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 戦略研究グループ

 「海洋新時代における海上自衛隊-JMSDF in the New Maritime Era-」
の紹介


(コラム030 2012/07/12)

(2012/08/27 改訂)

 『海幹校戦略研究』 2012年5月号(通巻第3号)では、「変化する安全保障環境」を特集しました。「戦略研究グループ」は、このような環境の変化等に応じた我が国のとるべき海上防衛戦略とはどのようなものか、という課題についても取り組んでいるところです。まず、現在の海上防衛戦略について、どのように理解してよいのでしょうか。この点については、約4年前に出された1つの論文が、理解の一助になるものと考えます。それは、平成20年11月に、海上幕僚監部防衛部長であった、武居智久 海将補(現横須賀地方総監(海将))が、兵術同好会会誌『波涛』に寄稿した「海洋新時代における海上自衛隊」と題する論文(以下、「論文」という)です1。以下では、その内容の概略を説明します。

 「論文」はまず、海洋を巡る国際情勢を分析した上で、我が国の安全保障の目的を達成するため、海上自衛隊の目標を、(1)我が国周辺海域の防衛、(2)海洋利用の自由の確保、(3)より安定した安全保障環境構築への寄与、の3つであると定めました。そして、海上自衛隊が取り組むべき戦略を下表のように、平素から取り組む事項及び方針である「関与戦略」と、抑止が破綻し脅威が我が国に及んだ場合の「対処戦略」に分けて論述しています。


海上自衛隊の戦略

出典) 武居智久「海洋新時代における海上自衛隊」『波濤』第34巻第4号、2008年11月、16頁。


 さらに、今後の海上防衛力整備において重視すべき分野は、(1)拡大する任務への対応、(2)米軍との有機的かつ効果的な共同作戦、(3)円滑な統合運用、の3つとした上で、海上自衛隊は、(ア)C4ISR機能、(イ)対潜水艦戦機能、(ウ)洋上における後方支援機能という3つの機能と、そのための人材の育成・能力発揮に重点を置いていくべきだと主張しています。

「論文」では最後に、「波涛の読者には拙稿を踏み台として、将来の海上自衛隊の姿についてそれぞれ思索を深め、思うところを波涛紙上で戦わせてもらいたい」と述べています。

 「論文」が発表されてから、間もなく4年が経とうとしています。当時と比べて、現在の安全保障環境がどのように変化したのかを考慮に入れつつ、この「論文」を今一度読み直してみることは、我が国の今後の海洋安全保障を考えていく上で、大変意義深いことなのではないかと考えます。

 なお、「論文」が掲載されている雑誌『波涛』は、兵術同好会の会誌であるため、書店などでは購入することができません。この機会に、著者及び兵術同好会の了承を得た上で、ここに掲載致します。


「海洋新時代における海上自衛隊」『波涛』第34巻第4号


(戦略研究グループ座長  山本 敏弘)


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1 武居智久「海洋新時代における海上自衛隊-JMSDF in the New Maritime Era-」『波涛』第34巻第4号、2008年11月、2-29頁。


 本コラムに示された見解は、幹部学校における研究の一環として発表する執筆者個人のものであり、防衛省または海上自衛隊の見解を表すものではありません。