令和2年度 全自衛隊美術展入賞作品
写真の部

総評(野町 和嘉氏のコメント)

 写真コンテストの最近の傾向として、コロナ禍により日常活動に大幅な制約を受けることで、むしろ応募点数が増え作品的にも充実している傾向が見られます。外出を控えることでこれまでに撮影した写真とじっくり向き合う機会を持てるようになった、ということでしょう。本展応募作品においても、主に自衛隊活動を題材とした前回までの傾向から作品の幅が広がり充実してきたという印象を受けました。じつは私たちプロ写真家にとって、海外取材には全く行けず大変な困難を強いられている反面、過去に撮影し未整理のままだった厖大な写真をじっくり見直す機会となり、写真の持つ力をあらためて実感しているところです。やがて迎えるコロナ後の自由な空気の中で、新たな視点で向き合った皆さんのすばらしい写真に期待しています。

内閣総理大臣賞

「鎮魂の海~水深36mに眠る天山~」
対潜資料隊
谷口 剛

【講評】
 海中の藻屑と化して75年以上の歳月を経ているはずなのに、なぜか原形が保たれたままの艦上攻撃機、天山。防衛任務にたずさわる作者が、鎮魂の思いを込めてシャッターを押した切実な思いが伝わってきます。写真の持つ力を実感させられる一枚。

文部科学大臣賞

「目指すべき道」
第10通信大隊
大蔵 浩二

【講評】
 完全武装で匍匐前進の訓練でしょうか?部外者には確かなことはわかりませんが、何処にでもいる、未だあどけない面影の娘さんが、炎天下で汗だくになりながら必死の思いで向き合っているのが痛いほど伝わってきます。

防衛大臣賞

「目覚めの息吹」
第10通信大隊
大蔵 浩二

【講評】
 朝霧がたなびく川辺の情景を、木漏れ日として太陽を生かし、逆光をたくみに使うことで奥行きのある素晴らしい空間描写が出来ています。スローシャッターを切ったことで清流の流れの描写も的確でした。

防衛大臣賞(家族等の部)

「微笑み」
元陸上自衛官
多田 吉志

【講評】
 古木の洞(うろ)で休息するフクロウは実際は微笑んでいるわけではないでしょうが、警戒心を露わにした猛禽類独特の鋭さが緩んだかに見える一瞬をみごとに捉えています。胸元で結んだ足の表情もユーモラスであり、背後にもう一羽が見えることで動物家族の穏やかな雰囲気が感じられます。

入選作品一覧

「南極の氷って どんな音?」
第31航空群司令部
楠 佳代

「希望への航跡」
九州防衛局
遠原 隆広

「染まりゆく北穂高岳」
中部方面音楽隊
青谷 晋行

「祈り」
第12特科隊本部管理中隊
米原 慎

「島嶼防衛」
防衛大学校
左合 貴

「慈雨」
航空自衛隊中央業務隊付
診療放射線技師養成所
矢内 佑弥

「夏空を駆ける鷲」
第2潜水隊
髙橋 誉志彦

「世界遺産富士」
航空医学実験隊
若林 寛

「秘境の森のヤンバルクイナ」
第15偵察隊
後藤 友宣

「お帰りなさい。ぼくのP-1哨戒機」
第51航空隊
江田 天平

「季節はずれ」
防衛医科大学校
野口 桃佳

「希望の光」
第39普通科連隊本部管理中隊
中野渡 茂治

「ぎょ!ギョ!魚!!」
対潜資料隊
谷口 剛

「天の川と菜の花畑」
隊員家族
湯田 奈緒子

「昇陽」
元陸上自衛官
多田 吉志

2021年8月2日更新