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第II部 わが国の安全保障・防衛政策と日米同盟

3 同盟強化の主な取組

ガイドラインでは、「日本の平和及び安全の切れ目のない確保」のため、情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動、防空及びミサイル防衛、海洋安全保障、共同訓練・演習などの措置をとることや、日本における大規模災害への対処において協力することなどが明示されている。また、「地域の及びグローバルな平和と安全のための協力」として、国際的な活動において協力することや三か国及び多国間協力を推進・強化すること、新たな戦略的領域である宇宙及びサイバー空間に関して協力すること、日米協力の実効性をさらに向上させるための基盤として防衛装備・技術協力などの「日米共同の取組」を発展・強化することなどが明示されている。その項目の多くは、防衛大綱においても「日米同盟の抑止力及び対処力の強化」と「幅広い分野における協力の強化・拡大」として盛り込まれている。

1 同盟内の調整の強化
(1)同盟調整メカニズムの設置

15(平成27)年11月、日米両政府は、ガイドラインに基づき、日本の平和と安全に影響を与える状況や、その他の同盟としての対応を必要とする可能性があるあらゆる状況に、切れ目のない形で実効的に対処することを目的として、同盟調整メカニズム(ACM:Alliance Coordination Mechanism)を設置した。

同メカニズムでは、図表II-4-2-3に示す構成に基づき、平時から緊急事態までのあらゆる段階における、自衛隊及び米軍により実施される活動に関連した政策面及び運用面の調整を行い、適時の情報共有や共通の情勢認識の構築・維持を行う。

その特徴は、①平時から利用可能であること、②日本国内における大規模災害やアジア太平洋地域及びグローバルな協力でも活用が可能であること、③日米の関係機関の関与を確保した政府全体にわたる調整が可能であることであり、これらにより、日米両政府は、調整の必要が生じた場合に適切に即応できるようになった。例えば、国内で大規模災害が発生した場合においても、自衛隊及び米軍の活動にかかる政策面・運用面の様々な調整が必要になるが、同メカニズムを活用することにより、様々なレベルでの日米の関係機関の関与を得た調整を緊密かつ適切に実施することが可能になった。

同メカニズムの設置以降、例えば、平成28年(2016年)熊本地震、北朝鮮の弾道ミサイル発射や尖閣諸島周辺海空域における中国の活動などについて、日米間では、同メカニズムも活用しながら、緊密に連携している。

参照図表II-4-2-3(同盟調整メカニズム(ACM)の構成)

図表II-4-2-3 同盟調整メカニズム(ACM)の構成

(2)運用面の調整の強化

日米両政府は、ガイドラインに基づき、運用面の調整機能の併置の重要性を認識し、自衛隊及び米軍は、緊密な情報共有、円滑な調整及び国際的な活動を支援するための要員の交換を実施することとしている。

(3)共同計画策定メカニズムの設置

15(平成27)年11月、日米両政府は、ガイドラインに基づき、わが国の平和及び安全に関連する緊急事態に際して効果的な日米共同対処を可能とするため、平時において共同計画の策定をガイドラインにしたがって実施することを目的とし、共同計画策定メカニズム(BPM:Bilateral Planning Mechanism)を設置した。

同メカニズムは、共同計画の策定に際し、閣僚レベルからの指示・監督及び関係省庁の関与を確保するとともに、共同計画の策定に資する日米間の各種協力についての調整を実施する役割を果たすものであり、両政府は、同メカニズムを通じ、共同計画を策定していくこととしている。

参照図表II-4-2-4(共同計画策定メカニズム(BPM)の構成)

図表II-4-2-4 共同計画策定メカニズム(BPM)の構成

2 日本の平和及び安全の切れ目のない確保のための措置
(1)情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動

共同の情報収集・警戒監視・偵察(ISR:Intelligence, Surveillance and Reconnaissance)活動について、日米両国の活動の効率及び効果を高めるためには、広くアジア太平洋地域におけるISR活動を日米間で協力して実施していくことが重要であるとの観点から、日米防衛当局間の課長級を代表者とするISR作業部会を13(平成25)年2月に設立し、日米間での協力をさらに深めている。

このような共同のISR活動の拡大は、抑止の機能を果たすことになるとともに、他国に対する情報優越を確保し、平素から各種事態までのシームレスな協力態勢を構築することにつながる。

(2)ミサイル防衛

弾道ミサイルへの対応については、運用情報の共有や対処要領の整備などにより日米共同対処能力を向上させてきており、累次にわたる北朝鮮による弾道ミサイルの発射の際には、同盟調整メカニズムも活用し、連携して対処している。なお、装備面でも弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイル(SM-3ブロックIIA)の日米共同開発を進めている。

参照III部1章2節3項(弾道ミサイル攻撃などへの対応)

(3)海洋安全保障

ガイドラインにおいて、日米両政府は、平時から海洋監視情報の共有体制をさらに構築・強化しつつ、適切な場合に、ISR活動及び訓練・演習を通じた海洋における日米両国のプレゼンスの維持及び強化を行うなど、海洋安全保障について協力することとされている。海自と米海軍は、各種共同訓練・演習などを通じ、西太平洋における日米のプレゼンスの維持・向上に適切に協力するなどしている。

(4)共同訓練・演習

平素から共同訓練を行うことは、戦術面などの相互理解や意思疎通といった相互運用性を深め、日米共同対処能力の維持・向上に大きく資するのみならず、日米それぞれの戦術技量の向上を図るうえでも有益である。とりわけ、実戦経験豊富な米軍から習得できる知見や技術は極めて貴重であり、自衛隊の能力向上に大きく資するものである。

また、効果的な時期、場所、規模で共同訓練を実施することは、日米間での一致した意思や能力を示すことにもなり、抑止の機能を果たすことになる。これらの観点を踏まえ、防衛省・自衛隊は、引き続き共同訓練の充実に努めているところである。

米海兵隊との実動訓練(ノーザンヴァイパー)で調整を行う陸自隊員

米海兵隊との実動訓練(ノーザンヴァイパー)で調整を行う陸自隊員

平成29年度海上自衛隊演習(実動演習(日米共同演習及び日米加共同訓練))における会議の様子

平成29年度海上自衛隊演習
(実動演習(日米共同演習及び日米加共同訓練))における会議の様子

共同訓練・演習については、国内のみならず、米国への部隊派遣などにより拡大してきているとともに、日米共同方面隊指揮所演習、対潜特別訓練、日米共同戦闘機戦闘訓練など軍種・部隊レベルにおいても、相互運用性及び日米の共同対処能力の向上の努力を続けている。

昭和60(1985)年度以降、日米共同統合演習として、概ね毎年、指揮所演習や実動演習を行っており、18(平成30)年については、同年1月から2月にかけて防衛省市ヶ谷地区などにおいて指揮所演習を実施した。

また、17(平成29)年5月及び6月には、南シナ海において、護衛艦「いずも」を含む日米の艦艇による日米共同巡航訓練を実施した。さらに、わが国周辺海空域における共同訓練として、17(平成29)年9月から10月に、海自は、米海軍の空母「ロナルド・レーガン」などと沖縄周辺からバシー海峡周辺に至る海空域において日米共同巡航訓練を実施した。同年11月には、海自は、日本海において米海軍の空母「ロナルド・レーガン」「ニミッツ」「セオドア・ルーズヴェルト」などからなる3つの空母打撃群と初めて共同訓練を実施した。これに合わせて、同年10月から11月にかけて、海自はこれらの空母打撃群と、日本海、東シナ海及び沖縄周辺海空域において、日米共同巡航訓練を実施するとともに、空自は空母「ロナルド・レーガン」及び「ニミッツ」の艦載機であるF/A-18戦闘機と各種戦術訓練を実施した。

18(平成30)年3月にも、海自は米海軍の空母「カール・ヴィンソン」などと南シナ海北部から沖縄周辺に至る海空域において日米共同巡航訓練を実施した。 米空軍との間においても、空自が複数回にわたって九州西方空域や沖縄周辺空域などにおいて、米空軍B-1B爆撃機、B-52爆撃機、米海兵隊F-35Bなどと各種訓練を実施した。

これらの日米共同訓練は、いずれも自衛隊の戦術技量の向上及び米軍との連携強化を図ることを目的として日米同盟の抑止力・対処力を強化するため実施したものである。これらの日米共同訓練を実施した結果として、日米の連携強化が図られ、その絆を示すことは、わが国の安全保障環境が厳しさを増している中で、日米同盟全体の抑止力・対処力を一層強化し、地域の安定化に向けたわが国の意思と高い能力を示す効果があるものと考えている。

近年では、地方自治体が開催する防災訓練に在日米軍も参加し、関係機関との連携を深めている。

参照資料22(主な日米共同訓練の実績(平成29年度))

日米共同訓練(レッド・フラッグ・アラスカ)の会議に参加する空自隊員

日米共同訓練(レッド・フラッグ・アラスカ)の会議に参加する空自隊員

(5)後方支援

日米が協力する機会の増加に伴い、1996(平成8)年に締結(1999(平成11)年及び04(平成16)年に改正)した日米物品役務相互提供協定2(ACSA:Acquisition and Cross-Servicing Agreement)による後方支援でも、日米間の協力は着実に進展した。この協定は、日米安保条約の円滑かつ効果的な運用と、国連を中心とした国際平和のための努力に積極的に寄与することを目的とし、平時における共同訓練をはじめ、災害派遣活動、国際平和協力業務、国際緊急援助活動、周辺事態、武力攻撃事態といった様々な状況において、自衛隊と米軍との間で、その一方が物品や役務の提供を要請した場合には、他方は提供ができることを基本原則としている3

また、15(平成27)年4月の「2+2」においては、ガイドラインが展望する後方支援にかかる相互協力を実施するための物品役務相互提供協定を迅速に交渉することが確認された。その後、15(平成27)年9月の平和安全法制の成立を受け、16(平成28)年9月、新たな日米ACSAへの署名が行われ、17(平成29)年4月14日に国会で承認され、同月25日に発効した。これにより、平和安全法制により実施可能となった物品・役務の提供についても、これまでの日米ACSAのもとでの決済手続きなどと同様の枠組みを適用することが可能となっており、17(平成29)年12月までの間に情報収集活動などに従事する米軍に対し、食料や燃料を提供した。

参照3章2節3項8(米軍に対する物品役務の提供の拡大)
3章3節4項(新たな日米物品役務相互提供協定(ACSA)などの締結)
図表II-4-2-5(日米物品役務相互提供協定(ACSA))

図表II-4-2-5 日米物品役務相互提供協定(ACSA)

(6)共同使用

施設・区域の共同使用の拡大は、演習場、港湾、飛行場など自衛隊の拠点の増加も意味し、日米共同での訓練・演習の多様性・効率性を高め、ISR活動の範囲や活動量を増やすこととなる。特に沖縄における自衛隊施設は、那覇基地などに限られており、その大半が都市部にあるため、運用面での制約がある。沖縄の在日米軍施設・区域の共同使用は、沖縄に所在する自衛隊の訓練環境を大きく改善するとともに、共同訓練・演習の実施や自衛隊と米軍間の相互運用性の向上を促進するものである。また、即応性をより向上させ、災害時における県民の安全の確保に資することが可能となる。

このため、南西諸島を含め、地域における自衛隊の防衛態勢や地元との関係に留意しつつ、日米間で精力的に協議を行っているほか、具体的な取組も進展している。例えば、08(平成20)年3月から陸自がキャンプ・ハンセンを訓練のために使用している。また、12(平成24)年4月の空自航空総隊司令部の横田移転や13(平成25)年3月の陸自中央即応集団司令部(当時)の座間移転なども行った。さらに、13(平成25)年12月及び14(平成26)年6月から7月には、海自が米海軍の協力を得てグアムにおいて洋上訓練及び施設利用訓練を実施したほか、グアム及び北マリアナ諸島連邦(テニアン島及びパガン島)に、自衛隊及び米軍が共同使用する訓練場を整備することとしている。

3 わが国における大規模災害への対処における協力

東日本大震災においては、自衛隊と米軍との間でこれまで培われた強い絆に基づく、高い共同対処能力が発揮された。米軍の「トモダチ作戦」による自衛隊との共同対処の成功は、長年にわたる日米共同訓練などの成果であり、今後のさらなる同盟の深化につながるものとなった。米軍は、最大時で人員約1万6,000人、艦船約15隻、航空機約140機を投入するなど、その支援活動はかつてない規模で行われ、わが国の復旧・復興に大きく貢献するとともに、被災者をはじめ多くの国民が在日米軍への信頼と感謝の念を深めた。

一方で、国内災害における日米の役割・任務・能力の明確化、防災訓練への米軍の一層の参加を通じた共同要領の具体化、情報共有と効果的な調整のためのメカニズムのあり方などの課題も明らかとなった。

これらの課題を踏まえ、13(平成25)年12月に策定した南海トラフ巨大地震の対処計画などに日米共同対処要領が記載されるとともに、14(平成26)年2月には高知県において、南海トラフ地震を想定した日米共同統合防災訓練を実施した。また、同年10月の和歌山県主催の津波災害対応実践訓練や同年11月の陸自東北方面隊主催の震災対処訓練「みちのくALERT2014」にも在日米軍が訓練に参加するなど、災害対応における自衛隊と米軍との連携の一層の強化に努めている。

また、平成28年(2016年)熊本地震においては、米海兵隊オスプレイ(MV-22)による生活物資の輸送やC-130輸送機による自衛隊員の輸送などの協力が行われ、その際、地震対応のために組織された統合任務部隊が現地に開設した日米共同調整所を含め、同盟調整メカニズムが活用された。

4 地域の及びグローバルな平和と安全のための協力
(1)国際的な活動における協力

自衛隊は、旧テロ対策特措法に基づく活動、フィリピンやハイチにおける国際緊急援助活動及び国際平和協力活動、並びにソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動において、米国をはじめとする参加各国と緊密に協力して活動を行ってきた。また、13(平成25)年11月に発生したフィリピンにおける台風被害に際しては、現地の多国間調整所において日米両国が連携して調整にあたるなど、緊密に連携して対処した。さらに、エボラ出血熱への対応に際しては、14(平成26)年10月から米アフリカ軍司令部に連絡官を派遣し、米国をはじめとする関係国との調整・情報収集にあたらせるなど、緊密な連携に努めた。

海洋安全保障に関しては、日米両国は、ともに海洋国家として、航行の自由や安全の確保、国際法にのっとった紛争の平和的解決を含む法の支配といった基本ルールに基づく「開かれ安定した海洋」の維持・発展に努めており、13(平成25)年12月以降の海賊対処における第151連合任務部隊(CTF(Combined Task Force)151)への参加、17(平成29)年9月の豪州主催「拡散に対する安全保障構想(PSI)4」阻止訓練(パシフィック・プロテクター17)など、シーレーン沿岸国をはじめとした多国間の様々な海洋安全保障協力においても密接に連携して取り組んでいる。

参照III部2章2節(海洋安全保障の確保)
III部2章4節2項(大量破壊兵器の不拡散などのための国際的な取組)

(2)三か国及び多国間での訓練・演習

ガイドラインでは、日米両国は、三か国及び多国間の安全保障及び防衛協力を推進し及び強化することとされており、自衛隊は、日米二国間による訓練・演習にとどまらず、日米豪、日米印や日米韓などの多国間での共同訓練にも参加している。

5 宇宙及びサイバー空間に関する協力
(1)宇宙に関する協力

宇宙分野における協力としては、09(平成21)年11月の日米首脳会談において、日米同盟深化の一環として、宇宙における安全保障協力の推進に一致したことを受け、10(平成22)年9月に関係省庁が参加して安全保障分野における第1回日米宇宙協議を実施するなど、今後の日米協力のあり方についての協議を定期的に行っている。

また、12(平成24)年4月の日米首脳会談において、民生及び安全保障上の宇宙に関するパートナーシップの深化及び宇宙に関する包括的対話の立ち上げに一致したことを受け、13(平成25)年3月に関係省庁が参加して第1回包括的日米対話を実施するなど、両国の宇宙政策に関する情報交換や今後の協力に関する議論を定期的に行っている。

さらに、15(平成27)年4月の日米防衛相会談における指示に基づき、宇宙分野における日米防衛当局間の協力を一層促進する観点から、「日米宇宙協力ワーキンググループ(SCWG:Space Cooperation Working Group)」を設置し、同年10月以降計4回の会合を開催した(直近の会合は18(平成30)年2月に実施)。引き続き、本ワーキンググループを活用して、①宇宙に関する政策的な協議の推進、②情報共有の緊密化、③専門家の育成・確保のための協力、④机上演習の実施など、幅広い分野での検討を一層推進していく。

(2)サイバー空間に関する協力

サイバー分野における協力としては、13(平成25)年10月、防衛当局間の枠組みとして「日米サイバー防衛政策ワーキンググループ(CDPWG:Cyber Defense Policy Working Group)」を設置し、政策レベルを含む情報共有のあり方や人材育成、技術面における協力など、幅広い分野に関する専門的・具体的な検討を行っている。

15(平成27)年4月にはガイドラインが、同年5月にはCDPWG共同声明が発表され、日米政府の協力として、迅速かつ適切な情報共有体制の構築や、自衛隊及び米軍が任務遂行上依拠する重要インフラの防衛などが挙げられるとともに、自衛隊及び米軍の協力として、各々のネットワーク及びシステムの抗たん性の確保や教育交流、共同演習の実施などが挙げられた。今後、ガイドラインやCDPWGの共同声明において示された方向性に基づき、日米サイバー防衛協力をより一層加速していく。

6 協力の実効性をさらに向上させるための取組
(1)防衛装備・技術協力

わが国は、日米安保条約や「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定」に基づく相互協力の原則を踏まえ、技術基盤・生産基盤の維持に留意しつつ、米国との装備・技術面での協力を積極的に進めることとしている。

また、わが国は、日米の技術協力体制の進展と技術水準の向上といった状況を踏まえ、米国に対しては武器輸出三原則などによらず武器技術を供与することとし、1983(昭和58)年、「対米武器技術供与取極(とりきめ)」5を締結、06(平成18)年には、これに代わる「対米武器・武器技術供与取極」6を締結した。こうした枠組みのもと、弾道ミサイル防衛共同技術研究に関連する武器技術など20件の武器・武器技術の対米供与を決定している。さらに、日米両国は、日米装備・技術定期協議(S&TF:Systems and Technology Forum)などで協議を行い、合意された具体的なプロジェクトについて共同研究開発などを行っている。

さらに、16(平成28)年6月の日米防衛相会談において、両閣僚の間で、「相互の防衛調達に関する覚書(RDP MOU:Reciprocal Defense Procurement Memorandum of Understanding)」7が署名された。これは、日米の防衛当局による装備品の調達に関して、相互主義に基づく措置(相手国企業への応札に必要な情報の提供、提出した企業情報の保全、相手国企業に対する参入規制の免除など)を促進するものである。

普天間飛行場に配備されているMV-22(24機)と陸自に導入予定のオスプレイ8との共通整備基盤やアジア太平洋地域におけるF-35戦闘機の整備拠点(リージョナル・デポ)に関する取組については、III部4章4節2項(米国との防衛装備・技術協力関係の深化)のとおりである。

参照資料23(日米共同研究・開発プロジェクト)

(2)教育・研究交流

ガイドラインでは、安全保障及び防衛に関する知的協力の重要性を認識し、関係機関の構成員の交流を深め、各々の研究・教育機関間の意思疎通を強化することとされており、防衛省・自衛隊は、安全保障・防衛当局者が知識を共有し、協力を強化するため、留学生の受入や日米二国間又は米国を含む多国間の各種セミナーを実施するなど、教育・研究交流を行っている。

参照資料42(留学生受入実績(平成29年度の新規受入人数))
資料43(防衛省主催による多国間安全保障対話)
資料44(その他の国家間安全保障対話など)

2 正式名称:日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定

3 提供の対象となる物品・役務の区分は、食料、水、宿泊、輸送(空輸を含む。)、燃料・油脂・潤滑油、被服、通信、衛生業務、基地支援、保管、施設の利用、訓練業務、部品・構成品、修理・整備及び空港・港湾業務並びに弾薬(武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態の場合のみ。)である(武器の提供は含まれない。)。

4 III部2章4節2項脚注4参照

5 正式名称:日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基づくアメリカ合衆国に対する武器技術の供与に関する交換公文

6 正式名称:日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基づくアメリカ合衆国に対する武器及び武器技術の供与に関する交換公文

7 正式名称:相互の防衛調達に関するアメリカ合衆国国防省と日本国防衛省との間の覚書(Memorandum of Understanding between the Department of Defense of the United States of America and the Ministry of Defense of Japan concerning Reciprocal Defense Procurement)

8 陸自では、島嶼部に対する攻撃への対応を念頭に、輸送ヘリコプター(CH-47JA)の能力を補完・強化し得るティルト・ローター機(オスプレイ(V-22))を、現在の中期防の期間中(平成26(2014)年度から平成30(2018)年度の5年間)に、17機導入することとしている。