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第IV部 防衛力を構成する中心的な要素など

2 自衛隊病院の拠点化・高機能化

自衛隊病院は、各種事態においては、活動地域から後送された隊員などを収容・治療する病院としての役割を果たし、また、平素においては、隊員やその家族などの診療を行う病院としての役割を果たしている。このほか、医療従事者の技量の維持・向上及び養成のための教育機関としての役割も有している。

新防衛大綱及び新中期防は、自衛隊病院の拠点化・高機能化については、引き続き、人材と医療資源を集中し、一般的な診療に加え、感染症対応、銃創などの外傷あるいはNBC兵器による攻撃などによる負傷者に対しても一定程度の診療能力を有する後送病院としての対応能力の向上を図り、効率的かつ質の高い医療体制の確立を図ることとしている。これまで、地域医療においては、一部の自衛隊病院が地方公共団体の二次救急医療機関の指定を受けて、救急患者の受け入れを積極的に行うなど、医療の高度化を進めてきた。特に自衛隊中央病院においては、年間約5,600台(18(平成30)年実績)の救急車の受け入れを行った。

また、18(平成30)年9月の北海道胆振東部地震発生時においても、多くの病院が大規模停電などにより機能発揮できない中、災害に強い病院を企図して建て替えを行った自衛隊札幌病院(平成27年開院)は、病院としての機能を損なうことなく発災直後から被災者などに対する診療を実施した。

このほか、自衛隊中央病院は18(平成30年)7月、化学剤や爆発物によるテロが発生したとの想定に基づき、陸自東部方面隊や陸自衛生学校のほか、東京消防庁、警視庁、世田谷区、世田谷区医師会などの参加を得て、大量傷者受入訓練を実施した。自衛隊中央病院は、このような訓練を通じて、関係機関との連携強化や複合的な特殊災害への対処要領を検証し、対処能力の向上を図っている。

大量傷者受入訓練において、現場救護を実施する陸自隊員(世田谷公園内)

大量傷者受入訓練において、現場救護を実施する陸自隊員(世田谷公園内)