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<解説>F-35B戦闘機の取得

F-35B(ロッキード・マーチン社)の表

わが国周辺国は、いわゆる第5世代戦闘機とされる機種や最新型の第4世代戦闘機とされる機種の配備を進めるなど、航空戦力の近代化の進展が著しい状況にあります。こうした状況の中でわが国の防衛に万全を期すためには、高い性能を有する戦闘機を用いて航空優勢を間断なく確保できるよう、より多くの飛行場から対処を行えるといった柔軟な運用ができる体制を構築することが極めて重要です。

しかしながら、現在、全国の陸海空自衛隊が使用している飛行場など45か所(民間との共用を含む。ヘリポートは除く。)のうち、航空自衛隊が保有する戦闘機が通常使用している2,400メートル以上の滑走路が設置されている飛行場は20か所にとどまり、特に、太平洋における飛行場は硫黄島の1か所しか存在せず、自衛隊の展開基盤が乏しい状況にあります。

この点、短距離離陸・垂直着陸が可能な戦闘機(STOVL(ストーブル)機)であれば、一般的に数百メートル程度の滑走路でも離陸が可能であると見込まれ、理論的には、自衛隊が使用している全ての飛行場など(45か所)で離着陸できると考えられます。

このように、国土が狭隘で通常の戦闘機が活用できる滑走路の数が限定的である我が国の特性を踏まえ、航空優勢の継続的な確保のため、18(平成30)年に策定した中期防衛力整備計画において、STOVL機を導入することとしました。

これを受け、19(令和元)年に機種選定を行い、F-35A戦闘機と同様にネットワーク性能やステルス性能など最新鋭で高い能力を有するF-35B戦闘機の導入を決定しました。現中期防衛力整備計画の期間(令和元~5年度)において、合計18機のF-35B戦闘機を取得する予定です。

さらに、新たな安全保障環境に対応し、広大な太平洋を含むわが国の海と空の守りについて、自衛隊員の安全を確保しながら、しっかりとした備えを確保するため、「多機能な護衛艦」である「いずも」型護衛艦について、必要な場合にF-35B戦闘機の運用が可能となるよう、改修を行うこととしています。

このようにF-35B戦闘機を着実に導入していくとともに、「いずも」型護衛艦とも連携し、わが国の防衛に万全を期してまいります。