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<解説>ISILの脅威の拡散

14(平成26)年以降イラク・シリアにおいて急速に台頭したISILは、現在までに両国においては徐々に勢力を縮小させましたが、中東やアフリカなどで活動する関連組織は活発なテロ活動を継続しているほか、東南アジアにもISILに忠誠を誓う組織が存在しています。

また、ISILはインターネットを通じた宣伝活動などにより引き続きイラク・シリア域外におけるテロを扇動しており、最近でも欧米諸国などでISILの思想に感化された個人や集団によるテロが発生しています。特に、ISILは機関誌などにおいて、車両やナイフなど簡単に入手できるものを利用し、大規模な野外集会など大人数が集まる場所を標的としたテロの実施を奨励していることから、今後も世界各地のISIL支持者がこうしたテロを実施する恐れがあります。さらに、イラク・シリアにおいて戦闘経験を積んだ戦闘員のうち5,600人以上が出身国に帰国しており、その帰国先は33か国にのぼるとの指摘もあるなど、帰国戦闘員によるテロの脅威が各地に拡散しています。

このように、世界各地においてISIL関連組織やISIL支持者によるテロが発生する危険は依然として高いといえることから、国際社会全体が緊密に連携しつつ、有効な対策を速やかに講じる必要があります。