻頭言である。
    私たちの生活は、もはや宇宙に浮かぶ人工衛星無くしては成り立たないということである。すなわち、地球上の日々何億件何兆件ものデータ通信タスクや、IoTコネクティビティを支える衛星通信、国際金融市場・株式相場・全世界のエアライン管制・あらゆる移動体等がその測位・航法及び時間同期(Positioning, Navigation and Timing:PNT)に依存しているGPS等の全球測位衛星システム、気象予報や大気・海洋などの地球科学分野における科学観測衛星など、今日5,000基とも6,000基以上ともいわれる人工衛星6が、高度数百kmの低軌道から36,000kmの静止軌道までの宇宙空間を覆い、24時間365日私たちの生活を宇宙から支えている。私たちはその存在や恩恵を意識することなく、日々便利で快適な生活を享受している。
    加えてこれらの衛星インフラは、洋上通信や精密誘導、遠隔指示等の軍事システムでも利用されているほか、情報収集衛星や監視衛星などによる軍事衛星活動が、我が国の平和と安全の維持にとって極めて重要かつ不可欠であることは、北朝鮮の弾道ミサイルや飛翔体の発射事案を踏まえれば、容易に認識できる。海上自衛隊においても、艦隊間/艦隊~司令部間等の通信に衛星通信システムが装備されてから久しく、海外派遣任務はもとより大規模災害派遣時等の部隊行動等を根幹から支えている。
    つまり、「なぜ宇宙が重要なのか?」と問われれば、社会生活上・安全保障上不可欠な人工衛星の安全な活動を維持するため、というのが一つの解であるといえよう。

30大綱には何が書かれているのか
    さて、このような宇宙空間を“死活的に重要な領域”の一つと位置付けている令和元年版防衛白書/30大綱では、我が国が安全保障上、宇宙領域に対してどのように取り組むべきだと書かれているのだろうか。

    厳しさを増す安全保障環境の中で、軍事力の質・量に優れた脅威に対する実効的な抑止及び対処を可能とするためには、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域と、陸・海・空という従来の領域の組み合わせによる戦闘様相に適応することが死活的に重要になっている。
    このため、今後の防衛力については、個別の領域における能力の質及び量を強化しつつ、全ての領域における能力を有機的に融合し、その相乗効果により全体としての能力を増幅させる領域横断(クロス・ドメイン)作戦により、個別の領域における能力が劣勢である場合でもこれを克服し、我が国の防衛を全うできるものとすることが必要である。(中略)
    以上の観点から、(中略)宇宙・サイバー・電磁波を含むすべての領域における能力を有機的に融合し、平時から有事までのあらゆる段階における柔軟かつ戦略的な活動の常時継続的な実施を可能とする、真に実効的な防衛力として、多次元統合防衛力を構築していく。 7

    つまり「全ての領域(=陸、海、空、宇宙、サイバー、電磁波)の能力を強化することで全体能力の向上を図る“領域横断(クロス・ドメイン)作戦”を全うするため、全領域の能力を融合した“多次元統合防衛力”を構築する」ということである。したがって、多次元統合防衛力の下では、海であると宇宙であるとを問わず、個々の領域それぞれの重要性に大小はない。ただ相対的に宇サ電が新しい領域であるので、どの文脈で言及しても等しく“宇サ電”の並列記述となっている所以である。しかしこれでは、本稿の問いである「いま宇宙では何が起きているのか?」がはっきりとしてこない。

いま宇宙では何が起きているのか
    そこで、米CSIS ASP8 の最新レポート『Space Thread Assessment 2019』を見てみることにしたい。本レポートは、タイトルのとおり宇宙領域における安全保障上の最新の脅威認識を提供するものであり、これを見れば、いま世界の宇宙開発国が、宇宙領域での軍事競争にどのように取り組んでいるかが一瞥できる。以下に本レポートの要約を示し、宇宙の軍事脅威、及び宇宙大国である中国とロシアの状況について紹介し、いま宇宙で何が起きているのかを明らかにしてみたい。
(1)概 観
    社会インフラ・安全保障システムの衛星依存度の増大に伴い、敵対者にとって衛星システムはますます魅力的な標的となった。同時にそれは、敵の悪意から我の衛星活動を守らなければならないことを意味する。
    衛星への攻撃手段、衛星活動の妨害手段は多様化、高度化している。一方、攻撃/妨害を阻止する技術は、まだあまり確実なものとなっていない。そのため“率先して相手の宇宙利用能力を否定する能力を持つ”ということが宇宙領域における競争のトレンドとなっている。
(2)攻撃/妨害手段
    衛星への攻撃/妨害の具体的手段としては、①キネティック、②ノンキネティック、③電子、④サイバー、及びこれらのプラットフォームとしての⑤共軌道衛星、が挙げられる。
①キネティック
    衛星を物理的に直接攻撃するキネティック兵器として、直接上昇ASAT(Anti-Satellite:対衛星兵器)は、弾道ミサイル技術とミサイル防衛迎撃システム技術を組み合わせ、十分な上昇エネルギーと精密誘導をもって、目標衛星軌道との交差軌道上にミサイルを発射する。
    その発射形態から、地上の発射源は瞬時に特定され暴露されるところとなる。また、結果は不可逆的であるため、信頼できるBDA(Battle Damage Assessment:戦闘ダメージ評価)が担保されなければ、確信をもって攻撃を実行することは困難である。さらに、大量のスペースデブリによる付随的なダメージを宇宙空間全体に対して与えるため、国際批判、紛争の意図しない拡大、第三者からの報復、攻撃者自身の宇宙システムへの損害などが生じる可能性がある。そのため近年キネティックASATはあまり有用でないとの指摘があるが、技術研究・試験は続けられている。
②ノンキネティック
    レーザー、電磁パルス(EMP)、高出力マイクロ波(HPM)などのノンキネティックASATは、物理的に接触することなく目標衛星に影響を及ぼす。攻撃は超高速で完了するため、第三者から発見されにくく、攻撃者との属性付けが難しい。
    高出力レーザーは目標衛星の重要コンポーネントやミッションクリティカルなセンサー等を損傷させるために使用される。EMPやHPMは衛星のアンテナや電子回路接続部、シールド鋼の継ぎ目などから侵入し、プロセッサ部やデータメモリ部に損傷を与える。大気の通過に伴う拡散やエネルギー損失が大きいため、ノンキネティック攻撃の実行は目標衛星に近いほどよい。
    ノンキネティック攻撃は損害を可逆的な範囲内に留めることが可能であり、また特性上攻撃者の特定が難しいため、エスカレーションの積極的なコントロールや、不確実な状況の恣意的な作為、既成事実化のための時間稼ぎを企図する者にとって、有効な衛星攻撃手段となり得る。この点、以下の電子・サイバーも同様の特性を有する。
③電子(Electronic)
    人工衛星に対する電子攻撃とは、衛星~地上間のデータ送受信フェーズにおける、周波数信号の妨害または欺瞞をいう。アップリンク(地上→衛星)妨害は、コマンド信号などの衛星に向かう信号への妨害や欺瞞(スプーフィング:なりすまし)を行う。ダウンリンク(衛星→地上)妨害は、主として衛星ユーザーを対象に衛星からのデータ受信を妨害したり、偽データの混入やスプーフィングを行うものである。典型的な例は、GPS信号のスプーフィングにより受信者を偽の地理位置に置いたり、現在位置の把握を妨害することである。攻撃者自身BDAを確認しにくいか、限定的である場合が多い。
④サイバー
    衛星データを標的とする電子攻撃と異なり、宇宙におけるサイバー攻撃は衛星システム全体を標的とする。衛星及び地上局のアンテナ、衛星接続端末、システムの地上回線等を侵入ポイントとして、衛星の命令制御を掌握し通信の遮断、推進剤の供給停止、オーバーロードミッションの実行などにより衛星機能に損害を与えたり、サーバーをジャックしてデータを破壊し複合的混乱を生じさせたりして、衛星システムの根本的な損失を企図するものである。
⑤共軌道衛星プラットフォーム
    共軌道衛星とは、もともとは運用中の衛星や宇宙ステーションの機能やサービスを検査・維持するための、同一軌道上における複数衛星の同時運用技術であったが、キネティック/ノンキネティックASATのプラットフォームとしても用いることができ、第三者からこの技術目的を区別することは困難である。共軌道ASATは、まず目標衛星と同じ軌道上に共軌道衛星を投入する。投入方法は通常衛星の打ち上げと同様であり、また、カモフラージュのため最初は異なる軌道に投入した後、時間をかけて目標衛星軌道上に占位させることも、長時間休眠状態を装った後に活性化させることも可能である。
(3)宇宙大国の対衛星能力開発状況
ア 中 国
    2007年、地上発射型ミサイルSC-19により、運用終了した気象衛星Fengyun(風雲)1Cを破壊したことは、いまだ記憶に新しい。しかし大量のデブリを発生させて広範囲のLEOを汚染し、国際社会の激しい非難に晒された9。以降中国は軌道上の衛星破壊実験は行っていないが、現在は新型のDN-2及びDN-3ミサイルを用いて、SC-19を遙かに超えるGEO10(Geosynchronous Earth Orbit:静止衛星軌道。約36,000km)に到達可能な高高度直接上昇ASATの試験を行っていることが指摘されている。
    2016年6月に中国が相次いでLEO上に打上げた衛星のうち、ロボットアームを装備したAolong(遨龍)1号は、試験用のサブ衛星を放出し、これをロボットアームで捕獲・回収する能力をテストした。中国はこれを「デブリ回収技術開発のための試験衛星」だとしている。同じくTianyuan(天源)1号は、他の衛星とのドッキング・燃料補給テストを首尾よく成功させた。どちらの技術も、他衛星に対する共軌道妨害に利用される可能性がある。同年11月にはGEO上において、SJ-17実験衛星を通信衛星Chinasat 5Aに接近させた後、同衛星の周りを周回させるテストを行った。このSJ-17衛星は2018年4月までの間、GEO上のChinasat 6A及びChinasat 20に対しても同様の近接及び周回テストを行っている。目標衛星に近接すればその衛星の綿密なディテールの取得や通信諸元の調査が可能となるだけでなく、ノンキネティック攻撃のプラットフォームとしても有効である。このような活動はRPO(Rendezvous and Proximity Operation:ランデブー・近接オペレーション)と呼ばれ、平和目的か軍事宇宙能力の獲得目的かを区別することは困難である。
    他にも、2006年には米国の画像衛星が中国本土のレーザーで照射されたり、2018年時点で南シナのスプラトリー諸島ミスチーフ環礁等に配備された電子妨害装置システムは、RQ-4グローバルホークのような米無人偵察機が使用するGPS信号を妨害し偵察活動を無効化するためであることが指摘されたりしている。
    このような中国のカウンタースペース能力への積極投資は、米国の宇宙優位性を否定し、米国の宇宙アセットの活動を阻止することを目的としているとみることができる。となれば、米国の同盟国である我が国の宇宙利用に対しても、であることは考えておかねばならないであろう。
イ ロシア
    1980年代からロシアが開発を進めている対衛星兵器システム「Naryad」は、2016年のアップグレードにおいて、静止軌道帯の遙か上空50,000kmの物体を検知できる地上局と、最高40,000kmの高度まで打上げることのできるASAT多段ロケット、及びこれを搭載するTELで構成されていると報告されている。
    2014年にGEO上に投入された衛星Olymp-Kは、延べ14回に渡り3つの米通信衛星Intelsat7/901/905への接近・占位を繰り返した後、2017年にはフランスとイタリアの軍事衛星への近接を行い、仏国務大臣がロシアをして「スパイ行為だ」と公式に非難するに至っている。
    同じ年、LEO上に投入された衛星Cosmos2519は、その後マトリョーシカのように、別の2つの衛星Cosmos2521及び2523を放出した。この3つの衛星は、その後約1年間フォーメーションマニューバー、近接及びランデブーの一連のRPO活動を行っている。どのような軌道にせよRPOが可能な衛星は、キネティック・ノンキネティック・電子を含む広範囲の対衛星兵器をサポートできるようになる。
    2010年に公表されたIL-76MD輸送機に搭載できるASATレーザーBeriev A-60は、2009年、高度1,500kmの日本の衛星に対して使用されたことが指摘されている。また、ILRS(International Laser Ranging Service:国際宇宙物体観測レーザー測距サービス)のため国内に設置している地上レーザー施設を強化し、ASATレーザーに転用する可能性があることが示唆されている。2014年のクリミア紛争においては、妨害電波監視プラットフォームを用いてウクライナの衛星通信とGPSを妨害したことが明らかになっているほか、ノルウェーやフィンランド国境近くでのNATOや英国の軍事演習に際しGPSを妨害するなどは、もはや平時において常態化している。

期待される取組み
    以上、米CSISレポートでは、宇宙大国である中国及びロシアが、既にここまで大胆に対衛星能力を運用し、強化しているという具体的事実が紹介されている。特にRPOに見られるような中ロのこれらの能力が我が国人工衛星に指向された場合、社会生活や安全保障に与える影響は深刻である。
    加えて、本レポートの冒頭「対衛星攻撃/妨害を阻止する技術はまだあまり確実なものとなっていない」との指摘はさらに興味深い。というのも、サイバー戦と同様、攻撃有利・防御不利の宇宙領域において、我が国は防御力をもって優位性獲得を目指さなければならないからである。
    我が国の当面の防衛努力としては、確実な宇宙関連経費の継続的確保の下、引き続き米国等の宇宙開発技術、宇宙開発計画との緊密な連携によるSSA(Space Situational Awareness:宇宙状況監視)の構築は必須であろう11
    また、中長期的には、宇宙条約12、スペースデブリ管理、STM(Space Traffic Management:宇宙交通管理)の制度化13などの国際的な議論の場に参画し、宇宙空間の安定的利用に資する普遍的な国際的枠組みの構築に際し我が国がイニシアチブを発揮し、我が国主導による国際宇宙平和利用レジームを構築し、もって宇宙大国の脅威と国際的ガバナンス体制との均衡抑止環境を創出することも必要である。
    他方で、海洋国家である我が国の海洋安全保障の一翼を担う海上自衛隊にとって、海洋状況把握(Maritime Domain Awareness:MDA)能力強化の取組みにおいて「海洋と宇宙の連携の一層の強化」が挙げられていることは注目される14。具体的には、海洋分野におけるリモートセンシング(衛星による観測・情報収集や大容量通信技術の活用)を更に推進するとともに、自衛隊の艦艇・航空機と、先進光学/レーダー衛星などの各種衛星の着実な増強と効率的な運用を目指すこととされている15
    安全保障上の衛星インフラは、陸海空3自衛隊の統合運用の下、政府・民間も含む多くのユーザーが持つ様々なニーズを満たすものでなければならない。その中で、海洋政策判断の資となるMDA能力強化のため、いかに衛星インフラを整備していくか、将来の脅威を見据えつつ全体としての議論を進めていくことが望まれる。

おわりに
    人類唯一の有人月面着陸をも成功させた宇宙大国である米国でさえ、中国の今日の宇宙開発の勢いには脅威を感じ取っている16。2030年代の有人月着陸を目指す中国に対し、米NASAは2024年に再び有人月着陸を目指すとするアルテミス計画を進めている。台頭する中国に対抗する狙いがあるとされる17
    こうした米NASAのアルテミス計画に対し、政府の宇宙開発戦略本部(本部長:安倍首相)は10月18日の会合で「強い絆で結ばれた同盟国として、我が国の強みを生かして参画することを決定」した18。NASA長官からの呼びかけに応じる形での参画表明であり、これに先立つ9月27日、竹本科学技術担当大臣は「我々も(アルテミス計画を)ぜひ一緒にやりたい。中国という競争相手がいることを念頭に置き、しっかりと計画を立てて成果を挙げ、日本も米国も宇宙開発の世界で大きい存在感を確保できるようにする必要がある」と述べている19
    米国との共同と国際協調レジームの追求。死活的に重要な宇宙領域における我が国の優位性獲得には、この両輪が必要であろう。また、宇宙からMDA能力を支えていくためにも、宇宙領域における優位性獲得は必要である。

(幹部学校未来戦研究室 遠藤 友厚)

(本コラムに示す見解は、海上自衛隊幹部学校における研究の一環として執筆者個人が発表したものであり、防衛省・海上自衛隊の見解を表すものではありません。)

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1 平成31年度概算要求における宇宙関連経費は925億円(実際の宇宙関連予算は262億円)、同30年度は887億円(同502億円)であった。31年度は前年度から引き続きSSA(Space Situation Awareness:宇宙状況監視)システム整備費、30年度はXバンド防衛通信衛星整備費が、それぞれ大きな割合を占めた。
2 産経新聞「外交安保取材 昭和アニメ?自衛隊に創設『宇宙作戦隊』って何だ」2019年9月9日。
3 「令和元年版 防衛白書」(2019年9月27日閣議決定)3頁、また「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱」(2018年12月18日閣議決定)、2頁。
4 少なくとも25大綱においては、安全保障環境の背景としての重要性の認識に基づき、宇宙・サイバー分野における日米間/国際間の協力強化の重要性、及びグレーゾーン・島嶼部被攻撃・BMD等に続き宇宙・サイバー空間への対応能力強化の必要性が示されている。「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」(2013年12月17日閣議決定)。
5 CSIS ASP, Space Thread Assessment 2019, Apr.2019, p.4.
6 これに今後コンステレーション運用小型衛星を加えると、人工衛星総数は1ケタ変わってくる。例えば米OneWeb低軌道衛星通信サービスでは600基以上によるコンステレーションが計画されており、さらにSpaceX社によるStarlink計画では30,000基の打上げ申請がITU(国際電気通信連合)になされている。これらコンステレーションを形成する小型衛星は、主として2U~3U(1U=10㎤)程度の大きさであるといわれる。
7 「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱」P.9~10「我が国自身の防衛態勢の強化」下線は筆者。
8 Aerospace Security Project:米宇宙システムの安定性・弾力性向上のため、航空宇宙領域に関連する技術上・予算上・政策上の問題の分析や、航空宇宙部隊の運用コンセプトの探究を行っているプロジェクト。詳しくは、aerospace.csis.orgを参照。
9 Fengyunは高度約850kmのLEO上でSC-19によって微塵に破壊され、高度約4,000~500kmにわたって帯状の破片雲を形成した。破片雲の中では10cm超級デブリが約3,400個、1cm級のものは20万個が、7km/sの超高速で飛翔しているのが確認された。1cm以下の微小デブリは観測不可能であるにも関わらず、その運動エネルギーは衝突すれば一般的な衛星のパネルを貫通し、船外活動中の宇宙飛行士の生命を奪う。帯状の破片雲はやがて拡散し、今や全球を覆うに至っている。加藤明「スペースデブリ 宇宙活動の持続的発展を目指して」、地人書館、2015年、1~2頁。
    なお、これに先立つ1985年、アメリカが高度約3万8000フィートのF-15Aから発射したASM-135対衛星ミサイルによって、高度約555km上の運用終了衛星Solwindを破壊し、これが人類初のASAT実験とされる。この時も無数のデブリが発生したが、破壊高度が比較的低高度であった上、1989年~91年に記録的なレベルの太陽活動が起こって地球の大気圏が加熱され膨張したため、実験後ほとんどのデブリは膨張した大気圏に引き込まれて突入・消滅し、国際宇宙問題とならなかった。この点が2007年の中国による実験と大きく異なる。David S. F. Portree ”The Solwind ASAT Test (1985)” , “Orbital Debris : A Chronology” NASA/TP-1999-208856, January1989.
10GEOは主としてミサイル監視衛星、基幹通信衛星、気象衛星など、LEO(高度1,000km前後)は主として地球観測衛星や移動体通信衛星、ナビゲーション用測位衛星などが使用する。ISS(国際宇宙ステーション)はLEOの下層約400kmの高度にある。
11 新防衛白書においては、2022年度までにJAXAなどの国内関係機関や米国と連携しつつ、宇宙状況監視(SSA)体制を構築することとしている。
12 「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」、1966年国連において採択、日本は1967年批准、同年発効。米国、ロシア、中国のほか、北朝鮮、イスラエルなど100か国以上が批准している。
13 状況認識体制であるSSAからさらに発展し、宇宙活動の許認可制や、宇宙版AISなどによる衛星運用状況の透明化などにより宇宙空間を積極的に管理し、もって宇宙空間の持続的・安定的利用を確保しようとするもの。竹内悠「宇宙交通管理(STM)に関する議論の動向」慶應義塾大学宇宙法研究所、2019年3月27日、ほか。
14 内閣府総合海洋政策本部「我国における海洋状況把握(MDA)の能力強化に向けた今後の取組方針」2018年5月15日、10頁。
15 内閣府総合海洋政策本部、9頁。
16 2016年9月には、米国下院議会において「我々は中国との宇宙競争に負けつつあるのか?」とのテーマで公聴会が開かれている。U.S.House of Representatives Committee on SCIENCE, SPACE, & TECHNOLOGY, ”Hearings - Are we losing the space race to China?”, SEP272016.
17 当初は2028年頃を目指していたが、24年へと4年前倒しされた。日本経済新聞「米、5年以内に有人月面着陸 目標4年前倒し」2019年3月27日。
18 産経新聞「米の月着陸計画に参加決定 首相『新挑戦、強い絆で』」2019年10月18日。
19 時事ドットコムニュース「宇宙開発で日米協力=竹本科技相」2019年9月28日。