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第IV部 防衛力を構成する中心的な要素など

3 研究開発に関する取組

テクノロジーの深化が安全保障のあり方を根本から変えようとしていることから、諸外国は最先端技術を活用した兵器の開発に注力している(I部3章1節参照)。こうした中、防衛省では、新たな領域に関する技術や、人工知能(AI)などのゲーム・チェンジャーとなり得る最先端技術をはじめとする重要技術に対して重点的な投資を行うことで、戦略的に重要な装備・技術分野において技術的優越を確保し得るよう、将来的に有望となる技術分野の重点的研究の推進に取り組んでいる。具体的には、島嶼防衛用高速滑空弾、無人水中航走体(UUV)、極超音速誘導弾などについて、研究開発期間の大幅な短縮を図るため、ブロック化、モジュール化などの新たな手法を柔軟かつ積極的に活用するとともに、研究開発段階の初期において技術実証を用いた代替案分析を行うなどして、装備品の能力を早期に可視化する取組を行っている。また、低高度を飛しょうする大量の小型無人機や迫撃砲弾といった脅威に、低コストかつ短リアクションタイムで対処する高出力レーザシステムに関する研究などについても取り組んでいる。この他、「政府関係機関移転基本方針」2に基づき、デュアル・ユース技術を活用した無人水中航走体などの研究を効率的かつ効果的に実施するとともに、地元の高等教育機関や研究機関などの民生分野においても活用可能な新たな試験評価施設(「岩国海洋環境試験評価サテライト」(仮称))の岩国市への整備を実施中である。

研究試作時の次期警戒管制レーダー装置

研究試作時の次期警戒管制レーダー装置

また、新中期防に基づき、国内外の関係機関との技術交流や関係府省との連携の強化、安全保障技術研究推進制度の活用などを通じ、防衛にも応用可能な先進的な民生技術の積極的な活用に努めている。この際、ゲーム・チェンジャー技術に大規模な投資を行う米国及び特別な戦略的パートナーシップ国などの協力関係を強化・拡大し、相互補完的な国際共同研究開発を推進することとしている。この他、国内外の先端技術動向について調査・分析などを行うシンクタンクの活用や創設などにより、革新的・萌芽的な技術の早期発掘やその育成のための体制強化に向けた検討を実施している。

2 平成28年3月22日まち・ひと・しごと創生本部決定