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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

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第5節 国際平和協力活動への取組

防衛省・自衛隊は、紛争・テロなどの根本原因の解決などのための開発協力を含む外交活動とも連携しつつ、国際平和協力活動などに積極的に取り組んでいる。

➊ 国際平和協力活動の枠組みなど

1 国際平和協力活動の枠組みと本来任務化の経緯

防衛省・自衛隊は、国際平和協力活動として、現在までに①国際連合平和維持活動(いわゆる国連PKO)への協力をはじめとする国際平和協力業務、②海外の大規模な災害に対応する国際緊急援助活動、③旧イラク人道復興支援特措法に基づく活動並びに④旧テロ対策特措法及び旧補給支援特措法に基づく活動を行ってきた。07(平成19)年には、国際平和協力活動を、付随的な業務1から、わが国の防衛や公共の秩序の維持といった任務と並ぶ自衛隊の本来任務2に位置づけた。また、16(平成28)年3月には、平和安全法制が施行され、特別措置法によることなく、一般法に基づき国際平和共同対処事態に際して協力支援活動などを行うことができるようになった。

参照II部5章2節(平和安全法制施行後の自衛隊の活動状況など)
図表III-3-5-1(自衛隊による国際平和協力活動)
資料10(自衛隊の主な行動の要件(国会承認含む)と武器使用権限等について)
資料50(国際平和協力活動関連法の概要比較)
資料51(自衛隊が行った国際平和協力活動など)

図表III-3-5-1 自衛隊による国際平和協力活動

2 国際平和協力活動を迅速、的確に行うための平素からの取組

自衛隊が国際平和協力活動に積極的に取り組むためには、引き続き、各種体制の整備を進めるなど、平素からの取組が重要である。このため、陸海空自ともに、派遣待機部隊などを指定し、指定された部隊などは、常続的に待機についている。

15(平成27)年9月、国連は国際平和維持活動における柔軟性及び即応性を確保すべく、国連本部が各国の登録内容をより具体的に把握することを目的として平和維持活動即応能力登録制度(PCRS:Peacekeeping Capability Readiness System)を立ち上げた。これを踏まえ、16(平成28)年3月、わが国は施設部隊や司令部要員などについて登録を行った。また、17(平成29)年11月の国連PKOに関する国防大臣会合において、PKOの早期展開のための航空輸送支援を行うことができるよう、固定翼航空機をPCRSに追加登録すべく調整する旨発表した。

また、自衛隊は、国際平和協力活動などにおいて人員・部隊の安全を確保しつつ任務を遂行するために必要な、派遣先での情報収集能力や防護能力の強化を進めている。また、多様な環境や任務の長期化に対応するため、輸送展開能力や情報通信能力の向上、円滑かつ継続的な活動のための補給や衛生の体制整備にも取り組んでいる。

国際平和協力活動への従事にあたり必要な教育については、陸上総隊隷下の国際活動教育隊において、派遣前の陸自要員の育成、訓練支援などを行っている。また、統合幕僚学校の国際平和協力センターでは、国際平和協力活動などに関する基礎的な講習を行うとともに、国連が実施するPKO活動などにおける派遣国部隊指揮官や、派遣ミッション司令部幕僚要員を養成するための専門的な教育を、国連標準の教材や外国人講師も活用して行っている。さらに、平成26(2014)年度からは外国軍人や関係省庁職員に対する教育も行っている。これは、多様化・複雑化する現在の国際平和協力活動の実態を踏まえ、関係省庁や諸外国などとの連携・協力の必要性を重視したものであり、教育面での連携の充実を図ることで、より効果的な国際平和協力活動に資することを目指している。

3 派遣部隊に対する福利厚生やメンタルヘルス施策

防衛省・自衛隊では、任務に従事する隊員や留守家族の不安を軽減するよう、各種家族支援施策、派遣部隊に対するメンタルヘルス施策を実施している。派遣部隊隊員に対しては、①ストレス軽減に必要な知識を与えるための派遣前教育、②派遣前・派遣中・派遣後等の各段階に応じたメンタルヘルスチェック、③メンタルヘルス要員等による派遣中の隊員の不安や悩みなどの相談へのカウンセリング、④派遣中の隊員に対する専門的知識を有する医官を中心としたメンタルヘルス診療支援チームの本邦からの派遣、⑤帰国に際してのストレス軽減のための帰国前教育及び⑥帰国後の臨時健康診断など、派遣部隊の特性に応じて必要な施策を実施している。

参照IV部1章1節3項(人的資源の効果的な活用に向けた施策など)

1 自衛隊法第8章(雑則)あるいは附則に規定される業務

2 自衛隊法第3条に定める任務。主たる任務はわが国の防衛であり、従たる任務は公共の秩序の維持、周辺事態(07(平成19)年当時)に対応して行う活動及び国際平和協力活動である。なお、周辺事態は16(平成28)年の平和安全法制施行に伴い、重要影響事態に改正されている。