~この部屋の片隅に~
調達部の役割は「各部隊が求める施設整備を遅滞なく完了し、部隊運用を予定どおり実現させること」です。どんなに建設技術が発展しても、1日で青々と生い茂る芝生や液状に戻せるコンクリートは存在しません。それはつまり、杜撰なスケジュール管理や施工のやり直しは許されないということです。当たり前なようですが、その実践は簡単ではなく、災害や外的要因とも対峙しながら、日本の国防に直結する施設整備を担うプレッシャーは並大抵ではありません。
課員は皆、技官としての誇りを持ち、時に笑顔、時に熱く、時に飄々と業務に取り組んでいます。そんな彼らを頼もしく思いつつ、課員が迷わないために必要な指示や方針を伝達し、課員からの要望には迅速に対応するよう心がけています。30名近くの課員を預かる課長として、課員の健康状態、士気向上に必要な取組など、彼らの働く環境をより良いものとするために部屋の片隅の課長席で考えるテーマは尽きません。
日本を取り巻く安全保障環境は、みなさんが生まれた頃とは大きく異なり、その変化に応じた多くの施設整備が行われてきました。建設工事は多くの人が関わり、様々な調整が避けられません。施設系技官に必要なスキルとは、とにかく『しゃべる』ことです。計画に疑問があればすぐに話をする、現場の様子も自ら見に、聞きに行く、その積み重ねが安全保障の礎たる防衛施設整備を支える重要な土台なのです。
~安全保障の基盤整備を担う司令塔~
提供施設計画官は、日本全国の米軍施設の建設事業に関する計画や調整等を担っています。事業のスケジュールや現場の状況、予算、地元への配慮、報道、国会への説明等、多種多様な要素を考慮する仕事です。安全保障上のパートナーである在日米軍とも緊密に調整しながら事業を進める必要があり、時にはタフな調整を伴いますが、そのスピード感やダイナミックさは中央省庁ならではの刺激だと感じながら業務に邁進しています。
防衛省では、日本の平和と独立を守るためのあらゆる政策を担っており、中でも、「安全保障の基盤整備」を担う施設系技官には、中央省庁での政策立案や調整業務だけでなく、地方での建設工事、海外への派遣など、多様なフィールドでの活躍が期待されています。私自身、多様な仕事を経験するキャリアステップの中で刺激とやりがいに満ちた日々を過ごしています。
平成28年に沖縄県にある米軍の北部訓練場の過半の返還に係る建設事業に携わりました。1日も早い返還に向けてチーム一丸となって問題解決に奔走し、沖縄の本土復帰後最大となる約4000haの土地の返還が実現したときには大変なやりがいを感じました。施設系技官の仕事は、安全保障への貢献という大きなやりがいのあるものづくりです。熱意あるみなさんと一緒に働けることを楽しみにしています。
~チーム宮古島、ここに励みて、国安らかなり。~
私は沖縄の離島における自衛隊施設の土木工事を担当しています。特に南西諸島の防衛の要となる宮古島駐屯地の新設プロジェクトは、厳しい気象条件下でも遅れの許されない工事であり、工程管理に気を遣います。2018年度は7回の台風の襲来を受け、航空機や船舶の運航が止まり、施工や材料の搬入に影響が生じました。この影響を工程に響かせないため、監督官が交代制で宮古島に常駐し、建設会社の方や部隊と打ち合わせを重ね、プレキャスト製コンクリート擁壁の活用による打設時間の短縮、現場発生砕石の活用による材料搬入量の抑制などの対応策をとりました。
監督官としての業務は、複数の関係者との調整を要することが多く、頭を悩ませる責任の重いものですが、刺激に満ちた仕事です。宮古島駐屯地を無事に開設するという目標を関係者全員が「チーム宮古島」として共有し、プロジェクトを前に進めています。
「コンクリート舗装を部隊に引き渡すのは○日です。養生期間を2週間確保するために●日までに打設してください。」宮古島では、台風や降雨により施工可能日数が当初計画より少なくなる中、部隊への引渡日を厳守するために、日々受注者と打合せを実施しています。部隊が運用しやすいものを運用する日までに作り上げること。これが現場を預かる監督官の任務であり魅力です。
~装備行政への理解の促進~
現在、私は防衛力には欠かすことのできない、装備品の調達に関する施策の企画立案や総括などを行う調達企画課において、主に国会や議員対応等の業務に携わっております。
近年、2兆円以上の莫大な予算が投入されている装備品の調達は、装備行政の中で、予算を適正に執行するという責務を担っていることはもちろんのこと、防衛生産・技術基盤の維持強化やプロジェクト管理など、主要な取組について検討する上で根幹となるものであり、常に国民から熱い視線が注がれているところです。そのため、装備品調達に関する予算の使途や各種施策等について、国民の理解を得るためには、国会等を通じて対外的に発信することが非常に重要となってくるのです。国会等の業務は大変ではありますが、自身を成長させてくれるものと前向きに捉え、日々取り組んでおります。
自身の専門を前提とし、世の中の動向に常に注視するなど、情報収集する姿勢や洞察力のほか、施策を第3者に理解してもらうための説明能力や調整能力などを駆使し、日本の防衛に寄与する施策が成就した際の達成感というのは何とも言えないものです。装備行政や色々な分野に興味を持てる方、是非、防衛省の門をたたいてみて下さい。
~装備政策の旗振り役~
安全保障環境の変化が格段に速度を増す中、その変化に対応するためには、従来とは抜本的に異なる速度での防衛力の強化が必要となります。防衛装備は防衛力の源泉の一つであり、その生産や技術の基盤は防衛産業が担っています。
防衛装備庁の仕事は、防衛産業と正面から向き合いつつ、陸海空の自衛隊で必要となる防衛装備に係るプロジェクト管理、防衛産業の強靱化、研究開発の推進、調達の最適化などを含む施策を一元的に実施することです。私が所属する装備政策課は、こうした施策を横断的かつ俯瞰的に総合調整する、いわば装備政策の旗振り役を担っています。
その一員として、求められるのは防衛装備庁の包括的な知識、考えるべきは戦略的な視点、積上げるべきは根拠に基づく緻密な検討であり、その上で、庁内の関係部署とともに、防衛産業や関係省庁、外国政府等とも調整をして各施策を実現させています。
近年、防衛装備は高性能化・複雑化・高価格化しており、防衛産業の強靱化の必要性など顕在化してきた課題は数多くあります。これまでの考え方や方法では対応できない新たな課題に対し、試行錯誤的にチャレンジし、また、機械や航空宇宙、海洋工学といったバックグラウンドに捉われずに広い視野で考えていく、装備系にはそういった活躍の場が広がっています。
~航空機の海外移転~
プロジェクト管理部事業管理官(航空機担当)は、陸・海・空の自衛隊の航空機の、構想、研究・開発、量産・配備、維持・整備、廃棄という全段階のライフサイクルコストを通じたプロジェクト管理を行う部署です。
平成30年3月、予てから進めていた海上自衛隊の練習機TC-90のフィリピンへの移転が完了し、現在は維持整備の支援を実施しています。私は、この移転に続く、海外移転2例目となる陸上自衛隊の多用途ヘリUH-1Hの部品等をフィリピンへ移転する事業に携わり、輸出管理規則に関する調整を行っています。UH-1Hは米国のライセンス国産品であるため、国内法の外為法に加え米国の再輸出規則についても、手続きを確認する必要があります。米国や他省庁を相手とするタフな交渉もありますが、移転が無事完了し、日本とフィリピンの友好関係が深化することを楽しみに業務に励んでいます。
私は大学で通信工学を専攻し、その後、システムエンジニアとして民間企業に勤めました。その時は、日本の法律や他国の法律も読んだこともありませんでしたが、防衛省に入省してから、全く違う分野に触れることができとても勉強になります。
色々なことにチャレンジしたい方は、ぜひ説明会に参加してみてください。
役職は当時のものです。