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第20回「隊長のつれづれなるままに」(令和3年11月 第7回)

 
 なぜか、夏の終わりごろからの2週間、隊長室で小さなクモと同居生活(勤務)をしていました。はじめは、洗面台でよく挨拶をしていましたが、しばらくすると、机の上や書類の上に居ることもありました。可愛いのかと問われたら、私の腕がワナワナ震えているので心底好きなわけではないと答えるでしょう。しかし、ピョンピョン飛びながら移動する姿は愛嬌があり、ジッと見つめるたびに好きになっていきます。隊長室には食べ物がないのによく生き長らえているなと感心するとともに、クモなのに蜘蛛の巣が部屋にはできていないので、巣を張らないクモもいるのかと不思議に感じていました。
 趣味の低山散策では蜘蛛の巣によく泣かされています。足元を見て登る時は、どうしても罠にかかってしまいます。さすがに蜘蛛の餌になることはありませんが、頭に絡んだ糸を剥がすのに一苦労。その姿は、蜘蛛の巣にかかった虫のような動きになっているのは否めません。せっかく作った罠を一瞬にして壊してしまって「御免!」と思う気持ちはあるけれど、あの感触を思い出すだけで身震いがします。あっ!腕がワナワナ震えるのは、この体験からか・・・。(納得)
 糸はイトでも意図という言葉があります。「何かをしようと考えること。」が意図になりますが、音楽も何らかの意図があって作られたものだと思います。意図をもたずして作曲するという意図をもって作る・・・?音楽を表現していく上で、この意図を理解できるとすんなりと生き生きとした演奏ができますが、理解ができていないときは単純なところでさえモヤモヤした音楽になってしまいます。この感覚は人間ならではのものかもしれませんが、謎が解けた時は一瞬にしていい響きのする音楽に変貌していきます。この意図を発見するためには、多くの経験と広くて深い知識が必要になりますが、なかなか手に入れることができないのが実感です。いい音楽を作り上げていくための近道として、新しいことにも挑戦するのもいいのかも!と思う今日この頃・・・。
 自分の足元だけを一所懸命見ているだけでは、蜘蛛の巣(糸)を見つけることができない体験は、自分の視野を広げ、深い洞察力を身に着ける必要があることを私に知らせる意図があったのかもと思う秋の夜長かな。
(令和3年11月第7回)