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 戦略研究会

   米海軍作戦計画作成手順書(NWP5-01)の改定状況(訳)

(トピックス067 2019/04/26)

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   本記事は昨年12月に米海軍大学(以下 米海大)1のホームページに掲載された米海軍の計画作成手順書(NWP5-01)(以下 手順書)の見直しの状況に関する記事を訳したものである。現行のNWP5-01に記述されている計画作成手続とその考え方は、米海軍以外でも多くの国の海軍で使用されているだけでなく、民間団体等と協力して活動する必要のある国際的な災害援助活動にも使用されており、共通言語的なものとして広く活用されているものである。したがって、その改定の動向を把握することは様々な場面で役立つことが考えられる。
   米海軍が使用している現行の手順書は2013年に作成されたものであり5年ごとの見直しの時期を迎えている。米海大では、改定のためのプロジェクトを立ち上げ、2019年中に改定を目指し検討を開始している。
   記事によれば現行の手順書は、例が不適切、各段階の入出力の齟齬、他のドクトリンとの齟齬等の不具合があるものの、全面改定の必要はなく部分的な改定で十分としている。(詳細は訳のとおり)
   なお仮訳は原著者による正確性検証は実施されていない。原文は(英語版)は、米海大HP(https://digital-commons.usnwc.edu/moc-warfighter/vol1/iss13/3/)で閲覧することができる。

(幹部学校運用教育研究部 作戦研究室 舟津宏義)

(本稿に示された見解は、幹部学校における研究の一環として発表する執筆者個人のものであり、 防衛省、海上自衛隊の見解を表すものではありません。)

---------------以下 記事の仮訳-----------------

Navy Warfare Publication 5‐01, 米海軍計画手順書: :定期的な見直しと改定
By Prof Tim t Laurent

   米海大は、Navy Warfare Publication(NWP)5-01(米海軍計画作成手順書)の初の見直しと改定の最中である。 米海大は、NWP 5-01の「一次審査機関」である。 一次審査機関として、米海大は現行のNWP 5-01に責任があり、5年ごとに見直しと(必要に応じて)改定が行われる。 この記事の目的は、NWP 5-01の見直しと改定のための米海大の計画作成および実施に対する概要を提供することである。 理想的には、この記事は米海軍計画作成手続きの利害関係者を刺激し、今後数カ月以内に見直し手続きへの彼ら自身のインプットについて考え始めるようにさせることである。

   見直しと改定の手続きの目的は、現行のNWP 5-01の欠点に対処し、内容の正確さを確実にし、統合および他のドクトリンとの一貫性を確実にし、そして他のドクトリン出版物に取って代わられた、または記述されている資料を削除することである。 より具体的には、改定は「構想的な計画作成」と「詳細な計画作成」の間の区別を明確にし、構想的な計画作成のためのデザイン手法ツールを提供し、対抗分析のための概念的ガイドを提供し、海軍と統合用語を調和させる。

   現行のNWP 5-01には、いくつかの欠点がある。 第一に、文中の例(シナリオ等)は包括的ではなく、海上作戦を中心としたものではなく、さらに一貫性もない。 さらに、さまざまな段階の入力と出力が一致せず、また生成された出力がどこに手戻りでフィードバックされるのかが必ずしも明確ではない。 いくつかのケースでは、現在の統合及び海軍のドクトリンと一致していない。 些細な問題ではあるが、他にも無数の問題がある。
   米海大の中では、College of Maritime Operational Warfare(CMOW)がNWP 5-01の見直しと改定手続きの管理を担当している。 NWPの欠点に対処するために、CMOWはその教授陣の1人を改定作業のプロジェクトマネージャに任命し、執筆チームと米海大の主要な学部からの専門家で構成される編集委員会を組織した。「NWP 5-01の見直しと改定のための原則」は、CMOWのマネージャによって公表された。 これは編集委員会と執筆チームに作業方針を与えるものであり、内容は下記のとおりである。
   • NWP 5-01が、(1)米海軍計画作成ドクトリンを制度化するものであること(2)米国海軍に新しい
       計画作成案を「慎重に」提案すること(3)計画担当者及び教育計画担当者にとって、計画作成
       を行うための計画作成参考文書として機能すること。
   ・ 現行版は根本的に「だめ」というわけではなく、全面改定までは必要はない。
   ・ 現行版では、フロー、内容の明確さと深さ、一貫性、および例を更新する必要がある。
   ・ 最初の改定案は、米海大全体としての改定案であり、それが部隊に見直しのためにリリース
       された後に、米海大が追加の大きな変更を提案する必要がないものであること。

   改定手続きの最初の段階の1つは、他のドクトリンとの重複について見直し、新しい改定案の構造を定式化することだった。 これが完了すると、「プログラム令達」(PD)が生成されました。 PDは、Naval Warfare Development Command(NWDC)から部隊の利害関係者へのメッセージであり、NWPの改定のための行程表と改定案に含まれる内容の概要を詳述している。 これを書いている時点では、PDはNWDCによって公開されていない。 PDの最初のマイルストーンは、部隊による見直しのために2019年3月に最初のドラフトを米海大からNWDCに提供することある。

検討中の改定案の変更事項

   ・ 第1章、海軍計画作成の概要:構想的な計画作成と詳細な計画作成を区別しやすくするため
       に章を改定し、デザイン手法を説明し、計画作成および実施を通じて作戦評価の役割を
       強調する。
   ・ 第2章、使命の分析:デザイン手法を取り入れる。
   ・ 第3章、行動方針の検討:行動方針の検討の手続きを論理的な方法でレイアウトし、行動方針
       の検討手続きを目標にリンクするように修正する。
   ・ 第4章、行動方針の分析:手続きを3つの段階に簡素化する。対応行動に具体的な成果に
       忠実性を追加する。準備及び実行中の役割と責任を整理する。対抗分析の実施要領を示す。
   ・ 第5章、行動方針の比較と判決:別紙にある比較マトリックスを組み込み、計画の作戦構想の
       準備について詳しく説明する。
   ・ 第6章、計画及び命令の作成:「令達の作成」と改名し、現在の慣習を説明するように修正
       する。
   ・ 第7章、伝達:現在の別の紙にある現在のリハーサルの手順を含めるように改定し、「将来
       計画」から「将来作戦」から「当面作戦」への伝達要領の説明を充実する。
   ・ 別紙A、海軍の核となる能力と計画作成手順:関連コンテンツを第1章に移動した後に
       削除する。
   ・ 別紙B、情報:NWP 2-0との重複のため、
       削除する。
   ・ 別紙C、重心分析:第1章のデザイン手法と一致するように修正する。
   ・ 別紙D、デザイン:最も効率の良い方法を説明し、方法論について詳しく説明するように
       改定する。
   ・ 別紙E、RCPA(相対戦闘力)の分析:最も効率の良い方法を説明するために改定する。
   ・ 別紙F、リスク:作戦レベルの課題により効果的に取り組めるよう、計画作成手順の内でどの
       ようにリスク評価と管理が行われるかを示すように改定する。
   ・ 別紙G、作戦評価:最も効率の良い方法を説明する。
   ・ 別紙H、行動方針の比較表:最も効率の良い方法を説明するために改定する。
   ・ 別紙J、補給:他の文書との重複しているため削除する。
   ・ 別紙K、幕僚見積:幕僚見積が計画作成手続きの過程でどのように検討され、改善されるか
       を記述するために改定する。
   ・ 別紙L、計画および命令のフォーマット:現在のフォーマットと一致するように更新する。
   ・ 別紙M、時間制限のある環境での計画作成手順:別紙の巻頭に移動し、現在の慣習を
       反映する。
   ・ 別紙N、安全保障協力と災害対応:NWP 3-0720およびNWP 3-29との重複のため、削除する。
   ・ 別紙O、リハーサル要領:第7章(令達の伝達)に移動する。
   ・ 別紙P、兵力計画作成および兵力フロー管理:内容が古いため削除し、JP 5-0、NTTP 5-014
       などで情報をカバーする。
   ・ 別紙Q、計画作成手順ワークシート:削除する。

この記事の位置づけ

   この記事に記載されている項目の一部は、部隊での見直しのためにリリースされる改定案に最終的に表示されるものとは異なる場合がある。 NWDC2への送付後、ドラフトは部隊の利害関係者による意見を得るために海軍ドクトリン図書館システムに掲示される。   NWDCは、改定案が部隊での見直しの準備ができていることを知らせるメッセージを発出する。この見直し期間は1か月間の予定である。
   一次審査機関として、米海大は関係者全員からのフィードバックを歓迎する。多くの変更は、学生や米海大のカリキュラムの卒業生によるフィードバックに由来しているが、経験豊富な作戦計画立案者による確認が、海軍のための最も効率の良い方法を効果的に伝達することを保証するために必要である。

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1 米海軍大学は、ロードアイランド州ニューポートにある戦略研究や図上演習、国際法研究等、様々な分野の研究を行っており、米海軍における重要な教育期間及びシンクタンクとして位置づけられている。
2 NWDC(Navy Warfare Development Command)はバージニア州ノーフォークにある作戦レベルの能力の向上及び、統合やコアリションにおける活動を促進するため米海軍の各コンセプトとドクトリンを策定し発展させるための組織である。戦術的な分野だけでなく、米海軍の将来構想を検討する役割も果たしている。