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 戦略研究会

   米、新「ミサイル防衛見直し」を公表

(トピックス064 2019/01/30)

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図1:2019 Missile Defense Review 表紙
   発図1:2019 Missile Defense Review 表紙1

   米、トランプ大統領は1月17日(木)、国防省において新ミサイル防衛見直し(Missile Defense Review)を公表した2。記者会見で大統領は「我々の目標はシンプルだ。米国を狙って発射されたあらゆるミサイルをどこからでもいつでも追尾し、破壊することを確実にすることだ」と強調した3
   この報告書は2017年公表の国家安全保障戦略、2018年公表の国家防衛戦略及び核態勢見直しを受けたものであり、ならず者国家やリビジョニスト国家による新たな巡航・弾道ミサイルの脅威増加に対抗する指針となるものである4

   報告書ではロシアや中国、北朝鮮、イランを名指し、そのミサイル開発動向や将来的な脅威について論述している。米本国に対する脅威の評価では、北朝鮮、イラン、ロシア、中国の順で記述されているが、報告書全体として、単語出現頻度が一番多いのは、ロシアであった5

   その上で、ミサイル防衛戦略の要素として①重層的アプローチによる包括的な防衛能力、②現在も将来の脅威に対応できる柔軟性と適応性、③統合的アプローチによる、緊密な攻勢と防勢のインテグレーションとインターオペラビリティ。④技術面、作戦面における宇宙の重要性の4点が強調されている。

   また、第6節、同盟国・友好国との協力(Working with Allies and Partners)では、インド・太平洋地域が筆頭に挙げられ、続いて欧州・NATO、中東・GCC、中東・イスラエル、南アジア、北米の順で記載されている。これは脅威の程度によるものか、同盟国への期待の程度によるものかは不明であるが、固有名詞として国名が出現する最初は日本である。

   新大綱においても、「総合ミサイル防空能力」に関しては「日米間の基本的な役割分担を踏まえ、日米同盟全体の抑止力の強化のため、ミサイル発射手段等に対する我が国の対応能力の在り方についても引き続き検討の上、必要な措置を講ずる」と示されている6

   我々も熟読・吟味し、能力向上に努める必要がある。



(幹部学校防衛戦略教育研究部 戦略研究室 石原敬浩)

(本トピック・コラムに示された見解は、幹部学校における研究の一環として発表する執筆者個人のものであり、防衛省、海上自衛隊の見解を表すものではありません。)

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1 U.S. Office of the Secretary of Defense,“2019 Missile Defense Review,” 2019.
2 Paul McLeary, “Missile Defense Review a Multi-Billion IOU to White House,” Breaking Defense, January 17, 2019.
3 『朝日新聞デジタル』2019年1月18日。
4 “2019 Missile Defense Review,” pⅠ.
5 「ロシア」22回、「北朝鮮」18回、「イラン」16回、「中国」15回、本文から筆者計測。
6 「平成31 年度以降に係る防衛計画の大綱」国家安全保障会議決定・閣議決定、平成30 年12 月18 日、19-20頁。