Contents

第III部 わが国防衛の三つの柱(防衛の目標を達成するための手段)

第2節 防衛力が果たすべき役割

新防衛大綱においては、わが国の防衛力は、わが国にとって望ましい安全保障環境を創出するとともに、脅威を抑止し、これに対処するためとして、以下の6つの防衛力の果たすべき役割が掲げられている。すなわち、①平時からグレーゾーンの事態への対応、②島嶼(とうしょ)部を含むわが国に対する攻撃への対応、③あらゆる段階における宇宙・サイバー・電磁波の領域での対応、④大規模災害などへの対応、⑤日米同盟に基づく米国との共同、⑥安全保障協力の推進であり、これらの役割を、シームレスかつ複合的に果たせるものでなければならないとしている。

特に国民の命と平和な暮らしを守る観点から、平素から様々な役割を果たしていくことがこれまで以上に重要であるとしている。

参照資料15(自衛隊の主な行動)
資料16(自衛官又は自衛隊の部隊に認められた武力行使及び武器使用に関する規定)

1 平時からグレーゾーンの事態への対応

新防衛大綱における、防衛力の果たすべき役割のうち、「①平時からグレーゾーンの事態への対応」の考え方は次のとおりである。

平時からグレーゾーンの事態への対応においては、積極的な共同訓練・演習や海外における寄港などを通じて平素からプレゼンスを高め、わが国の意思と能力を示すとともに、こうした自衛隊の部隊による活動を含む戦略的なコミュニケーションを外交と一体となって推進する。

また、全ての領域における能力を活用して、わが国周辺において広域にわたり常時継続的な情報収集・警戒監視・偵察(ISR:Intelligence, Surveillance, and Reconnaissance)活動(以下「常続監視」という。)を行うとともに、柔軟に選択される抑止措置などにより事態の発生・深刻化を未然に防止する。これら各種活動による態勢も活用し、領空侵犯や領海侵入といったわが国の主権を侵害する行為に対し、警察機関などとも連携しつつ、即時に適切な措置を講じる。

弾道ミサイルなどの飛来に対しては、常時持続的にわが国を防護し、万が一被害が発生した場合にはこれを局限する。

以下において、この役割に基づく取組について説明する。

参照本章2節2項2 ミサイル攻撃などへの対応
3章1節 多角的・多層的な安全保障協力の戦略的な推進に向けて

1 わが国周辺における常続監視
(1)基本的考え方

わが国は、6,800あまりの島々で構成され、世界第6位1の面積となる領海(内水を含む。)及び排他的経済水域(EEZ:Exclusive Economic Zone)を有するなど広大な海域に囲まれており、自衛隊は、各種事態に迅速かつシームレスに対応するため、平素から領海・領空とその周辺の海空域において情報収集及び警戒監視を行っている。

(2)防衛省・自衛隊の対応

海自は、平素から哨戒機などにより、北海道周辺や日本海、東シナ海などを航行する船舶などの状況について、空自は、全国28か所のレーダーサイトと早期警戒管制機などにより、わが国とその周辺の上空の状況について、24時間態勢での警戒監視をそれぞれ実施している。また、主要な海峡では、陸自の沿岸監視隊や海自の警備所などが同じく24時間態勢で警戒監視を行っている2。さらに、必要に応じ、護衛艦・航空機などを柔軟に運用し、わが国周辺における各種事態に即応できる態勢を維持している。このような警戒監視により得られた情報については、海上保安庁を含む関係省庁にも共有し、連携の強化も図っている。

警戒監視を行う陸自隊員

警戒監視を行う陸自隊員

東シナ海海洋プラットフォーム周辺における警戒監視(海自P-3C機内から撮影)

東シナ海海洋プラットフォーム周辺における警戒監視(海自P-3C機内から撮影)

空自E-767早期警戒管制機内における警戒監視

空自E-767早期警戒管制機内における警戒監視

自衛隊の警戒監視により確認された主な事象については、例えば、12(平成24)年9月のわが国政府による尖閣三島(魚釣島、南小島及び北小島)の所有権の取得以降、中国公船が尖閣諸島周辺のわが国領海へ断続的に侵入3し、16(平成28)年6月には、中国海軍戦闘艦艇が尖閣諸島北方のわが国の接続水域に初めて入域した。同年12月には、空母「遼寧」を含む中国海軍艦艇6隻が沖縄本島・宮古島間を通過し4、同空母の太平洋への進出が初めて確認された。17(平成29)年7月には、中国海軍情報収集艦が小島(こじま)(北海道松前町)南西のわが国領海に入域し、津軽海峡を東航して太平洋へ進出した。18(平成30)年1月には、中国海軍潜水艦と中国海軍艦艇が尖閣諸島周辺のわが国接続水域を同日に航行するのを初めて確認した。さらに、同年4月には、与那国島の南約350kmの海域で、空母「遼寧」からの複数の艦載戦闘機(推定)の飛行が初めて確認された。19(令和元)年6月にも、空母「遼寧」を含む中国海軍艦艇6隻が、沖縄本島・宮古島間を通過し、太平洋に進出したことが確認された。

また、北朝鮮が密輸によって国連安保理決議の制裁逃れを図っている可能性が指摘されている中、自衛隊はわが国周辺海域において、平素実施している警戒監視活動の一環として、国連安保理決議違反が疑われる船舶についての情報収集も実施しており、海自哨戒機などが、北朝鮮籍タンカーと外国籍タンカーなどが東シナ海の公海上で接舷(横付け)している様子を、18(平成30)年から19(令和元)年6月末までの間に、計20回確認5し、関係省庁とその都度、情報共有を行った。これらの船舶は、政府として総合的に判断した結果、国連安保理決議で禁止されている北朝鮮籍船舶との洋上での物資の積替え(「瀬取り」)を実施していたことが強く疑われるとの認識に至ったため、わが国として、国連安保理北朝鮮制裁委員会などに通報するとともに、関係国と情報共有を行ったほか、これらのタンカーの関係国などに対して情報提供を行い、対外公表を実施した。

東シナ海公海上において海自艦艇が確認した、「瀬取り」を実施していたことが強く疑われる北朝鮮籍タンカーと船籍不明の小型船舶(19(平成31)年1月)

東シナ海公海上において海自艦艇が確認した、「瀬取り」を実施していたことが強く疑われる北朝鮮籍タンカーと船籍不明の小型船舶
(19(平成31)年1月)

「瀬取り」の警戒監視活動を実施したフランスFalcon200【フランス軍事省提供】

「瀬取り」の警戒監視活動を実施したフランスFalcon200
【フランス軍事省提供】

なお、国連安保理決議により禁止されている北朝鮮籍船舶との「瀬取り」を含む違法な洋上での活動に対し、米国に加え、関係国が、在日米軍嘉手納飛行場を拠点として航空機による警戒監視活動6を行っており、18(平成30)年4月以降、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド及びフランスから哨戒機が派遣された。また、米海軍のほか、英国、カナダ7、オーストラリア及びフランスの海軍艦艇がわが国周辺海域において警戒監視活動8を行った。防衛省・自衛隊としても、引き続き関係国と緊密に協力を行い国連安保理決議の実効性を確保していく。

18(平成30)年12月、能登半島沖(わが国排他的経済水域内)において警戒監視中の海自P-1哨戒機が、韓国海軍「クァンゲト・デワン」級駆逐艦から火器管制レーダーを照射されるという事案9が発生した。防衛省は本件事案を重く受け止め、19(平成31)年1月に客観的事実をとりまとめた最終見解10を公表し、韓国側に再発防止を強く求めている。なお、自衛隊の哨戒機は、十分な高度と距離を確保して飛行しており、韓国の艦艇に脅威を与えるような飛行は行っていない。防衛省としては、今後とも安全に十分配意しつつ、警戒監視及び情報収集に万全を期していく。

参照図表III-1-2-1(わが国周辺海空域での警戒監視のイメージ)、
図表III-1-2-2(中国公船の尖閣諸島周辺の領海への侵入回数・隻数)、
I部2章2節2項(軍事)
I部2章3節1項(北朝鮮)
資料17(韓国海軍駆逐艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射に関する防衛省の最終見解について)

図表III-1-2-1 わが国周辺海空域での警戒監視のイメージ

図表III-1-2-2 中国公船の尖閣諸島周辺の領海への侵入回数・隻数

2 わが国の主権を侵害する行為に対する措置
(1)領空侵犯に備えた警戒と緊急発進(スクランブル)

ア 基本的考え方

国際法上、国家はその領空に対して完全かつ排他的な主権を有している。対領空侵犯措置は、公共の秩序を維持するための警察権の行使として行うものであり、陸上や海上とは異なり、この措置を実施できる能力を有するのは自衛隊のみであることから、自衛隊法第84条に基づき、第一義的に空自が対処している。

イ 防衛省・自衛隊の対応

空自は、わが国周辺を飛行する航空機を警戒管制レーダーや早期警戒管制機などにより探知・識別し、領空侵犯のおそれのある航空機を発見した場合には、戦闘機などを緊急発進(スクランブル)させ、その航空機の状況を確認し、必要に応じてその行動を監視している。さらに、この航空機が実際に領空を侵犯した場合には、退去の警告などを行う。

平成30(2018)年度の空自機による緊急発進(スクランブル)回数は999回(前年度比、95回の増)、1958(昭和33)年に対領空侵犯措置を開始して以来2番目となる回数であり、依然として高い水準で推移している。

このうち、中国機に対する緊急発進回数は638回で、対象国・地域別の緊急発進回数の公表を開始した平成13(2001)年度以降2番目に高い水準にあり、中国機の活動は引き続き活発である。

また、特異な事例として、17(平成29)年5月には、尖閣諸島付近のわが国領海に侵入した中国公船の上空において、小型無人機らしき物体1機が、わが国領空を飛行する領空侵犯事案が生起した。わが国は、外交ルートを通じて中国政府に抗議した。同年8月には、中国軍の爆撃機6機が東シナ海から沖縄本島・宮古島間を通過し、太平洋を北東に飛行して、紀伊半島沖まで往復するという飛行が初めて確認された。同年12月には、戦闘機2機を含む計5機の航空機が対馬海峡上空を通過して、日本海に進出した11。また、18(平成30)年4月には、中国の無人機(推定)が東シナ海を飛行する事案が生起した。中国の航空戦力はわが国周辺空域における活動を拡大・活発化させており、行動を一方的にエスカレートさせる事案もみられるなど、強く懸念される状況となっている。

また、ロシア機に対する緊急発進回数は、前年度比47回の減少となる343回であった。特異な事例として、18(平成30)年9月、日本海上空において、Su-35戦闘機を初めて確認した。19(令和元)年6月には、Tu-95長距離爆撃機2機が沖縄県南大東島の領海上空を、さらにそのうちの1機が東京都八丈島の領海上空を侵犯する事案が生起した。わが国は、外交ルートを通じてロシア政府に抗議した。引き続き、ロシア機の活動は注視していく必要がある。

わが国の領空を侵犯したロシアTu-95長距離爆撃機(19(令和元)年6月)

わが国の領空を侵犯したロシアTu-95長距離爆撃機(19(令和元)年6月)

緊急発進(スクランブル)指令を受け、F-15戦闘機に駆け寄る空自パイロット

緊急発進(スクランブル)指令を受け、
F-15戦闘機に駆け寄る空自パイロット

同年7月には、中国H-6爆撃機2機及びロシアTu-95長距離爆撃機2機が、日本海から東シナ海までの長距離にわたる共同飛行を実施した。また、Tu-95長距離爆撃機の飛行を支援していたとされるロシアA-50早期警戒管制機1機が、島根県竹島の領海上空を侵犯する事案が生起した。その際、韓国の戦闘機が当該ロシア機に対し警告射撃を行った。わが国は、領空侵犯を行ったロシア政府及びロシア機に対し警告射撃を行った韓国政府に対して外交ルートを通じて抗議した。

なお、13(平成25)年11月の、中国による「東シナ海防空識別区」設定後も、防衛省・自衛隊は、当該区域を含む東シナ海において、従前どおりの警戒監視などを実施している。防衛省・自衛隊は、引き続き、わが国周辺海空域における警戒監視に万全を期すとともに、国際法及び自衛隊法に従い、厳正な対領空侵犯措置を実施している。

参照図表III-1-2-3(冷戦期以降の緊急発進実施回数とその内訳)、
図表III-1-2-4(緊急発進の対象となった航空機の飛行パターン例(イメージ))、
図表III-1-2-5(わが国及び周辺国・地域の防空識別圏(ADIZ)(イメージ))、
I部2章2節2項(軍事)
I部2章4節4項(わが国周辺のロシア軍)II部5章2節3項5(領空侵犯に対する措置)

図表III-1-2-3 冷戦期以降の緊急発進実施回数とその内訳

図表III-1-2-4 緊急発進の対象となった航空機の飛行パターン例(イメージ)

図表III-1-2-5 わが国及び周辺国・地域の防空識別圏(ADIZ)(イメージ)

(2)領海及び内水内潜没潜水艦への対処など

ア 基本的考え方

わが国の領水12内で潜没航行する外国潜水艦に対しては、海上警備行動を発令して対処する。こうした潜水艦に対しては、国際法に基づき海面上を航行し、かつ、その旗を揚げるよう要求し、これに応じない場合にはわが国の領海外への退去を要求する。

参照II部5章2節3項2(海上警備行動)

イ 防衛省・自衛隊の対応

海自は、わが国の領水内を潜没航行する外国潜水艦を探知・識別・追尾し、こうした国際法に違反する航行を認めないとの意思表示を行う能力及び浅海域における対処能力の維持・向上を図っている。04(平成16)年11月、先島群島周辺のわが国領海内を潜没航行する中国原子力潜水艦に対し、海上警備行動を発令し、海自の艦艇などにより潜水艦が公海上に至るまで継続して追尾した。

また、13(平成25)年5月には久米島の南の海域で、14(平成26)年3月には宮古島の東の海域で、16(平成28)年2月には対馬の南東の海域において、海自P-3C哨戒機などが、わが国の接続水域内を航行する潜没潜水艦を確認した。加えて、18(平成30)年1月には、尖閣諸島周辺のわが国接続水域を航行する潜没潜水艦を海自護衛艦などが確認した。その後、当該潜没潜水艦は、東シナ海公海上で浮上のうえ、中国国旗を掲揚して航行しているところも確認されている。このような尖閣諸島周辺のわが国接続水域における中国海軍潜水艦による航行の確認は、本件が初めてであった。国際法上、外国の潜水艦が沿岸国の接続水域内を潜没航行することは禁じられているわけではないが、このような活動に対して、わが国は適切に対応する態勢を維持している。

(3)武装工作船などへの対処

ア 基本的考え方

武装工作船と疑われる船(不審船)には、警察機関である海上保安庁が第一義的に対処するが、海上保安庁では対処できない、又は著しく困難と認められる場合には、海上警備行動を発令し、海上保安庁と連携しつつ対処する。

イ 防衛省・自衛隊の対応

防衛省・自衛隊は、1999(平成11)年の能登半島沖での不審船事案や01(平成13)年の九州南西海域での不審船事案などの教訓を踏まえ、様々な取組を行っている。

特に海自は、①ミサイル艇の配備、②特別警備隊13の編成、③護衛艦などへの機関銃の装備、④強制停船措置用装備品(平頭弾)14の装備、⑤艦艇要員の充足率の向上、⑥立入検査隊に対する装備の充実などを実施してきたほか、1999(平成11)年防衛庁(当時)と海上保安庁が策定した「不審船に係る共同対処マニュアル」に基づき、定期的な共同訓練を行うなど、連携の強化を図っている。

3 海洋安全保障の確保に向けた取組
(1)政府としての基本的考え方

国家安全保障戦略において、わが国は海洋国家として、法の支配、航行・飛行の自由や安全の確保、国際法にのっとった紛争の平和的解決を含む法の支配といった基本的ルールに基づく秩序に支えられた「開かれ安定した海洋」の維持・発展に向け主導的な役割を発揮することとしている。

また、18(平成30)年5月、第3期海洋基本計画15が閣議決定された。本計画においては、海洋の安全保障の観点から海洋政策を幅広く捉え、「総合的な海洋の安全保障」として政府一体となって取り組むことを明記している。

これに向け政府は、わが国の領海などにおける国益の確保、わが国の重要なシーレーンの安定的利用の確保などに取り組むこととしている。

また、海洋に関する施策に活用するため、海洋関連の多様な情報を艦艇、航空機などから収集、集約・活用する海洋状況把握(MDA:Maritime Domain Awareness)の強化に向けた取組を一層強化することとしている。

(2)防衛省・自衛隊の取組

防衛省・自衛隊は、「開かれ安定した海洋」の秩序を維持し、「総合的な海洋の安全保障」に資するため、重要な離島及びその周辺海域における警戒監視の強化やシーレーンの安定的利用を確保するため海賊対処行動などを行っている。海自は、これまで、西太平洋海軍シンポジウム(WPNS:Western Pacific Naval Symposium)の枠組みのもとで「洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準(CUES:Code for Unplanned Encounters at Sea16)」を策定するなどの取組を行った。また、18(平成30)年9月には、「かが」など海自護衛艦3隻及び搭載航空機5機及び潜水艦「くろしお」が南シナ海において対潜戦訓練を実施した。

18(平成30)年10月のADMM(ASEAN Defence Ministers' Meeting)プラスでは、岩屋防衛大臣がインド太平洋地域における力による一方的な現状変更を試みる動きへの反対と「法の支配」の貫徹の重要性について述べた。

参照3章2節(海洋安全保障の確保)

1 海外領土を除く。海外領土を含める場合は世界第8位

2 自衛隊による警戒監視活動は、防衛省設置法第4条第1項第18号(所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと)に基づいて行われる。

3 15(平成27)年12月26日以降、機関砲らしきものを搭載した中国公船がわが国領海に侵入してくるようになっている。

4 このような中国海軍艦艇による沖縄本島・宮古島間の海域などの南西諸島の通過を伴う活動は、平成30(2018)年度には、15回確認されている。

5 具体的な確認事例は、防衛省HPを参照。(https://www.mod.go.jp/j/approach/defense/sedori/index.html(別ウィンドウ)

6 これまでに、オーストラリア及びカナダが18(平成30)年4月下旬から約1か月間、オーストラリア、カナダ及びニュージーランドが同年9月中旬から約1か月半の間、オーストラリアが同年12月上旬から約1週間、フランスが19(平成31)年3月から約3週間、オーストラリアが、19(令和元)年5月から約1か月間、在日米軍嘉手納飛行場を拠点とし、航空機による警戒監視活動を実施した。また、カナダが、同年6月上旬から航空機による警戒監視活動を実施している。(令和元年6月末現在)

7 19(平成31)年4月28日、日加首脳会談において、トルドー首相から「瀬取り」警戒監視のためのカナダによる航空機及び艦船の派遣を2年延長するとの表明があり、安倍内閣総理大臣から謝意を表した。

8 これまでに、米海軍の多数の艦艇、英国海軍フリゲート「サザーランド」、「アーガイル」、「モントローズ」及び同揚陸艦「アルビオン」、カナダ海軍フリゲート「カルガリー」、オーストラリア海軍フリゲート「メルボルン」並びにフランス海軍フリゲート「ヴァンデミエール」が、東シナ海を含むわが国周辺海域において警戒監視活動を実施した。また、カナダ海軍フリゲート「レジーナ」及び同補給艦「アステリックス」が、19(令和元)年6月中旬以降、東シナ海を含むわが国周辺海域において警戒監視活動を実施している。(令和元年6月末現在)

9 防衛省が照射されたレーダー波などを解析した結果、韓国駆逐艦の火器管制レーダーから、レーダー波を一定時間継続して複数回照射されたことを確認している。海自P-1哨戒機は、火器管制レーダーの照射を受けた後に、3つの異なる周波数を用いて呼びかけを行ったが応答がなかった。なお、わが国や韓国を含む21か国の海軍などが、2014年に採択したCUES(Code for Unplanned Encounters at Sea(洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準))では、火器管制レーダーの照射は攻撃の模擬とされ、指揮官が回避すべき動作の一つとして規定されている。

10 最終見解のほか、海自P-1哨戒機が撮影した動画やレーダー探知音などについて防衛省HPに掲載(https://www.mod.go.jp/j/approach/defense/radar/index.html(別ウィンドウ))(下記QRコード参照)

QRコード

11 中国軍の戦闘機による日本海進出は、本事例が初の確認であった。

12 領海及び内水

13 01(平成13)年3月、海上警備行動下において不審船の立入検査を行う場合、予想される抵抗を抑止し、その不審船の武装解除などを行うための専門の部隊として海自に新編された。

14 護衛艦搭載の76mm砲から発射する無炸薬の砲弾で、先端部を平坦にして跳弾の防止が図られている。

15 海洋基本計画は、海洋に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため政府が定める。

16 14(平成26)年に採択された、日米中韓などの西太平洋海軍シンポジウム(WPNS)参加国の海軍艦艇及び海軍航空機が、洋上において予期せず遭遇した場合における安全のための手順、通信方法などを定めた行動基準(法的拘束力を有さず、国際航空規則や国際約束などに優越しない。)