電子戦とは、一般的に、電波をはじめとする電磁波を利用して行われる戦いを意味する言葉です。その手段や方法については、一般的に「電子攻撃」、「電子防護」、「電子戦支援」の3つに分類されます。
「電子攻撃」は、相手の通信機器やレーダーに対して、より強力な電波や相手の電波を欺まんした電波を発射することなどにより、通信機器やレーダーから発せられる電波を妨害し、相手の通信や捜索といった能力を低減、無効化することをいいます。また、電波妨害(ジャミング)のほか、米国の「レーザー・ウェポン・システム」やロシアの「ペレスヴェト」のような高出力の電磁波(高出力レーザーや高出力マイクロ波など)による対象の物理的な破壊も「電子攻撃」に含まれます。
「電子防護」は、装備品のステルス化により、相手から探知されにくくすることや、通信機器やレーダーが電子攻撃を受けた際、使用する電磁波の周波数を変更したり、出力を増加することなどにより、相手の電子攻撃を低減、無効化することをいいます。例えば、スウェーデンの対空レーダー「ジラフ8A」は、妨害電波を受けると自動的に最も妨害を受けにくい周波数を選択して、対空レーダーとしての機能を維持することが可能とされています。
「電子戦支援」は、相手の使用する電磁波に関する情報を収集する活動です。電子攻撃・電子防護を効果的に行うためには、平素から相手の通信機器やレーダー、電子攻撃機がどのような電磁波をどのように使用しているかを把握し、分析しておく必要があります。
電子戦においては、相手の使用する妨害電波を事前に把握・分析できていない状況でも電子防護を効果的に行えることが望ましく、例えば、瞬時に妨害電波を分析し、最も妨害を受けにくい周波数を自動的に選択する機能などを持たせるため、人工知能を装備品に搭載・活用することも考えられています。
ジラフ8A
【Jane's by IHS Markit】
〈概説〉
スウェーデン、サーブ社のジラフ8Aは自動的に最も妨害を受けにくい周波数を選択可能
レーザー・ウェポン・システム
【Jane's by IHS Markit】
〈概説〉
高出力レーザーによる小型無人機などの破壊が可能