Contents

ダイジェスト 第IV部 防衛力を構成する中心的な要素など

防衛白書トップ > ダイジェスト 第IV部 防衛力を構成する中心的な要素など

防衛力を支える人的基盤及び衛生機能

防衛力を支える人的基盤の強化

新防衛大綱は、自衛隊員の人材確保と能力・士気の向上は防衛力の強化に不可欠としている。そして、これらは人口減少と少子高齢化の急速な進展によって喫緊の課題となっており、防衛力の持続性・強靭性の観点からも、防衛力を支える人的基盤の強化をこれまで以上に推進していく必要があるとしている。

自衛官の採用年齢の引き上げ
  • より幅広い層から多様な人材を確保するため、18(平成30)年10月、一般曹候補生及び自衛官候補生の採用上限年齢を「27歳未満」から「33歳未満」に引き上げた。
  • また、予備自衛官及び即応予備自衛官についても採用・任用基準の拡大を行い、士長以下の採用上限年齢を引き上げた。
人材の有効活用

知識・技能・経験などを豊富に備えた高齢人材の一層の活用を図るため、自衛官の若年定年年齢を20(令和2)年から新中期防期間中に1歳、次期中期防期間中に1歳、階級毎に段階的に引き上げることとしている。

生活・勤務環境の改善及び処遇の向上

即応性確保などのために必要な隊舎・宿舎の確保及び建て替えを加速し、また、老朽化した生活・勤務用備品の確実な更新、日用品などの所要数を確保している。

採用対象人口の推移

ワークライフバランス・女性の活躍の更なる推進

働き方改革

育児や介護などで時間や移動に制約がある隊員が増えていく中、全ての隊員が能力を十分に発揮して活躍できるよう、長時間労働の是正や休暇の取得促進などを推進している。

育児・介護などと両立して活躍できるための改革

職員が育児・介護などと仕事を両立するため、庁内託児施設の整備や男性職員の育児休業の取得推進などに取り組んでいる。

入間基地の託児施設に子どもを預ける隊員

入間基地の託児施設に子どもを預ける隊員

衛生機能の強化

シームレスな医療・後送態勢の強化

新中期防は、各種事態に対応するため、統合運用の観点も含め、第一線から最終後送先までのシームレスな医療・後送態勢の強化を図ることとしている。その際、地域の特性を踏まえつつ、南西地域における衛生機能の強化を重視することとしている。

医官・看護官などの確保、教育・研究の充実・強化

新防衛大綱などにおいて、防衛医科大学校の運営改善及び研究機能の強化などにより、優秀な人材の確保に努めるとともに、医官の充足向上を図ることとしている。また、戦傷医療対処能力を向上させるために必要な各自衛隊共通の衛生訓練基盤などの整備を推進することとしている。

防衛装備・技術に関する諸施策

技術基盤の強化

  • 新たな領域に関する技術やゲーム・チェンジャーとなり得る重要技術など、戦略的に重要な装備・技術分野で技術的優越を確保し得るよう「中長期技術見積り」を見直している。また、今後の我が国の防衛に必要な能力の獲得に必要な技術について、基本的な考え方を示した上で技術的課題やロードマップを提示した「研究開発ビジョン~多次元統合防衛力の実現とその先へ~」を公表した。

装備調達の最適化

  1. ➊17品目のプロジェクト管理重点対象装備品を選定し、装備品の効果的・効率的な取得を推進するとともに、長期契約を活用した装備品などの一括調達により、調達コストの縮減に取り組んでいる。
  2. ➋米軍などとの調達時期・仕様を整合させた装備品取得を進め、価格低減を図るとともに、日米間の緊密な協議により価格の透明性向上や履行管理の強化を図るなど、FMS調達の合理化を推進している。

産業基盤の強靭化

  • わが国の産業基盤の強靭化のため、① 企業間の競争環境の創出に向けた契約制度の見直し、② 装備品のサプライチェーンのリスク管理強化、③ 輸入装備品などの維持整備などへのわが国防衛産業のさらなる参画、④ 防衛装備移転三原則の下での装備品の適切な海外移転の推進に取り組んでいく。

防衛装備・技術協力

  • わが国は、自国の安全保障、平和貢献・国際協力の推進及び防衛生産・技術基盤の維持・強化に資するよう、防衛装備移転三原則に基づき、諸外国との防衛装備・技術協力を推進している。
    • UH-1Hの部品等のフィリピンへの無償譲渡について、防衛当局間の取決めに署名の上、19(平成31)年3月、引き渡しを開始した。
    • 防衛装備・技術協力の推進のため、国際防衛装備品展示会に出展するとともに、イタリアなどとの間で官民防衛産業フォーラムを開催した。

UH-1Hの部品等の無償譲渡に係る引渡し式典の様子(19(平成31)年3月)

UH-1Hの部品等の無償譲渡に係る引渡し式典の様子(19(平成31)年3月)

地域社会・国民との関わり

地域コミュニティーとの連携

防衛省・自衛隊は、不発弾や機雷の処理など、民生支援として様々な協力活動を行っている。一方、厳しい募集及び雇用環境の中、質の高い人材を確保し、比較的若い年齢で退職する自衛官の再就職を支援するためには、地方公共団体などの協力が不可欠である。

防衛施設と周辺地域との調和を図るための施策

防衛施設と周辺地域との調和を図るため、飛行場をはじめとする防衛施設の設置・運用によりその周辺地域において生じる航空機騒音などの障害の防止、軽減、緩和などの措置を講じている。

公文書管理・情報公開に関する取組

健全な民主主義を支える国民共有の知的資源である公文書の管理を適切に行い、国民からの情報公開請求に適切に応じることは重要な責務である。防衛省・自衛隊は、政府全体で行われる取組も踏まえ、公文書管理や情報公開などにかかる各種取組を進めている。