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第I部 わが国を取り巻く安全保障環境

➌ ISIL系国際テロ組織以外の動向

主にパキスタンやアフガニスタンで活動するアル・カーイダは、多くの幹部が米国の作戦により殺害されるなど弱体化しているとみられる。しかしながら、北アフリカや中東などで活動する関連組織に対して指示や勧告を行うなど、中枢組織としての活動は継続している。また、現在の指導者であるザワヒリは欧米へのテロを呼びかける声明を繰り返し発出しており、アル・カーイダによる攻撃の可能性が根絶されたわけではない。

このほか、アル・カーイダに関連するイスラム教スンニ派の過激派組織として、イエメンを拠点に活動する「アラビア半島のアル・カーイダ(AQAP)」、アルジェリアに拠点を置き、近隣のマリ、チュニジア、リビアなどでも活動する「イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ(AQIM)」、ソマリアを拠点に活動する「アル・シャバーブ」も引き続き活動を行っている。

また、アフガニスタンを拠点に活動しているイスラム教過激派組織タリバーンは、アフガニスタン各地で武力活動を継続している。20(令和2)年2月、米国とタリバーンとの間で、駐アフガニスタン米軍の条件付き段階的撤収及びアフガニスタン人同士の交渉開始などを含む合意が署名されたものの、その後もタリバーンはアフガニスタン治安部隊への攻撃を行っており、政府や外国人を標的とした自爆攻撃や銃撃などを継続する可能性は否定できない。