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第II部 わが国の安全保障・防衛政策と日米同盟

4 今後の検討

わが国を取り巻く安全保障環境は、現在の防衛大綱を策定した際に想定したよりも、格段に速いスピードで厳しさを増してきている。北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の透明性を欠いた軍事力の強化、東シナ海や南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試み、さらに大量破壊兵器などの拡散や国際テロの深刻化などのグローバルな安全保障上の課題が広範かつ多様化しており、特に、サイバー空間や宇宙空間などの新しい領域における課題への対応が重要となっている。そのような中でも、安全保障政策の根幹はわが国自らが行う努力であり、わが国として、防衛力を強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図っていく必要がある。

安倍内閣総理大臣は、18(平成30)年1月の第196回通常国会における施政方針演説において、専守防衛は当然の大前提としながら、防衛計画の大綱の見直しを行うことを表明した。これは、わが国を取り巻く厳しい現実に真正面から向き合い、従来の延長線上ではなく国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を考える必要性があることを踏まえたものである。

「中期防衛力整備計画」(中期防)が平成30(2018)年度で期限を迎えることを踏まえ、大綱見直しについても平成30(2018)年末を目指して検討しているところである。

今般の見直しに当たっては、防衛力の「質」及び「量」を必要かつ十分に確保することが不可欠である。サイバー空間や宇宙空間など、新たな領域の活用が死活的に重要になっていることを踏まえれば、もはや、陸・海・空という、従来からの区分で発想するだけでは不十分であり、新たな領域における能力向上に本格的に取り組んで行く必要がある。