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<解説>「クリスマスドロップ」

他国との共同訓練においては、しばしば固有の訓練名がつけられることがあります。基本的には訓練の目的や内容等に基づき決定されますが、この「クリスマスドロップ(正式名称:ミクロネシア連邦等における日米豪人道支援・災害救援共同訓練)」は、その名のとおり、12月のクリスマスの時期に行われる物料投下(ドロップする)訓練です。本訓練において投下される物資(生活用品等)は、そのまま援助としてミクロネシア連邦等の人々に贈られることになるのですが、これらは米空軍と米国慈善団体が中心となり集められた寄付物品であり、提供者と訓練参加者とが一緒になって投下前の箱詰めを行います。また、訓練期間中、各国参加機はそれぞれ「サンタ○号」という名で呼ばれ、目的地へと飛び立って行きます。加えて、実際の投下時には海上約100mという低空飛行を行い、物資を待ち受けている人々が手を振る姿を目視できることからも、訓練参加者は本訓練を単なる物料投下訓練ではなくまさに「贈り物を届ける」ミッションと考えながら訓練しています。

本訓練は、演習場での訓練と異なり、実際の離島で住民の動きも見ながら臨機応変に投下ポイントを決定しなければいけないことから、極めて実任務に近い環境で訓練を行うことのできる貴重な機会となっていますが、それだけでなく、「サンタ」としての使命感が隊員の士気を一層高めることとなり、大きな訓練成果を得ることにつながっています。

投下成功を喜ぶ隊員達

投下成功を喜ぶ隊員達

訓練参加中の機内

訓練参加中の機内