海上自衛隊カレーの秘密

インド発祥のカレーは、幕末イギリスを経て日本に伝わりました。
海上自衛隊では、このカレーを週末に食べる慣習があります。
そこで、どうして海上自衛隊で広くカレーが食べられるようになったのか
歴史的な経緯を紹介したいと思います。

カレーの伝播と普及

 明治初頭、創設間もない日本海軍はイギリス式の兵式を採用して最新の軍事技術の習得を行う一方、慢性的な栄養不足から脚気に悩まされおり、兵食改革も喫緊の課題でした。
 そんな中、既にイギリス海軍で採用されていたカレーは、「栄養豊富」、「大量調理が容易」、「美味」と三拍子揃った大変優秀なレシピでした。特に、スパイス(生薬)を贅沢に使用したカレーは、医学的見地からも有用なレシピといえ「寒さ暑さに対する適応力の向上」、「新陳代謝の促進」などの健康効果が期待できました。イギリス式のカレーを採用した日本海軍は、カレーを広く普及させるため「5等厨夫教育規則」(明治22年)や「海軍割烹術参考書」(明治41年)などにカレーの調理法を紹介しました。このように兵食改革の一環として、カレーが広く普及して食べられるようになっていきました。(ちなみに、日本で最も古いカレーのレシピは、明治5年刊行の「西洋料理指南」と「西洋料理通」に登場)
 ところで、よく言われる「曜日感覚を忘れないため」は、いつの頃からか規則的(週末)に食べる慣習が定着してからの説明と考えられます。

第4術科学校 蔵書
クリックで拡大します

海軍兵の食事風景(昭和15年頃)※<br>※第1術科学校教育参考館 所蔵
海軍兵学校の食事風景(昭和15年頃)※
※第1術科学校教育参考館 所蔵

慣習化と新たな広がり

 戦後、海上自衛隊で週休2日制が導入されて以来、カレーを食べる慣習が土曜日から金曜日となりました。この慣習がマスメディア等によって広く紹介された結果、平成11年の横須賀市と横須賀地方総監部の企画「よこすか海軍カレー」を皮切りに、「呉海自カレー」、「佐世保GC1グランプリ」、「元祖海軍カレイライス」(第4術科学校)「大湊海自カレー」「まいづる海自カレー」と、海上自衛隊カレーを活用した企画が各地で続々と登場しています。

海上自衛隊全体のカレールーの年間消費量は?

年間約45t。
1食あたりのルーの量を20gとすると年間約225万食食べられていることになります。

調理