防衛計画の大綱(防衛大綱)は、1976(昭和51)年に初めて策定されて以来、これまでに計6回策定されている。現在の防衛大綱は、18(平成30)年12月に「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について」として策定されたものである。
参照図表II-3-2-1(防衛計画の大綱の変遷)
現在の防衛大綱は、わが国を取り巻く安全保障環境が25大綱1を策定した際に想定したよりも、格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増していることを踏まえ、①陸・海・空という従来の領域のみならず、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域を含む全ての領域における能力を有機的に融合し、その相乗効果により全体としての能力を増幅させる領域横断(クロス・ドメイン)作戦が実施でき、②平時から有事までのあらゆる段階における柔軟かつ戦略的な活動の常時継続的な実施を可能とし、③日米同盟の抑止力・対処力の強化及び多角的・多層的な安全保障協力の推進が可能な性質を有する、真に実効的な防衛力として、「多次元統合防衛力」を構築することとしている。
特に、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域における能力は、軍全体の作戦遂行能力を著しく向上させるものであることから、各国が注力している分野である。わが国としても、このような能力や、それと一体となって、航空機、艦艇、ミサイルなどによる攻撃に効果的に対処するための能力の強化や、後方分野も含めた防衛力の持続性・強靭性の強化を重視していくこととしている。