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第34回「隊長のつれづれなるままに」(令和4年10月第20回)

 
 なぜ、山に登るのか。小学生のころから家族でよく山登りをしていました。奥多摩、道志、丹沢、秩父などを中心に高校生になる前に100回を超える山登りをしていました。夏休みには、北アルプス、南アルプス、中央アルプスなどの山にも挑戦していました。さすがに縦走はしませんでしたが、日本アルプスからの眺めは今でも鮮烈に覚えているものです。
 人生もよく、「山あり谷あり」と言いますが、実際に私も離婚をした際には、よく一人で山に行き「人生、山あり、谷ありだぁ~」と山彦と会話をしていた時代がありました。この時にはすでに「あきらめず、自分のペースで歩き続ければ、いつか必ず山頂に!」の精神が宿っており、引き返す勇気と再トライする勇気があったことに感謝しています。
 なぜ、山に登るのか。はっきりとした理由は分かりませんが、登りたくなるので登っているが今の心情かもしれません。さすがに今は1~2時間のハイキングコースを気分転換程度で歩くぐらいになっていますが、それでも山頂から見る風景は、混みあった私の心の中を整理して清々しさを与えてくれます。物事を俯瞰して見る習慣は、子供の頃の経験から来るものかもしれません。高校生の時は「お前は、いつも高みの見物っぽいよな。」と言われた時もありましたが、この頃から問題はどこから来て、解決に向けて何をしたらよいのかを考えていたような気がします。
 指揮者が見る楽譜(スコア)には、全部の楽器(パート)の楽譜が書き込まれています。楽譜から音が思い浮かばない私にとっては、分析による事前の解読が必要になります。演奏会の一週間前には全員による合奏をします。所々上手くいかない箇所がありますが、きちんと分析されているところは修正することができますが、私自身が理解できていない箇所はなかなかいい演奏になりません。まぁ、そんな時は改善させないまま次の日に再トライすることにしています。しっかり分析し直し、自分の頭の中を整理し再チャレンジ!不思議なことに、概ね問題は解決され気持ちのいい演奏会を迎えることができています。分析する時に役立っていることは、俯瞰する力が問題点の発見につながっていることかもしれません。
 なぜ、山に登るのか。職場や街中で大声で叫んだら…やばい人になってしまいます。20代の頃は横須賀音楽隊員だったので、たまに相模湾越しの富士山に叫んでいた時もありました。さすがに今は叫ぶことはありませんが、山の上から「ヤッホー」と山彦と会話すると気持ちがスッキリするので、いまでも山彦のいるところでは叫びます。演奏会をするホールには、いろいろな山彦がいます。反響板の材質。客席の形状。いろいろな要素でいろいろな山彦君がいます。リハーサルの時に大切にしていることは、その山彦君と如何に仲良くお友達になるかです。音楽のテンポ感や音の長さなど山彦君との会話によって少し変化させています。演奏会は、演奏と会場が共鳴することで一体感が生まれ、演奏者と聴衆の距離が近くなるように感じます。
 子供の頃から体験している山登りですが、今の私に大きな力を与えてくれていることは間違いありません。