防衛省・自衛隊の『ここが知りたい!』
各種災害への対応について

Q1 自衛隊は災害の際にどのような活動を行っていますか?

A1  自衛隊は、自然災害をはじめとする災害の発生時には、地方公共団体などと連携・協力し、国内のどの地域においても、被災者や遭難した船舶・航空機の捜索・救助、水防、医療、防疫、給水、人員や物資の輸送といった、様々な活動を行っています。
 特に、平成23年3月の東日本大震災では、大規模震災災害派遣及び原子力災害派遣において、最大10万人を超す隊員が対応しました。

初動対処部隊の名称の付与について

Q2 災害派遣の種類と枠組みについて教えてください。

A2  災害派遣には、以下の種類と枠組みがあります。

災害派遣

災害派遣は、都道府県知事からの要請により行うことを原則としています。これは、都道府県知事が、区域内の災害の状況を全般的に掌握し、消防、警察といった都道府県や市町村の災害救助能力などを考慮した上で、自衛隊の派遣の要否、活動内容などを判断するのが最適との考えによるものです。

市町村長は、都道府県知事に対し、災害派遣の要請をするよう求めることができます。都道府県知事への要求ができない場合には、その旨および災害の状況を防衛大臣またはその指定する者に通知することができます。

市町村長から通知を受けた防衛大臣またはその指定する者は、災害の状況に照らし特に緊急を要し、要請を待つ余裕がないと認められるときは、部隊などを派遣することができます。

防衛大臣またはその指定する者は、特に緊急を要し、要請を待ついとまがないと認められるときは、要請がなくても、例外的に部隊などを派遣することができます。

この自主派遣をより実効性のあるものとするため、平成7年には防災業務計画を修正し、部隊等の長が自主派遣をする基準を定めました。

要請から派遣、撤収までの流れ

(画像をクリックすると大きな画像が見られます。)

地震防災派遣

大規模地震対策特別措置法に基づく警戒宣言が出されたときには、防衛大臣は、地震対策本部長(内閣総理大臣)の要請に基づき、地震発生前に部隊などに地震防災派遣を命じることができます。

原子力災害派遣

原子力災害対策特別措置法に基づく原子力緊急事態宣言が出されたときには、防衛大臣は、原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)の要請に基づき、部隊などに原子力災害派遣を命じることができます。

Q3 災害派遣の対応状況はどのようになっていますか?

A3  災害派遣の対応状況は以下のとおりです。

救急患者の輸送

自衛隊は、医療施設が不足している離島などの救急患者を航空機で緊急輸送しています。平成24年度の災害派遣総数のうち、410件が急患輸送であり、南西諸島、五島列島、伊豆諸島、小笠原諸島などへの派遣が大半を占めています。

また、他機関の航空機では航続距離が短いなどの理由で対応できない本土から遠く離れた海域で航行している船舶からの急患輸送や、※機動衛生ユニットを用いて重症患者をC-130輸送機で搬送しています。

機動衛生ユニットの概要

(画像をクリックすると大きな画像が見られます。)

消火支援

平成24年度の消火支援件数は、62件であり、急患輸送に次ぐ件数となっています。

その内訳は、自衛隊の施設近傍の火災への対応が最も多く、平成24年度は57件でした。また、山林などの消火が難しい場所では、都道府県知事からの災害派遣要請を受けて空中消火活動も行っています。

自然災害への対応

平成24年度は、茨城県等における突風災害に係る災害派遣(5月6日~8日)、九州北部豪雨に係る災害派遣(7月12日~21日)、北海道における暴風雪に伴う人命救助等に係る災害派遣(3月2日~3日)等において、人命救助をはじめ、水防活動、給水支援、物資輸送等を行いました。

災害派遣の様子(写真)

大規模災害への対応

平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地域沿岸部を中心に壊滅的な被害を及ぼしました。防衛省・自衛隊は、発災当初から、被災者の救助に全力で取組み、同年12月26日原子力災害派遣の終結に伴い活動を終了しました。この間、被災者の生活支援、行方不明者の捜索、福島第一原子力発電所事故への対応など、のべ約1,066万人の隊員が従事し、未曾有の事態に防衛省・自衛隊が一体となって取組みました。

東日本大震災への対応

特殊災害への対応

平成11年、茨城県東海村のウラン加工工場で発生した臨界事故の教訓を踏まえ、原子力災害対策特別措置法が制定され、これにともない、自衛隊法が一部改正されました。

また、平成23年3月11日に発生した福島第一原子力発電所事故対応の教訓を踏まえ、原子力規制委員会設置法が制定され、原子力規制委員会が設置されるとともに、原子力災害特別措置法などが改正され、政府全体の原子力災害対処体制が変更となりました。

防衛省・自衛隊は、平成24年9月から原子力規制庁に2人の陸上自衛官を出向させているほか、関連計画の見直しや、各自治体が主体となって行う原子力防災訓練に参加し、住民避難支援、空中と海上での放射線観測(モニタリング)支援などを行い、原子力災害に際して各省庁や地方公共団体との連携要領を検討するなどの実効性の向上を図っています。

さらに、原子力災害のみならず、その他の特殊災害に対処するため、NBC対処能力の向上を図っています。

Q4 災害対処へ対応するため平素から行っている取組を教えてください。

A4  災害へ対処するために以下の取組を行っています。

各種防災訓練への参加を行っています。

自衛隊は、大規模災害を含む各種の災害に迅速かつ的確に対応するため災害派遣計画を策定するとともに、「自衛隊統合防災演習」をはじめとする各種防災訓練の実施及び地方公共団体などが行う防災訓練への積極的参加等を通して、各省庁などの関係機関との連携を図っています。

平成23年度及び平成24年度は、東日本大震災から得られた災害対応に関する多くの課題などを防災訓練に積極的に取り入れ、大規模地震などの事態に際し、迅速かつ的確に災害派遣などを行うための能力を維持・向上することを目的として、各種防災訓練を実施したほか、政府主催により官邸で行われた「防災の日」政府本部運営訓練(首都直下地震対処訓練)への参加、防衛省災害対策本部運営訓練(首都直下地震対処訓練)の実施、九都県市合同防災訓練と連携した訓練への参加、静岡県総合防災訓練と連携した訓練への参加、地方公共団体などの行う総合防災訓練へ参加しました。

防災訓練の様子(写真)

自衛隊の各種対処計画及び業務計画の策定を行っています。

自衛隊は、中央防災会議において検討されている大規模地震に対応するため、各種の大規模地震対処計画を策定しています。たとえば、東日本大震災を受けて改訂した「首都直下地震対処計画」では、政治、行政、経済の首都中枢機能障害とあいまって、甚大な人的・物的被害の発生の恐れがあることから、統合任務部隊を組織し、対処することとしています。また、南海トラフ巨大地震については、中央防災会議防災対策推進検討会議の下に設置された「南海トラフ巨大地震対策ワーキンググループ」を始めとする各種・検討会において、政府としての最新の科学的知見に基づく最大クラスの地震を想定した検討が進められており、平成24年3月31日には震度分布・津波高に関する第1次報告、同年8月29日には、震度分布・津波高などに関する2次報告および人的被害・建物被害に関する被害想定が、平成25年3月18日にはライフライン・交通施設などに関する被害想定が公表されています。防衛省・自衛隊としても、中央防災会議における議論を受け、「南海トラフ巨大地震対処計画」の策定に向けた検討を進めています。さらに、東日本大震災の災害対策の見直しにより、平成24年9月6日の防災基本計画および同年10月19日の原子力災害対策マニュアルの改訂などを踏まえ、同年12月21日に防衛省防災業務計画 の改定を行ったところです。

防衛省防災業務計画

地方公共団体などとの連携を行っています。

災害派遣活動を円滑に行うためには、地方公共団体などとの平素からの連携の強化も重要です。このため、自衛隊は、各種防災訓練への参加、連絡体制の充実や防災計画の整合など地方公共団体との連携の強化を進めています。具体的には、自衛隊地方協力本部においては、「国民保護・災害対策連絡調整官」を設置し、地方公共団体との平素からの連携の確保に努めています。

また、東京都の防災担当部局に自衛官を出向させているほか、陸自中部方面総監部と兵庫県の間で事務官による相互交流を行っています。さらに、地方公共団体からの要請に応じ、防災の分野で知見のある退職自衛官の推薦などを行っています。こうした形で地方公共団体の防災関連部門などに在職している退職自衛官は、平成25年4月末現在、全国46都道府県・176市区町村に285名である。地方公共団体などに、自衛隊員としての経験や知識を活かした人的協力を行うことは、地方公共団体との連携を強化する上できわめて効果的であり、東日本大震災においてその有効性が確認されたところです。