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<解説>FMSに関わる諸課題の改善

FMS(Foreign Military Sales:有償援助)は、米国政府が、経済的な利益を目的とした装備品の販売ではなく、米国の安全保障政策の一環として、武器輸出管理法に基づき、同盟諸国等に対し、装備品等を有償で提供するものであり、日米間においては、日米相互防衛援助協定に基づいて行われているものです。こうした仕組みによって、一般では調達できない軍事機密性の高い装備品や米国しか製造できない最新鋭の装備品を米国政府から調達できる点で、FMSは、わが国の防衛力を強化するために非常に重要なものと考えており、近年FMS調達は増加する傾向にあります。

他方、FMS調達については、未精算問題、価格の透明性確保などの諸課題があることも事実であり、会計検査院からの指摘なども踏まえ、累次にわたり米側に改善を求めているほか、厳しい安全保障環境の中、最大限効率的な防衛力整備を実現するため、価格低減などへの協力(※)を小野寺防衛大臣からマティス米国防長官に働きかけるなど、諸課題の改善に向けて日米間で積極的に取り組んできました。

この結果、未精算問題、価格の透明性確保に係る取組の強化など、FMSに関わる諸課題の改善等が進捗しているため、18(平成30)年6月に実施した日米防衛相会談でこのことを歓迎し、わが国の米国製装備品の導入について、円滑かつ速やかに日本側が効率的な調達をできるよう引き続き協力して取り組んでいくことを確認したところです。

防衛省としては、今後も日米間で緊密に連携し、FMSに関する諸課題の改善について、引き続き取り組んでまいります。

※平成30年度予算編成において、FMS対象経費についても米国としっかり交渉調整し、価格の精査を通じて費用の抑制に努めたところである。例えば、ティルト・ローター機(V-22オスプレイ)については、米国と交渉し、米海軍取得のオスプレイ(約40機)と調達を合わせることによるスケールメリットの活用や、部隊運用する上で当初に最低限必要となる経費の精査などを図ることにより、同年度概算要求時点では971億円であったものを、255億円の価格低減を実現し、同年度予算においては716億円を計上した。