軍事科学技術
- 民生分野の技術は急激に発展しており、今後のさらなる技術革新によって、将来の戦闘様相は大きく変化
- 人工知能技術の発展に伴い、情報処理能力の向上などに加えて、自律型無人機やサイバー領域での活用など、影響の大きさが指摘
- 中国及びロシアが開発中の先進の極超音速兵器について、米国は、既存のミサイル防衛システムに挑むものであると指摘
- 電磁レールガンや高出力レーザー兵器、高出力マイクロ波などの高出力エネルギー兵器は、多様な経空脅威に対処するための手段として開発が進展
▶有人機と自律型無人機の協調飛行【ロシア国防省】
宇宙領域
- 主要国は、C4ISR機能の強化などを目的として各種衛星の能力向上や打上げを実施
- 各国は宇宙空間において、宇宙空間を利用した自国の平和と安全を維持するための宇宙利用を推進。また、中国及びロシアは、米国やその同盟国の宇宙利用を妨害する能力を強化しているとの指摘
- こうした脅威に対応するため、各国は軍の宇宙関連組織の再編を推進
▶19(令和元)年12月に中国が打ち上げに成功した「長征5号」【Avalon/時事通信フォト】
サイバー領域
- 軍隊にとって情報通信ネットワークへの依存度が一層増大する中、多くの外国軍隊はサイバー攻撃を敵の軍事活動を低コストで妨害可能な非対称な攻撃手段として認識し、サイバー空間における攻撃能力を開発
- 中国やロシアは、他国のネットワーク化された部隊の妨害やインフラの破壊のため、軍としてサイバー攻撃能力を強化との指摘
- 諸外国の政府機関や軍隊のみならず民間企業や学術機関などの情報通信ネットワークに対するサイバー攻撃が多発。重要技術、機密情報、個人情報などが標的となる事例も
電磁波領域
- 電磁波利用の確保は、通信・レーダー装備などの運用のために必要不可欠。主要国は、電磁波利用の妨害(電子攻撃)を、敵の戦力発揮を効果的に阻止する非対称的な攻撃手段と認識し、その能力を向上
- 中国は、複雑な電磁環境下において効果的に任務遂行できるよう対抗演習方式で平素から訓練を実施しており、実戦的な能力を向上
- ロシアは、ウクライナ東部及びシリアにおいて複数の電子戦装備品を使用し、相手の指揮統制、レーダーを妨害するなど、電子戦能力を向上させているとの指摘
▶19(令和元)年、ホルムズ海峡上空でイラン無人機を撃墜したとされる「LMADIS」【米海兵隊】
新型コロナウイルス感染症
- 新型コロナウイルス感染症がもたらす課題は、単なる衛生上の問題にとどまらず、サプライチェーンの脆弱性や地域経済への深刻な影響が露呈するなど各国の社会経済全般に及び、世界経済の停滞長期化が懸念
- 各国は、軍の衛生機能や輸送力なども活用して自国の同感染症への対応に努めるとともに国際的な感染拡大の防止にも貢献。一方、訓練や共同演習の中止・延期を余儀なくされるなど、各国の軍事活動などにも様々な影響・制約。感染拡大がさらに長期に及んだ場合、各国の軍事態勢にも様々な影響を及ぼす可能性
- 中国などは、感染が拡大している国々に対する医療専門家の派遣や医療物資の提供を積極的に行うとともに、感染拡大に伴う社会不安や混乱を契機とした偽情報の流布を含む様々な宣伝工作なども行っているとの指摘も
- 新型コロナウイルス感染症の拡大は、自らに有利な国際秩序・地域秩序の形成や影響力の拡大を目指した国家間の戦略的競争をより顕在化させ得ることから、安全保障上の課題として重大な関心をもって注視していくことが必要
▶感染拡大を受けて閉鎖された中国湖北省武漢市の海鮮市場【AFP=時事】
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