防衛省・自衛隊は、女性職員の採用・登用のさらなる拡大を図るため、従来、「防衛省における女性職員活躍とワークライフバランス推進のための取組計画」において女性職員の採用・登用について具体的な目標を定めるなど、意欲と能力のある女性職員の活躍を推進するための様々な取組を行ってきている。さらに、17(平成29)年4月、「女性自衛官活躍推進イニシアティブ─時代と環境に適応した魅力ある自衛隊を目指して─」(「イニシアティブ」)を策定し、女性自衛官の活躍を推進するための理念的な方針を明らかにした。
「イニシアティブ」においては、女性自衛官の活躍推進に取り組む意義と人事管理の方針について明らかにしている。具体的には、自衛隊の任務が多様化・複雑化する中、自衛官には、これまで以上に高い知識・判断力・技術を備えた多面的な能力が求められるようになっている。また、少子化・高学歴化の進行などによる厳しい募集環境のもと、育児や介護などで時間や場所に制約のある隊員が大幅に増加することが想定される。
こうした環境の変化を踏まえれば、自衛隊としても、従来の均質性を重視した人的組成から多様な人材を柔軟に包摂できる組織へと進化することが求められている。
自衛隊において、現時点で必ずしも十分に活用できていない最大の人材源は、採用対象人口の半分を占める女性である。女性自衛官の活躍を推進することは、①有用な人材の確保、②多様な視点の活用、③わが国の価値観の反映、といった重要な意義がある。このため、防衛省・自衛隊として、意欲と能力、適性のある女性があらゆる分野にチャレンジする道を拓き、女性自衛官比率の倍増を目指すこととした。
なお、女性自衛官の採用・登用に際しては、機会均等のさらなる徹底を図るとともに、本人の意欲と能力・適性に基づく適材適所の配置に努めることを、人事管理の方針としている。
防衛省・自衛隊においては、従来より女性自衛官の配置制限について順次見直しを行い、18(平成30)年12月に潜水艦の配置制限を解除したことにより、「母性の保護」の観点から女性が配置できない部隊(陸上自衛隊の特殊武器(化学)防護隊の一部及び坑道中隊)を除き、配置制限を全面的に解除した。
ア 女性自衛官
女性自衛官は、19(平成31)年3月末現在、約1.6万人(全自衛官の約6.9%)であり、10年前(09(平成21)年3月末時点で全自衛官の約5.2%)と比較すると、1.7ポイント増となっており、その比率は近年増加傾向にある。
女性自衛官の採用については、令和9(2027)年度までに全自衛官に占める女性の割合を9%以上とすることを目標に、平成29(2017)年度以降の採用者に占める女性の割合を10%以上とすることとしている。具体的には、自衛官の採用予定数における男女別の区分の撤廃や、女性の採用予定数の増加などにより自衛官の採用数を増加させるため、女性の採用を積極的に行うとともに、女性の活躍を推進し、これを支える女性自衛官にかかる教育・生活・勤務環境の基盤整備を推進する。
また、登用については、佐官以上に占める女性の割合を3.1%より増やし、将来佐官以上になることが期待される人材については、尉官の時期に部隊勤務の指揮官職又は指揮官補佐職へ補職することを重視して経験を積ませ、育成を図ることとしている。
参照図表IV-1-2-1(女性自衛官の在職者推移)
イ 女性事務官、技官、教官など
女性事務官、技官、教官などは、19(平成31)年3月末現在、約3,300人(全事務官などの約24.6%)であり、10年前(09(平成21)年3月末時点で全事務官などの約23%)と比較すると、1.6ポイント増となっており、その比率は近年増加傾向にある。
採用については、平成28(2016)年度以降、政府目標と同様に、採用者に占める女性の割合を30%以上としている。また、登用については、令和2(2020)年度末までに、地方機関課長・本省課長補佐相当職に占める女性の割合を5%程度、本省課室長相当職に占める女性の割合を2%程度、本省係長相当職に占める女性の割合を27%程度とすることを目標としている。