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第III部 国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組

防衛白書トップ > 第III部 国民の生命・財産と領土・領海・領空を守り抜くための取組 > 第4章 防衛装備・技術に関する諸施策 > 第2節 防衛生産・技術基盤の現状と防衛生産・技術基盤戦略 > 1 わが国の防衛生産・技術基盤の現状

第2節 防衛生産・技術基盤の現状と防衛生産・技術基盤戦略

技術的優越を確保し、優れた装備品を効果的・効率的に創製するに当たっては、それを具現化するための優れた防衛生産・技術基盤が不可欠である。このため、防衛省としては、14(平成26)年6月に「防衛生産・技術基盤戦略」を策定し、その維持・強化に努めているところである。

1 わが国の防衛生産・技術基盤の現状

防衛生産・技術基盤とは、防衛省・自衛隊の活動に必要な装備品などを開発・生産・運用・維持整備・改造・改修するための人的、物的、技術的基盤である。わが国においては、その多くの部分を、装備品などを生産する企業(防衛産業)が担っており、特殊かつ高度な技能や設備を有する広範な企業1が関与している。他方、防衛需要依存度(会社売上に占める防衛関連売上の比率)は平均で3%程度と、多くの企業で防衛事業が主要な事業とはなっていない2。また、需要が限定的であり量産効果が期待しにくいことや、装備品の高性能化により調達単価及び維持・整備経費が増加傾向にあることから、技能の維持・伝承が難しいという問題や、一部企業が防衛事業から撤退するなどの問題も生じている。さらに、研究開発費は上昇傾向にあるものの、防衛関係費に占める研究開発費の割合は横ばいで推移している。

これらに加え、わが国の防衛生産・技術基盤に影響を及ぼす項目として、欧米企業の再編と国際共同開発の進展という国際的な環境変化が挙げられる。また、14(平成26)年4月に閣議決定された「防衛装備移転三原則」(第4節参照)に基づく防衛装備の海外移転という新たな制度環境の変化も生まれている。

参照図表III-4-2-1(主要装備品などの維持・整備経費の推移)
図表III-4-2-2(研究開発費の現状)
I部3章6節2項(防衛生産・技術基盤をめぐる動向)
第4節1項(防衛装備移転三原則)

図表III-4-2-1 主要装備品などの維持・整備経費の推移

図表III-4-2-2 研究開発費の現状

1 例えば、戦闘機関連企業は約1,100社、戦車関連企業は約1,300社、護衛艦関連企業は約8,300社ともいわれている。

2 防衛関連企業46社に実施した、平成27年度の売上実績に基づく防衛需要依存度調査による。また、比較的小規模ではあるが、防衛産業を支える重要な技術を有する企業の中には、防衛需要依存度が50%を超える企業も存在し、防衛需要の規模が企業の経営に大きな影響を与える。