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第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

➌ 多国間における安全保障協力の推進

1 多国間安全保障枠組み・対話における取組

多国間の枠組みについては、拡大ASEAN国防相会議(ADMM(ASEAN Defence Ministers' Meeting)プラス)、ASEAN地域フォーラム11(ARF:ASEAN Regional Forum)をはじめとした取組が進展しており、アジア太平洋地域の安全保障分野にかかる議論や協力・交流の重要な基盤となっている。わが国としては、そうした枠組みなどを重視して域内諸国間の協力・信頼関係の強化に貢献していく。また、わが国としても日ASEAN防衛当局次官級会合や東京ディフェンス・フォーラムを毎年開催するなど、地域における多国間の協力強化に寄与している。

参照資料44(多国間安全保障対話の主要実績(インド太平洋地域・最近3年間))
資料45(防衛省主催による多国間安全保障対話)
資料46(その他の多国間安全保障対話など)

(1)拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)のもとでの取組

ASEAN諸国においては、域内における防衛当局間の閣僚会合であるASEAN国防相会議(ADMM)のほか、わが国を含めASEAN域外国8か国12を加えた拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)が開催されている。

ADMMプラスは、ASEAN域外国を含むアジア太平洋地域の国防相が出席する政府主催の唯一の公式の会議であるため、地域の安全保障・防衛協力の発展・深化の促進という観点から、極めて大きな意義があり、防衛省・自衛隊も参加・支援している。なお、ADMMプラスは、閣僚会合のもとに、①高級事務レベル会合(ADSOM:ASEAN Defence Senior Officials' Meeting)プラス、②ADSOMプラスWG、③専門家会合(EWG:Experts' Working Group)が設定されている13

19(令和元)年11月、河野防衛大臣は、タイで開催された第6回ADMMプラスに出席し、FOIPのもと、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化に全力を傾注するとのわが国の決意を表明した。

第6回ADMMプラス(19(令和元)年11月)

第6回ADMMプラス(19(令和元)年11月)

また、わが国としても今後ともADMMプラスを重視し、地域の強靭性に資する建設的な役割を果たしていく決意を表明するとともに、南シナ海問題に言及し、わが国は、あらゆる一方的な現状変更を試みる動きに反対し、法の支配に基づき南シナ海行動規範(COC:Code of Conduct in the South China Sea)が実効的で実質的な内容となることを期待する旨述べた。さらに、国際的な安全保障課題として、北朝鮮の「瀬取り」対策を含め、国連安保理決議の実効性確保のための国際社会の団結が不可欠である旨強調するとともに、第4期{20(令和2)年から23(令和5)年まで}14に日ベトナムが共同議長に就任するPKOにかかる専門家会合を通じて、建設的な役割を果たしていく決意を述べた。なお、ADMMプラスでは、持続可能な安全保障のためのパートナーシップの推進に係る共同声明が採択された。7つの分野15において実践的な協力を行うEWGでは、第3期{17(平成29)年から19(平成31・令和元)年まで}の集大成として各種演習が実施され、防衛省・自衛隊は、HA/DR分野、海洋安全保障分野、防衛医学分野及びPKO分野の演習に参加した。

参照図表III-3-1-4(拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)の組織図及び概要)

図表III-3-1-4 拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)の組織図及び概要

(2)ASEAN地域フォーラム(ARF)

外交当局を中心に取り組んでいるARFについても、近年、災害救援活動、海洋安全保障、平和維持・平和構築といった非伝統的安全保障分野において、具体的な取組16が積極的に進められており、防衛省・自衛隊としても積極的に貢献している。例えば、海洋安全保障分野においては、09(平成21)年以来、海洋安全保障に関する会期間会合(ISM on MS(Inter-Sessional Meeting on Maritime Security))が開催17されており、わが国の取りまとめにより、海洋安全保障分野の能力構築支援に関する「ベストプラクティス集」を作成した。また、災害救援分野においては、同年以来、ARF災害救援実動演習(ARF-DiREx(Disaster Relief Exercise))が実施されており、防衛省・自衛隊からも、隊員や航空機などを派遣している。

(3)防衛省・自衛隊が主催している多国間安全保障対話

ア 日ASEAN防衛担当大臣会合及び「ビエンチャン・ビジョン2.0」

13(平成25)年12月の日ASEAN特別首脳会議における安倍内閣総理大臣の提案に基づき、14(平成26)年11月、バガン(ミャンマー)において、初の日ASEAN防衛担当大臣会合が開催された。HA/DRや海洋安全保障といった非伝統的安全保障分野における協力について意見交換を行った本会合は、50年近くに及ぶ日ASEAN友好・協力の歴史において、初めてわが国とASEAN諸国の防衛担当大臣が一堂に会した画期的な機会であり、今後の防衛協力強化に向けた重要な一歩となった。

19(令和元)年11月、タイにおいて第5回日ASEAN防衛担当大臣会合が開催され、同会合において河野防衛大臣は、日ASEAN防衛協力のモメンタムを一層加速させていくための取組の端緒として、わが国独自のイニシアティブ「ビエンチャン・ビジョン」のアップデート版である「ビエンチャン・ビジョン2.0」を発表し、ASEAN側の大臣から歓迎の意が示されるとともに、そのもとで今後もより実践的な日ASEAN防衛協力を推進することへの期待が示された。

同ビジョンは、 ASEAN全体への防衛協力の方向性について、透明性をもって、重点分野の全体像を示したものであり、アップデート版は、協力の目的・方向性・手段といった基本的な骨格は従来のものを踏襲しつつ、第一に「心と心の協力」、「きめ細やかで息の長い協力」、「対等で開かれた協力の日ASEAN防衛協力」にかかる実施3原則、第二に日本の取組とASEANの中心性・一体性との関係を明確化するものとしての「強靭性」の概念、第三に昨年6月にASEANが発表した「インド太平洋に関するASEANアウトルック」(AOIP:ASEAN Outlook on the Indo-Pacific)とわが国のFOIPとのシナジーを追求する視点という3点での新機軸を導入している。

HA/DR分野では、「HA/DRに関する日ASEAN招へいプログラム」を18(平成30)年から実施しており、19(平成31)年2月には、第2回招へいプログラム」として、ASEAN全加盟国及びASEAN事務局を招へいし、大規模災害時のわが国の対応要領にかかるセミナーに加え、初めてとなる机上訓練を実施した。

また、国際法の分野でも、18(平成30)年11月にはASEAN全加盟国及びASEAN事務局を招へいし、「インド太平洋における地域協力と法の支配」と題した日ASEAN国際法シンポジウムを初めて開催した。

国際航空法や航空安全保障の分野でも、19(令和元)年7月にはASEAN全加盟国の空軍士官及びASEAN事務局員を招へいし、シンポジウムや部隊訪問を通じて、日ASEAN空軍種間での信頼醸成の促進及びインド太平洋地域における「法の支配」の貫徹に貢献し、もって地域の安定に寄与することを目指し、プロフェッショナル・エアマンシップ・プログラムを初めて開催した。

また、19(令和元)年6月には、インド太平洋方面派遣訓練に従事中の護衛艦「いずも」艦上において、日ASEANシップライダー乗艦協力プログラムを実施し、ASEAN全加盟国及び同事務局から10名が参加した。同プログラムでは、参加者に対し、ブルネイ・ムアラ港からフィリピン・スービック港までの5日間の航海を体験させつつ、海洋国際法や海洋でのHA/DRなどに関するセミナー、机上演習を行い、海洋安全保障に関する知識向上に貢献した。

このように、ASEAN全加盟国の参加者と、国際法の認識共有や海洋安全保障、HA/DRなど様々な分野でのセミナーや研修などを通じた能力向上支援及び相互理解・人的ネットワーク構築の促進を図り、もってインド太平洋地域の安定に寄与している。

参照資料47(ビエンチャン・ビジョン2.0)

イ 日ASEAN防衛当局次官級会合

日ASEAN間の次官級の人脈構築を通じた二国間・多国間の関係強化を図るため、09(平成21)年より毎年、防衛省の主催により日ASEAN防衛当局次官級会合を開催している。

19(令和元)年10月には、第11回会合を東京で開催し、ASEAN全加盟国及びASEAN事務局の次官級の参加を得て、①「地域の安全保障情勢」、②「インド太平洋を巡る構想:自由で開かれた地域秩序に向けて」及び③「地域の防衛協力に向けたASEANの取組」の3つのテーマについて意見交換を行った。参加者は、ASEAN域外国による東南アジアへの関与が活発化する中で、地域の平和と繁栄の基礎となる自由で開かれた地域秩序を維持するためには、地域協力の要であるASEANの中心性・一体性を確保することが重要であるとの認識で一致した。

ウ 東京ディフェンス・フォーラムなど

防衛省は、96(平成8)年から地域諸国の防衛政策担当幹部(国防省局長・将官級)を対象とする「アジア太平洋地域防衛当局者フォーラム(東京ディフェンス・フォーラム)」を毎年開催し、各国の防衛政策や防衛分野での信頼醸成措置への取組について意見交換を行っている。

19(令和元)年11月には、防衛大学校等を卒業した留学生との関係強化のための取組として、約50名の防衛大学校本科の卒業留学生などによる交流会を初めて開催した。

また、02(平成14)年から、わが国の安全保障・防衛政策、自衛隊の現状などに関する理解の促進を目的として、アジア太平洋地域の国から、主に安全保障政策の関係者をオピニオン・リーダーとしてわが国に招へいしている。

(4)その他

ア 国際機関主催の国際会議

19(令和元)年7月、陸幕長は、国連本部で国連PKO参謀長会議に参加した。同会議には106カ国の軍参謀総長など約403名が参加し、陸幕長から工兵マニュアルの改訂の成果、国連三角パートナーシップ・プロジェクト(UNTPP:UN Triangular Partnership Project)へのさらなる貢献などわが国の取組について発表して全参加国の各国軍参謀長などの理解を獲得した。また、国連PKOの課題及び各国のPKOにかかる取組について認識を共有した。

参照本章5節2項(国連平和維持活動などへの取組)

イ 民間機関など主催の国際会議

安全保障分野においては、政府間の国際会議だけではなく、政府関係者、学者、ジャーナリストなどが参加する国際会議も民間機関などの主催により開催され、中長期的な安全保障上の課題の共有や意見交換などが行われている。主な国際会議としては、IISS(International Institute for Strategic Studies)(英国国際戦略研究所)が主催する「IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)18」や「IISS地域安全保障サミット(マナーマ対話)19」、欧米における安全保障会議の中でも最も権威ある会議の一つである「ミュンヘン安全保障会議20」があり、防衛省から、これらの会議に、防衛大臣等が積極的に参加し、各国の国防大臣等との会談や本会合におけるスピーチを行うことで、各国ハイレベルとの信頼醸成・認識共有や、積極的なメッセージの発信を図っている。

19(令和元)年11月、河野防衛大臣は、第15回マナーマ対話に防衛大臣として初めて出席し、フランスの軍事大臣や、ヨルダン、バーレーン、イエメンの閣僚級等との二国間会談を行うとともに、本会合においてスピーチを行った。スピーチでは、わが国は、開かれ安定した海洋秩序が国際社会の安定と繁栄の基礎であるとの考えのもと、中東の平和と安定に寄与し続けていること、中東の海洋安全保障に対する人的貢献や訓練への参加、防衛装備品協力、人的交流等を通して自衛隊と中東地域とのつながりがより緊密になってきている旨、また、航行の自由の原則と海洋における法の支配が重要である旨を述べ、わが国に関係する船舶の安全や、中東地域の平和と安定に向けて、情報収集態勢の強化を図るため、日本独自の取組として自衛隊アセットの活用について検討している旨説明を行った。

マナーマ対話においてスピーチする河野防衛大臣(19(令和元)年11月)

マナーマ対話においてスピーチする河野防衛大臣(19(令和元)年11月)

また、19(令和元)年12月、河野防衛大臣は、カタール政府主催の第19回「ドーハ・フォーラム」に防衛大臣として初めて出席し、カタール及びマレーシアの国防大臣や、ヨルダンの統合参謀本部議長との二国間会談を行うとともに、本会合においてスピーチを行った。スピーチでは「多国間安全保障協力」をテーマに北朝鮮の核・ミサイル能力を含む軍事力の強化に懸念を示しつつ、国際社会において軍備管理・軍縮及び「法の支配」を貫徹する必要があること、「法の支配」に基づき、共同訓練、能力構築支援、防衛装備・技術協力などの手段を活用し、各国と共に、FOIPの推進を目指していること、また、わが国による多国間安全保障協力の一例として、「ビエンチャン・ビジョン2.0」を紹介し、引き続き、多国間安全保障協力を推進していくことを述べた。

ドーハ・フォーラムにおいてスピーチする河野防衛大臣(19(令和元)年12月)

ドーハ・フォーラムにおいてスピーチする河野防衛大臣(19(令和元)年12月)

20(令和2)年2月に開催された第56回「ミュンヘン安全保障会議」には、わが国から、河野防衛大臣と茂木外務大臣がそれぞれ出席し、河野防衛大臣は、会議に際し、ウクライナ国防大臣との初めての防衛相会談を行ったほか、カナダ、フランス及びドイツの国防大臣や、EU上級代表、NATO事務総長との二国間等の会談を行い、防衛協力・交流や地域情勢に関する意見交換を行った。

ウ 各軍種間における取組

統幕長は、19(令和元)年8月、米インド太平洋軍主催のインド・アジア太平洋諸国参謀総長等会議(CHOD:Chiefs of Defense Conference)に参加し、各国におけるわが国及び諸外国の防衛政策や情勢認識に関する理解を促進するとともに、FOIPの有用性などについて各国と認識を共有した。また、統幕長は、20(令和2)年1月には、インドで開催された多国間フォーラム「ライシナ・ダイアローグ2020」に豪国防軍副司令官、仏軍事省国際関係・戦略総局次長、英第1海軍卿兼海軍参謀長、印海軍参謀長及びEU軍事委員会委員長とともにパネリストとして参加し、FOIPの推進に向けた国際秩序の安定化に対するわが国の取組及び価値を共有する国家間の連携の重要性を発信した。

多国間フォーラム「ライシナ・ダイアローグ2020」に参加する山崎統幕長(20(令和2)年1月)

多国間フォーラム「ライシナ・ダイアローグ2020」に参加する
山崎統幕長(20(令和2)年1月)

陸幕長は、19(令和元)年7月、米陸軍訓練教義コマンドと米陸軍主催のメガシティ会議に協力・参加し、巨大都市において自然に又は人為的に災害が発生した際の人道支援や災害救援について、各国陸軍、部内外の有識者と議論し、参加各国あるいは各機関との相互理解の促進、協力関係の強化を図った。また、同年9月、インド太平洋地域陸軍参謀総長等会議(IPACC:Indo-Pacific Armies Chiefs Conference)に参加し、インド太平洋地域の平和と安定のため、陸軍種間の連携の重要性について各国と認識を共有するとともに、情報・見解の交換を通じた各国陸軍種参謀長などとの関係構築・強化と安全保障協力を促進した。

海幕長は、19(令和元)年10月、伊海軍が主催する地域シーパワー・シンポジウム(RSS:Regional Seapower Symposium)に参加し、G7各国海軍参謀長などと情報共有及び意見交換を実施することで、相互理解の促進、信頼関係の深化及び海自の取組に関する国際的発信を図った。

空幕長は、19(令和元)年7月には、英空軍参謀長からの招待に応じ、英軍が主催するエア・スペース・パワー会議(ASPC:Air and Space Power Conference)及びエアショー(RIAT:Royal International Air Tattoo)に参加するとともに、同年11月にはUAE空軍参謀長からの招待に応じてUAEが主催するドバイ・エアショーに、20(令和2)年3月には、オーストラリアが開催するエア・パワー会議に参加し、それぞれの会議などにおいて地域的及び国際的な安全保障問題上の課題などについて幅広い意見交換を実施した。

2 実践的な多国間安全保障協力の推進
(1)パシフィック・パートナーシップ

07(平成19)年から行われているパシフィック・パートナーシップ(PP:Pacific Partnership)は、米海軍を主体とする艦艇が域内各国を訪問して、医療活動、施設補修活動、文化交流などを行い、各国政府、軍、国際機関及びNGOとの協力を通じ、参加国の連携強化や国際平和協力活動の円滑化などを図る活動である。わが国は、07(平成19)年以降、自衛隊の医療要員や部隊などを派遣しており、19(令和元)年は、マーシャル諸島及びベトナムに医療要員を派遣するとともに、マーシャル諸島には音楽隊要員も派遣して、医療及び文化交流に関する活動を実施した。加えて、東ティモールでの女性・平和及び安全保障に関する活動に講師を派遣した。

(2)多国間共同訓練

ア インド太平洋地域での多国間共同訓練の意義

防衛省・自衛隊は、インド太平洋地域において、従来から行われていた戦闘を想定した訓練に加え、HA/DR、非戦闘員退避活動(NEO:Non-combatant Evacuation Operation)などの非伝統的安全保障分野を取り入れた多国間共同訓練に積極的に参加している。こうした訓練への参加は、自衛隊の各種技量の向上に加え、関係国間との協力の基盤を作る上で重要であり、今後とも積極的に取り組んでいくこととしている。

参照資料48(多国間共同訓練の参加など(過去3年間))

イ 多国間共同訓練への取組

近年、防衛分野における多国間関係は「信頼醸成」の段階から「具体的・実践的な協力関係の構築」の段階へと移行しており、これを実効的なものとするための重要な取組として、様々な多国間共同訓練・演習が活発に行われている。

自衛隊は、20(令和2)年1月から3月にかけて、多国間共同訓練「コブラ・ゴールド」に参加して、在外邦人等の保護措置に関する訓練を実施し、統合運用能力の向上を図った。

多国間共同訓練「コブラ・ゴールド」において諸外国軍人と親睦を深める隊員(20(令和2)年2月)

多国間共同訓練「コブラ・ゴールド」において諸外国軍人と
親睦を深める隊員(20(令和2)年2月)

陸自は、02(平成14)年以降、毎年、アジア太平洋地域多国間協力プログラム(MCAP:Multinational Cooperation program in the Asia Pacific)を主催し、関係各国の実務者を招へいしている。

海自は、19(令和元)年10月から12月にかけて、豪連邦パース西方海域において豪海軍が主催する20カ国による第8回西太平洋潜水艦救難訓練「パシフィックリーチ2019」に参加した。また、同年4月から7月までの長期にわたりインド太平洋地域において護衛艦「いずも」など護衛艦3隻がインド太平洋方面派遣訓練を実施した。同派遣訓練においては、11か国が参加したADMMプラス海洋安全保障実動演習をはじめ、日米印比共同訓練、日仏豪米共同訓練「ラ・ペルーズ」といった多国間の共同訓練を実施した。

空自は、19(令和元)年12月、ミクロネシア連邦などにおける人道支援・災害救援共同訓練「クリスマス・ドロップ」に参加した。今回、ニュージーランドが初めて訓練に参加し、日米豪ニュージーランドによる4か国間共同訓練となった。また、20(令和2)年2月には、日米豪共同訓練及び日米豪人道支援・災害救援共同訓練「コープ・ノース」に参加した。

共同訓練「クリスマス・ドロップ」のため、諸外国軍人と荷詰めを行う空自隊員(19(令和元)年12月)

共同訓練「クリスマス・ドロップ」のため、諸外国軍人と荷詰めを行う
空自隊員(19(令和元)年12月)

動画アイコンQRコード動画:第8回西太平洋潜水艦救難訓練「パシフィックリーチ2019」
URL:https://www.youtube.com/watch?v=vnB8XzMVcOI(別ウィンドウ)

動画アイコンQRコード動画:インド太平洋方面派遣訓練
URL:https://www.youtube.com/watch?v=wAKdirKVlHc(別ウィンドウ)

11 ARFは、政治・安全保障問題に関する対話と協力を通じ、アジア太平洋地域の安全保障環境を向上させることを目的としたフォーラムで、94(平成6)年から開催されている。現在26か国(ASEAN10か国(ブルネイ、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、カンボジア(以上95(平成7)年から)、ミャンマー(96(平成8)年から)に、日本、オーストラリア、カナダ、中国、インド(以上96(平成8)年から)、ニュージーランド、PNG、韓国、ロシア、米国、モンゴル(以上98(平成10)年から)、北朝鮮(00(平成12)年から)、パキスタン(04(平成16)年から)、東ティモール(05(平成17)年から)、バングラデシュ(06(平成18)年から)、スリランカ(07(平成19)年から)を加えた26か国)と1機関(欧州連合(EU:European Union))がメンバー国となり、外務当局と防衛当局の双方の代表による各種政府間会合を開催し、地域情勢や安全保障分野について意見交換を行っている。

12 10(平成22)年10月に発足し、ASEAN域外国として、わが国のほか、米国、オーストラリア、韓国、インド、ニュージーランド、中国及びロシアが参加している。

13 EWGにおいて、わが国は積極的に貢献してきており、18(平成30)年には、2月、4月、7月及び9月にHA/DR-EWGに、4月及び11月にPKO-EWGに、4月及び10月に地雷処理EWGに、8月に対テロEWGに、5月及び11月にサイバーEWGに、5月及び11月に海洋安全保障EWGに、2月及び12月に防衛医学EWGに、それぞれ参加した。

14 第1期(11(平成23)年から13(平成25)年)、第2期(14(平成26)年から16(平成28)年)、第3期(17(平成29)年から19(平成31・令和元)年)、第4期(20(令和2)年から23(令和5)年)

15 対テロ、HA/DR、海洋安全保障、防衛医学、PKO、地雷処理、サイバーの7つの専門家会合を設置

16 毎年、外相級の閣僚会合のほかに、高級事務レベル会合(SOM:Senior Officials' Meeting)及び会期間会合(ISM:Inter-Sessional Meeting)が開かれるほか、信頼醸成措置及び予防外交に関する会期間支援グループ(ISG on CBM/PD:Inter-Sessional Support Group on Confidence Building Measures and Preventive Diplomacy)、ARF安全保障政策会議(ASPC:ARF Security Policy Conference)などが開催されている。また、02(平成14)年の閣僚会合以降、全体会合に先立って、ARF防衛当局者会合(DOD:Defense Officials' Dialogue)が開催されている。

17 わが国は11(平成23)年、インドネシア及びニュージーランドとともに第3回会期間会合を、16(平成29)年、フィリピン及び米国とともに第9回会期間会合を東京で共催した。

18 諸外国の国防大臣クラスを集めて防衛問題や地域の防衛協力についての議論を行うことを目的として開催される多国間会議であり、民間研究機関である英国の国際戦略研究所の主催により始まった。02(平成14)年の第1回から毎年シンガポールで開催され、会場のホテル名からシャングリラ会合(Shangri-La Dialogue)と通称される。

19 英国国際戦略研究所(IISS:The International Institute for Strategic Studies)が主催している中東諸国の外務・防衛当局など関係者を中心に安全保障に関して意見交換を行う国際会議であり、毎年、バーレーンのマナーマで開催されている。

20 欧米における安全保障会議の中で最も権威ある民間機関主催の国際会議の一つであり、1962(昭和37)年から毎年(例年2月)開催されている。欧州主要国の閣僚をはじめ、世界各国の首脳や閣僚、国会議員、国際機関主要幹部が例年参加している。