この第1護衛隊群に配属され、ようやく半年が経とうしていますが未だ「艦艇乗りとい
う人たちは謎が多い。」そんな気がします。(私は、第1護衛隊群に配属されていますが、
主の仕事は経理、補給です。現在は、渉外広報幕僚を兼務しています。) 海上自衛官で
すら、そのようにたまに感じることがあることから、一般の方はなおさらだと思います。
今回の企画は、「艦の上で働くこと」を隊員の背中を通じて少しでも感じてもらいと思い
企画しました。テーマは「働く背中」です。隊員の背中を通じて艦上で働くとは?
ということを少しでも感じ取っていただければ幸いです。
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働く背中。航海科員編 航海科員は、艦の運航に直接かかわる隊員です。 上段、中段は、見張りをしているところです。見張りは、艦の安全航行のために重要な役割を果たしています。 外を眺めて仕事だなんていいなと思うかもしれませんが、生易しいものではありません。艦が揺れる中、双眼鏡を持ちながら、雨の日も風の日も外に立って、他の船舶の動きを報告したり、小さな魚網ブイを発見したりする気の抜けない仕事です。 下段は、他艦の動静及び灯火を確認する航海科員 自衛艦の行動は、整斉としなければなりません。それは、艦、隊、群の威容を保つと同時に命令に即応できる態勢にいつでもなければならないからです。旗艦(群司令が乗艦している艦)は、自らの艦のみではなく同時に他艦の動静も把握する必要があるため確認しているところです。 |
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働く背中。航海指揮官、当直幕僚編 航海指揮官は、艦長の指揮の下、艦の航行に関して責任を持っています。通常、艦艇勤務を専門とする幹部自衛官がその任につきますが、少なくとも幹部になってある程度の経験と資格(部内資格)を持つ者にしかできません。 下段の黄色い腕章が特徴的なのが当直幕僚です。 当直幕僚は、群で行動している時に、常時配置されるもので、群司令指揮の下、群(最大8艦)の艦の行動等を指示する重要な配置です。 ちなみに両方とも立っている写真ですが、勤務中は、座ることはありません。艦橋で座ることができるのは群司令と艦長のみです。 |
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働く背中。甲板作業員編 上段は、ハイライン(洋上において2艦が近接し、その間にロープを渡し、人員、物品移送をする危険を伴う作業)を実施するために、作業手順、注意事項等を示達する隊員。慣れた作業だからこそ基本に立ち返り毎回実施しています。 ハイライン中のロープを引く隊員 機械化が進んでいる中で、艦上では予測不能な事態も起きるから柔軟に対応する必要があることから手作業の部分が多くあります。 内火艇を下ろす隊員 内火艇とは、護衛艦に搭載している小型ボートのことで人員・物品の輸送、引き揚げ等に使用します。 この作業も作業手順を間違えれば大きな事故につながるため安全かつ確実な作業が求められます。 スクリュー回転の可否を示す隊員 奥に見えるのが、水上標的でロープによってえい航しています。ロープがスクリューに絡まないようにスクリューを回転させてもよいときは、白、回転させるとスクリューに絡む可能性があるときは赤の旗で示します。艦橋からこの色を確認してスクリューの回転をコントロールしています。 |
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働く背中。航海指揮官付編 私も幹部任官後、約1年同じような仕事についていました。写真は陸上の顕著な目標3点の方位を、ほぼ同時に測定することにより、自艦の位置を確認する陸測艦位測定を実施しているところです。理屈は簡単ですが、やってみると慣れるまで結構難しい仕事です。 |
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働く背中。指揮官編 写真上段 第1護衛隊群司令 写真下段 こんごう艦長 あえて説明することは、ないと思います。自衛隊ではよく「指揮官は孤独である」といわれますが、この背中に多くの使命と責任を背負っています。 |