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<解説>電磁波領域における能力強化

防衛省・自衛隊では、今後、電磁波領域における能力を強化することとしていますが、いわゆる電子戦の能力(【コラム「電子戦について」】参照)の強化だけでは十分ではなく、電磁波管理の能力についても、併せて獲得、強化していく必要があります。

現代の戦闘様相においては、レーダーによる探知や索敵、部隊との間で行う通信、ミサイルの精密誘導など、多くの分野で電波をはじめとする電磁波が利用されています。仮に、こうした電磁波の利用に支障が生じた場合、自衛隊の作戦が適切に遂行できず、深刻な影響が生じることになります。

電磁波の利用に支障が生じる要因としては、気象条件、別の自衛隊の部隊が利用する電磁波との干渉、相手からの妨害電波などが考えられますが、これらの影響を低減するためには、自衛隊の各部隊が利用できる電磁波の周波数を把握し、干渉や気象条件の影響が生じないよう実際に利用する周波数を適切に指示し、戦いにおいて相手から妨害がかかった場合は、影響が少ない電磁波に切り替えるなどの対応が必要になります。こうした対応を適切に実施することを「電磁波管理」と呼んでいます。

電子戦を適切に実施するためには、この電磁波管理の能力が欠かせません。防衛省では、整備計画局と統合幕僚監部に専門の部署を設置し、電磁波管理の能力をはじめ、電磁波領域の強化のための検討を加速することとしています。