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 戦略研究会

 米国防省の新たな軍事戦略(第3の相殺戦略)について(その12)

(トピックス048 2016/09/27)

********************************* 目 次 **********************************

   序 言(Foreword)

   要 旨(Executive Summary)

   イントロダクション(Introduction)

   第1章:「第3の相殺戦略」の先行事例

   第2章:現状における米国戦力投射へのアプローチの欠点

   第3章:新たな相殺戦略の鍵となる要素

第4章:新たな相殺戦略の実行:グローバルな監視及び打撃構想
・無人作戦における米優位性の活用
・長距離及びステルス航空オペレーションにおける米優位性の開拓
・水中領域における米優位性の活用
・米国の複合的システムエンジニアリング及び統合での競争力の開拓
・GSS構想を実行する活動の候補
・GSS構想を実現するための現行国防オプションの再調整
・追加調査研究の方向

   結 言(Conclusion)

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新たな相殺戦略に向けて(仮訳)
Toward A New Offset Strategy

■ 第4章:新たな相殺戦略の実行~グローバルな監視及び打撃構想

◆無人運用における米国の優位性の開拓

   表1にあるように、一層自律化する無人システムは、長期運用可能、ライフサイクルコスト、搭乗員の被害回避という点での優位性ゆえに、GSSの中心部分を形成するであろう。無人システムは、重力負荷のような戦術的要素の点からだけでなく、主としてそれらは疲弊しないし精神的な思考力を失うこともないので人間工学的な限界に縛られることがない。今日、米国が保有する航空機の中で最も長期間運用できるのは、RQ-4グローバルホークと距離延伸型MQ-9リーパーであり、任務の構成によって30−40時間の無補給持続能力を有する。将来、ひとたび自動空中給油システムが利用可能になれば、高亜音速での巡航速度を組み込みつつ、無人機はその持続性を2倍にすることができる1。  反対に有人戦闘機は、通常の任務継続時間は最大10時間(給油を受けて)であるが、爆撃機のような複数員搭乗機では定期的に30時間強の飛行が可能である。どちらの場合も搭乗員の休息が必要なために、長時間の任務継続は不可能である。有人爆撃機の場合、B-2が長時間の飛行能力を発揮してきたが、その任務時間の大半が現場進出に費やされており、その間搭乗員は交代で仮眠を取ることができた。ひとたびB-2が敵の空域に侵入したならば、2人の操縦士は席に着き、任務の遂行に神経を集中する。そのように、有人爆撃機の“戦闘持久力” —敵空域内で費やされる任務の部分— は、かなり制限されており、“コックピットの中”では5時間が最大限であると考えられている。空中給油可能な無人機は、一方で、給油のために任務を離れ、再び敵空域に復帰するサイクルを繰り返すことができる利点により、出撃毎のオンステーション時間は日単位で発揮できる能力がある。(それらの搭載武器が枯渇していないという条件で)

   無人機の給油による超長期間の任務持続(例:48時間強)をもって、比較的小規模の無人機により間断ないISR攻撃空中待機を維持する余裕が生まれる。平時においてこの機能は、上空飛行制限がなくほぼ全球の範囲を提供する衛星遠隔センシングを補完するものである。無人機は、現在の衛星では実施できない“定点(stare)”監視を行うことができる。公海上空から、無人機は将来の敵の領土内を凝視することができる。有事においては、無人機はISRに関する精密航法と時間測定(例:GPS“疑似衛星”)及び長距離通信(航空機中継)両方の宇宙機能の喪失に対する重要な作戦上のヘッジとなる。機能拡張され、空中給油可能な無人機群は即応的、地理的に分散され、継続可能で、伸縮自在(scalable)な監視・攻撃能力を発揮できる。

   コストを最小限にするために、GSSネットワークは、さらに下位のシステムを搭載した無人機の“ハイ・ロー”ミックスを開拓する。(例:グローバルホーク及びリーパー)この下位の無人機は、低・中程度の脅威環境下と同じく、平時における世界的なISR攻撃範囲の多くを与える。とはいえGSS構想の意図は、可能な限り過去の部隊構成を利用するのであり、活動範囲と残存性に関して艦隊が有する現状の不均衡を是正するために、3つの新たなステルス性を有する長距離無人機の開発・配備が特に必要なのである。

   その第一はステルス性の高高度長期滞空ISR無人機で、これはRQ-4グローバルホークを補完し、平時において拒否されたり政治的に機微な地域で隠密裏のISR支援(限定的攻撃も)を行い、有事には中・高程度の脅威環境下で重要な広域のISR範囲を提供する。この航空機は限定的な攻撃兵器を搭載し —特に、防護または機微な地域における対テロ作戦で有益であり— これはISR及びおそらく電子攻撃に最も活用されるであろう。識別された目標位置は秘匿系で受け渡され、GSS戦闘管理システムへ低確度要撃/低確度探知(low probability of intercept : LPI / low probability of detection : LPD)データリンクを送出する。これは攻撃に利用できる最良の “発射”プラットフォームを自動的に決定するのである。

   残りの2つの航空機の関係性は近いのであろうが、全く別物のプラットフォームである。陸上、艦上のステルス性無人空中戦闘システムは、持続性のある、広範囲の攻撃を中・高程度の脅威環境下で実施する2。外見は異なるが、コスト削減のために、それらは、同じサブシステム、商用のエンジン、レーダー波吸収翼端及び被膜、搭載武器、及び任務管理及び管制システムの多くを利用している。(例:電子機器、航法装置、センサー、通信)搭載艦の幅に制限を受けず、たとえば、地上型のMQ-X(訳者注:米空軍の無人機「プレデター(Predator)」シリーズの後継機)では大型の翼幅を有しているようであるが、同時にさらに豊富な兵器を搭載できるのである。艦載型の海軍無人空中戦闘システム(N-UCAS)では堅牢な内部構造を有し、カタパルト発射及び着艦拘束の衝撃に適応させている。超長期の滞空時間に関して、双方ともに自動化された空中給油に対応している。中・高程度の脅威環境下における生存性に関しては、双方ともに全方位広範スペクトラムでのレーダー反射面積削減及びおそらく限定的な視認距離外での運用、自衛のための空対空攻撃能力を有する。やがては、陸海空発射ミサイルに対する近接自己防御は、近接するミサイルを探知追尾し、終末誘導用シーカーを破壊する高出力レーザーシステムによって行われるかもしれない。MQ-Xと海軍無人空中戦闘システムが固定目標の急速な破壊に貢献するものである一方、それらの中心任務は、A2/AD環境下の広い地理的地域可搬・移動可能目標を探知し破壊することである。すべての3つのステルス無人機は、有人長距離攻撃爆撃機を“鎚(hammer)”とすれば、これに対する“鉄床(anvil)”の役割を演ずる。(訳者注:古代ギリシャの鉄床戦術を念頭に表現したものと推察) これは、最優先の固定目標に対する大量攻撃に最も活用されるだろう。海軍無人空中戦闘システム/MQ-X実用のための重要な技術は、すでに無人空中戦闘システム実証計画で実証されているか、無人空中戦闘システム実証計画の延長及び拡張によって短期的に実用となるかのいずれかである。無人水中ビークルと無人陸上ビークルは、現状では最先端技術の限界による任務持続という点について遅れており、内燃・電気ハイブリッドと同じく高密度エネルギー貯蔵、先進的な蓄電池、燃料電池、新たな動力源(例:アルミニウム・塩水燃焼)によって進んで行くであろう。航空ビークルのように、それらはさらに長い任務持続を獲得するために前進地域での燃料再搭載/再充電できるようになる。以降で述べるように、無人水中ビークルは限られた攻撃型原潜/巡航ミサイル原潜の能力を多くの追加任務を引き受けることにより埋め合わせることができる。原子力潜水艦を母艦とする無人水中ビークルは、事実上、その地理的行動範囲を拡大し、障害のある浅海域及び活動が制限された沿海水域への到達範囲を延伸するであろう。

   “パイプライン(pipeline)” の訓練(訳者注:米軍予備役における区分指定であり、12週間又はそれと同等の初度兵役を完了していない訓練未了の士官及び下士官を識別するためのもの。)に必要な多くのプラットフォームを調達する必要をなくすことによって、無人システムではライフサイクルコストを大幅に削減可能であり、同様に平時の訓練と戦闘準備態勢の維持と人件費の節約と相まって運用及び維持管理コストを削減可能である。海軍は、たとえば出撃中または沿岸待機中に関わらず飛行士が年間で訓練できるよう、すべての10個航空隊へ供給する特定の航空機種を現状大まかには十分調達している。海軍無人空中戦闘システムであれば、飛行士の訓練は必要なくなり、海軍は、展開可能な最大多数を装備できるに必要な数量の空母(一般に一定状態基本の2〜3隻の空母が出撃し、その他の2〜3隻の空母が危機事態で“増強”され得る。)を調達する必要のみとなる。結果として、有人航空機と比較すると、海軍は艦載型無人機システムの半数を調達して通常の半数を飛行させ、潜在的に何十億ドルもの節約を運用と支援と同じように可能とするのである3。基本的に同様のコスト節約モデルは、同様に空軍の無人システム系列にも当てはまるだろう。

◆長距離及びステルス航空オペレーションにおける米国優位性の開拓

   GSSネットワークの典型的な機能は、F-18スーパーホーネットやF-35ライトニングⅡのようなレガシーな戦術航空機が適時適所に飛行する一方で、ネットワーク内の空中装備のほとんどは広い行動範囲を有している。 —これは長い無補給戦闘半径(例:B-1/B-52、B-2、長距離攻撃爆撃機、RQ-4グローバルホーク、MQ-4トリトン、ステルス高高度長期耐用無人機、及び MQ-9リーパー)または無人運用及び空中給油(例:MQ-X及び海軍無人空中戦闘システム)による超長距離任務持続によるものである。これらのGSS航空機は、当初の待機位置にかかわらず侵害の緊急速報に対して全球的に出動することが可能であるし —素早くそれを行うことができる。述べてきたとおり、幾分は、保有在庫上の非ステルス機とステルス機への割合のバランスを適切にするためにGSS構想は3つの新たなステルス無人機の配備を必要としている。対する有人機(例:B-2及び長距離攻撃爆撃機)と協力して、平時には、これらのステルス航空機は定期的に秘匿作戦及び機微な支援活動(例:特殊偵察作戦)を実施する。強固なA2/AD能力を有している敵に対する交戦状態が生起した場合には、有人及び無人ステルス航空機のこの系列は、GSSネットワークの航空活動の根幹を担うものとなり、広範囲の作戦を実施することになる。それは、広域ISR及び広域海洋監視、航空機からの電子攻撃(近距離)、固定目標に対する大量精密攻撃、遠距離精密攻撃(内陸目標を含む)、移動及び移設目標に対する常続監視及び攻撃、HDBT破壊、機雷敷設並びに対水上戦である。特にこれらすべての航空機は、敵の地対空ミサイル及び戦闘機の攻撃範囲外にある給油機から、戦闘空間の奥行きと幅を行動範囲に収めるだけの十分な無補給戦闘半径を有している。

   GSSネットワークの典型的な機能は、F-18スーパーホーネットやF-35ライトニングⅡのようなレガシーな戦術航空機が適時適所に飛行する一方で、ネットワーク内の空中装備のほとんどは広い行動範囲を有している。 —これは長い無補給戦闘半径(例:B-1/B-52、B-2、長距離攻撃爆撃機、RQ-4グローバルホーク、MQ-4トリトン、ステルス高高度長期耐用無人機、及び MQ-9リーパー)または無人運用及び空中給油(例:MQ-X及び海軍無人空中戦闘システム)による超長距離任務持続によるものである。これらのGSS航空機は、当初の待機位置にかかわらず侵害の緊急速報に対して全球的に出動することが可能であるし —素早くそれを行うことができる。述べてきたとおり、幾分は、保有在庫上の非ステルス機とステルス機への割合のバランスを適切にするためにGSS構想は3つの新たなステルス無人機の配備を必要としている。対する有人機(例:B-2及び長距離攻撃爆撃機)と協力して、平時には、これらのステルス航空機は定期的に秘匿作戦及び機微な支援活動(例:特殊偵察作戦)を実施する。強固なA2/AD能力を有している敵に対する交戦状態が生起した場合には、有人及び無人ステルス航空機のこの系列は、GSSネットワークの航空活動の根幹を担うものとなり、広範囲の作戦を実施することになる。それは、広域ISR及び広域海洋監視、航空機からの電子攻撃(近距離)、固定目標に対する大量精密攻撃、遠距離精密攻撃(内陸目標を含む)、移動及び移設目標に対する常続監視及び攻撃、HDBT破壊、機雷敷設並びに対水上戦である。特にこれらすべての航空機は、敵の地対空ミサイル及び戦闘機の攻撃範囲外にある給油機から、戦闘空間の奥行きと幅を行動範囲に収めるだけの十分な無補給戦闘半径を有している。

◆水中領域での米国優勢の開拓

   原子力による本来の隠密性と極めて長い運用時間によって、攻撃型原潜と巡航ミサイル原潜は数か月にわたり、探知されずにオンステーションし続けることができる。GSSネットワーク内では、特殊作戦部隊への秘匿支援と同じくすべての脅威環境下で、沿岸のISR範囲外をカバーするために当てにされるだろう。紛争の間、もし適切に武装されていれば、無人機は伝統的な対潜戦、対水上戦だけでなく、対センサー攻撃(例:早期警戒レーダーの破壊)、敵の統合防空システム防護下で活動する重要な早期警戒機及び戦闘管理航空作戦並びに内陸奥地及びHDBTへの打撃によって、空輸による兵力投射作戦をも支援することができる。

   水中戦での米国の優位性を強化する点で、海軍は二つの差し迫った問題に直面している。それは、衰えつつある兵力構造、限定的な攻撃能力及び柔軟性である。レーガン政権時代の高まりの間に調達されたロサンゼルス級潜水艦は、バージニア級攻撃型原潜への換装予定よりも早く耐用年数に到達しつつあり、結果、2020年半ばに始まる兵力構造の多大な低下を招いている。4隻の就役中の巡航ミサイル原潜は、2003年にオハイオ級戦略原潜(SSBN)からの換装が始まったが、2028年までに全艦が退役することになっており、結果、VLSの600セル以上の急激な減少を招くことになる。攻撃型原潜兵力構成の減少と合わされば、艦隊の水中攻撃力は2028年までには相対的に現在の60%以上にまで急落するであろう。GSS構想実現の主要素は、それゆえに、水中攻撃力を回復、または理想的には拡張し、潜水艦搭載物をさらに多目的な範囲とすることによって、米国の水中における優勢をもっと十分に開拓することである。

   VLS搭載能力がじわじわと低下するのを軽減する海軍の現在の計画は、バージニア級ペイロードモジュール(Virginia Payload Module : VPM)を次期バージニア級潜水艦に統合することであり、この計画は2019年にブロックⅤから開始される。バージニア級ペイロードモジュールは、セール(訳者注:艦橋構造物)から後方に約70フィートの位置に、4基の87インチ幅のミサイル筒を装備するものであり、それぞれの筒からは、7発の対地トマホークミサイルまたは他の攻撃兵器を発射することができる4。潜水艦に必要なコストに対しておよそ15%と最低限の増加にはなるが、バージニア級ペイロードモジュールは12発から40発へとミサイル攻撃力を3倍以上にする5。GSS構想に対する水中攻撃力及び他のペイロード(例:センサー、デコイ、電子攻撃)の重要性を考慮すれば、2019年に始まるバージニア級攻撃型原潜ブロックⅤの毎年度調達の一部であるバージニア級ペイロードモジュール更新を導入することは、最優先事項なのである。

   海軍は、外部水中ペイロードの開発及び配備を通じた能力拡充について、慎重な考慮をも行っている。“Upward Falling Payloads (UFP)”計画の下では、例えば、国防高等計画研究局(DARPA)は、遠隔でアクティベートし海面に“浮上投射(fall upward)”させるまで“何年もの間、特殊格納容器で深海底に残置したまま配備可能で、無人の、非致死的分散配置システム”を開発している6。しかしながら、計画は現在のところ、デコイやジャマー、小規模ISR無人機及び他のセンサーのような“非致死的”なペイロードに重点を置いているので、GSS構想は運動又は非運動ペイロードのいずれかによる攻撃兵器を含むよう拡張されることになる7。深度4000から6000mで静置されるよう設計されているので、将来の敵は、広く分布しているUFPの位置局限に非常に苦しむであろう。それは、捜索が要求される海域の膨大な広さによるだけでなく、それらの深度及び比較的小型であることによることからである。攻撃型原潜はさらに大型の曳航型ペイロードモジュール(TPM)を、海域にとどまったまま、数か月間も続けざまに大陸棚に錨を打つか沈座しつつ運用できる。曳航型ペイロードモジュールは次のようなペイロードの広い範囲に適応できる。それらには、対水上戦兵器、機雷、無人水中ビークル、無人機並びに空中、水上デコイ及びジャマーがある。また、前線海域で運用している長期耐用無人水中ビークルへの再充電を行うためのパワーモジュールに適合もしている。艦上のパッシブ音響センサー及び再収用可能なSIGINT/ELINTブイとともに、それぞれの曳航型ペイロードモジュールはGSSの持続ISRネットワークにおける結節点として機能することもできるのである。

   GSSネットワークは、単なる標準的対地トマホークミサイルを超える水中武器の広い範囲で有益となる。コスト最小化のための結論は、新たな装備を開発することよりもむしろ既存の兵器を改良することであるべきなのである。密接に関連する目標セットのいくつかは、さらに実質的にリスクに曝される可能性がある。例えば、新たなペイロード(例:対艦弾頭、高出力ミリ波デバイス、超小型無人機ジャマー及び“スマート”終末誘導通常弾)とともに対地トマホークミサイルを装備することによってである。同様に、VLSで発射されるスタンダードミサイル系列のようなミサイルは、航海中の発射に適合させており、理論上は、いくつもの任務を実施することができる。(例:対レーダー、対艦艇、対航空機))1000~1500海里の範囲にすぐさま到達する多量のペイロードを搬送できる潜水艦発射の弾道ミサイル及びブーストグライドミサイルは、ある程度の規模のHDBTに対する攻撃と同様に、紛争の早い時期における内陸奥地の目標の無力化のために必要である。

   GSSネットワークは、複数任務が可能であり、地域の港から出撃した広域無人水中ビークル、水上艦艇及び攻撃型原潜/巡航ミサイル原潜を配備することによって、水中領域におけるアメリカの非対称な優位性も利用するのである。無人水中ビークルは、縮小する攻撃型原潜艦隊の真の“兵力倍増(force multiplier)”であり、世界中で約40か国が現在400隻以上の潜水艦を運用していることを考慮すれば、非常に重要なことなのである。加えて無人水中ビークルは、攻撃型原潜や巡航ミサイル原潜の物理的な行動範囲を越えて沿海の浅海域に進入でき、または対潜脅威のために思い切った危険を冒さずに、広範囲の任務を遂行する。その任務には、沿海の秘匿ISR、沿岸電子攻撃、海底地形マッピング及び対センサーオペレーション、対機雷戦、対水上戦、対潜戦がある。この件に関する重要な短期的予算計上は、海軍調査部(Office of Naval Research)による広範囲無人水中ビークル(Large Diameter UUV : LDUUV)計画であり、最大60日持続可能でGPSに依存せず、規格化ペイロードシステムを採用した信頼できる自動化無人水中ビークルの開発を追求するものである。

(その13に続く)

(幹部学校防衛戦略教育研究部 戦略研究室 松本裕児) 

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1 現在の主な影響要素は、エンジン/推進器の潤滑と主要装置が重大な故障に至る平均時間の二つである。
2空母搭載型空中ビークル、海軍無人空中戦闘システムは、現在構想中の艦載無人偵察攻撃機に置き換えられるであろうが、これは不十分な残存性及び不適合な攻撃用ペイロードという二つの主要なデザインの不備に苛まれている。
3ダン・バーグ(Dan Burg)は現在、新米国安全保障センター(the Center for New American Security : CNAS)の非常勤研究員(adjunct fellow)であり、2020年代後半のF-18E/Fの無人機への換装を実行することにより生じる潜在的な経費削減に関する徹底的な研究を実施している。彼の分析では、無人機部隊を25年以上運用した場合の“コスト回避”は、最大で約560億ドル、最少で見積もっても約160億ドルの幅となる見込みである。早期に(生産の3~10年)発生した年間経費削減総額は、15億ドルから30億ドルの間となった。
Daniel Burg and Drew Martin, Life-Cycle Cost Comparison of Manned and Unmanned Future Carrier- Based Strike Aircraft, unpublished internal study (Northrop Grumman Systems Corporation, Strategic Studies Department, Navy UCAS Program, February 2012).
4 Karl Hasslinger and John Pavlos, “The Virginia Payload Module: A Revolutionary Concept for Attack Submarines,” Undersea Warfare, Issue 47, Winter 2012.
5 Sean Stackley (Assistant Secretary of the Navy for Research, Development, and Acquisition), VADM Joseph Mulloy (Deputy Chief of Naval Operations for Integration of Capabilities and Resources), and LtGen Kenneth Glueck (Deputy Commandant Combat Development and Integration), “Department of Navy Seapower and Projection Forces Capabilities,” Statement before the HASC Subcommittee on Seapower and Projection Forces, March 26, 2014, p. 9; and Less Hudson, “Virginia Payload Module Cost Estimate Down to $350 Million Apiece,” Inside the Navy, July 22, 2013.
6DARPA Strategic Technology Office, “Upward Falling Payloads (UFP),” available at: http://www.darpa.mil/ Our_Work/STO/Programs/Upward_Falling_Payloads_(UFP).aspx.
7Joey Cheng, “Pentagon Plans to Seed Ocean Floor with Payloads Waiting to Be Activated,” Defense Systems, March 27, 2014.


 本コラムに示された見解は、幹部学校における研究の一環として発表する執筆者個人のものであり、防衛省または海上自衛隊の見解を表すものではありません。