呉地方総監 おやしお自衛艦旗返納行事に際しての訓示
| 呉地方総監
海将 伊藤 弘(いとう ひろし)
ただ今、練習潜水艦「おやしお」の自衛艦旗の返納を受けました。その輝かしい功績を改めて顧みた時、誠に感無量なるものがあります。
まずもってこれまで「おやしお」の任務完遂に尽力してきた17名の歴代艦長と全乗員諸官に対し深甚なる敬意を表します。あわせて、日頃から「おやしお」をご支援頂いて参りました地元呉、転籍前の母港であった横須賀並びに近隣自治体、各協力団体そして市民の皆様に心より感謝申し上げます。
本艦「おやしお」は、おやしお型潜水艦の1番艦として、平成10年3月16日に就役しました。この「おやしお」は戦後初の国産潜水艦であった初代「おやしお」に続く2代目「おやしお」であり、両艦はともに川崎重工業神戸工場で建造されました。
この「おやしお」の特徴としては、当時主力であった「はるしお」型の船体形状が涙滴型であったことに対し、いわゆる葉巻型の形状とされたことが、まず挙げられます。さらに、国産潜水艦で初めて船体の側面にアレイを配置したソーナーシステムを装備するとともに、水中吸音材を新たに装備することで、水中索敵能力及び静粛性を大幅に向上させ、当時極めて革新的な潜水艦としてそのデビューを果たしました。
「おやしお」は就役後、我が国の防衛に従事するとともに、海上自衛隊演習、潜水艦隊戦技、米国派遣訓練等の数多くに参加し、サイレントサービスの、そして戦略的アセットの一艦として、その実力を遺憾なく発揮してくれました。
平成27年3月には練習潜水艦に種別変更され、潜水艦乗組員の育成に尽力するとともに、艦齢延伸工事も施され、その艦齢は海上自衛隊潜水艦史上最長の25年の長きに及び、今日の日を迎えています。
本日「おやしお」はその任務を全うし、これまで、さん然とその輝きを放っていた自衛艦旗は静かに降ろされました。そして、ここに、就役以来、地球12周半に及ぶ総航程およそ27万海里の航海、幾多の勲功に彩られた生涯を閉じることとなりました。
本日はご多用のところ、多数の御来賓、並びに歴代おやしお艦長等関係の皆様の御臨席を賜り、心からの感謝を申し上げますとともに、常日頃から海上自衛隊に対し多大なる御支援・御協力を賜っておりますことにこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
終わりに、この除籍の瞬間まで艦に留まり使命を全うした第17代おやしお艦長兵頭健太郎2佐以下、29名の乗員諸官の労を大いに多とするとともに、それぞれが「おやしお」最後の乗員としての誇りを胸に新たな配置で更なる飛躍を遂げることを祈念して訓示とする。
令和5年3月17日 海上自衛隊 呉地方総監
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プロフィール
出 身
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千葉県 |
前 配 置 |
舞鶴地方総監 |
勤 務 方 針 |
伝統の継承・変化への挑戦 |