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 戦略研究グループ

 日米安全保障協議委員会(「2+2」)の共同文書発表

(トピックス003 2011/7/8)

 6月21日、2007年5月以来約4年ぶりに日米安全保障協議委員会(2+2)がワシントンで開かれ、共同文書「より深化し、拡大する日米同盟に向けて:50年間のパートナーシップの基盤の上に」が発表されました。

 共同文書では、ますます不確実になっている我が国及び地域の安全保障環境によってもたらされる課題として、地域における軍事能力及び活動の拡大、北朝鮮の核・ミサイル計画及び挑発的行動、非伝統的な安全保障上の懸念の顕在化並びに宇宙,公海及びサイバー空間などに対するその他の変化する脅威への対応が挙げられています。

 共通戦略目標も6年ぶりに見直しが行われました。いずれも不確実な安全保障環境に対応するものであり、特に海上交通の安全に関する記述では「航行の自由の原則」、「海洋における安全保障の維持」など、2005年に比べてより具体的な表現となっています。また、宇宙及びサイバー空間の保護並びにそれらへのアクセスの維持、災害対処における国際的な協力強化、原子力安全等が、新たに共通戦略目標として追加されました。

 さらに、日米豪、日米韓の3カ国の連携に加え、東南アジア諸国連合(ASEAN)との協力、インドとの対話促進など、地域との協力強化が具体的に述べられています。

 そして、こうした戦略目標を達成していくための安全保障および防衛協力の分野として、拡大抑止に係る協議、宇宙における安全保障に関するパートナーシップ、サイバー・セキュリティーに関する戦略的政策協議の設置、三か国・多国間協力、人道支援・災害対処、環境に関する協力などが新たに加わっています。

 日米は、2000年の「2+2」以来、共通戦略目標の設定(第1段)、役割・任務・能力のとりまとめ(第2段)及び兵力態勢再編の最終案のとりまとめ(第3段)を経て、2007年には「同盟の変革:日米の安全保障および防衛協力の進展」と題した共同発表するなど、安全保障全般に関する協議を進めてきました。そして、本年1月の日米外相会談では、我が国の防衛や周辺地域における事態でのより円滑な日米協力のための協議を加速させていくことで認識が一致されていることからも、今回の共同文書の内容については、日米で戦略的な視点から協議を進め、それぞれの項目の具現化が図られていくものと考えます。

 世界の多極化が論じられ、実際に中国、インド、ロシア等の国力の増大により、グローバルなパワーバランスに変化が生じている今だからこそ、世界の平和と安定に最も大きな役割を果たしている米国との同盟の価値は、より高いものになるはずです。

 今後は、昨年12月に閣議決定された防衛計画の大綱の「動的防衛力」と2010年の「4年ごとの米国国防政策の見直し」(QDR)とをどのように整合させていくかが重要になると思われます。

 海上自衛隊にも、我が国防衛及び地域/グローバル・イシューに対して、より積極的な役割を果たしていくことが期待されるでしょうし、そうした中で、米軍との役割・任務・能力に係る協議をより一層進展させていかなければならないと考えます。

(幹部学校国際計画班長 大町 克士) 


参考:日米安全保障協議委員会(「2+2」)の開催 (防衛省ホームページ)


 本トピックスに示された見解は、幹部学校における研究の一環として発表する執筆者個人のものであり、防衛省または海上自衛隊の見解を表すものではありません。