平成25年度 防衛省シンポジウムの概要1「小野寺防衛大臣挨拶」

第1段落

今日はシンポジウムにお越しくださりありがとうございます。このあと、防衛政策局長より新防衛大綱についての説明があると思いますが、冒頭、私の方からなぜ今、新防衛大綱が必要かお話します。

第2段落

昨年、安倍政権は初めて日本の中でやってまいりました国家安全保障会議、つまり日本版NSCのもとで国家安全保障戦略というものを作りました。この国家安全保障戦略というものは、従前に日本には明確なかたちではなかった政策について初めて外交・防衛・安全保障全般に渡る内容について定めたものであります。そしてこれを受けて昨年、約10年間の防衛力整備の大綱であります新防衛大綱を定め、同時に5年程度の防衛力水準を定める中期防を作りました。今日はまずその防衛大綱を定めるにあたってのきっかけについてお話をさせていただきます。

第3段落

自民党政権になりまして、前政権からも引き続きではありますが、安全保障環境の厳しさはますます増しているところではあります。特に昨年の1月以降様々な事案が出てまいりました。例えば、北朝鮮の核実験が国際社会の中で批判を受ける中、今度はミサイル開発について様々な威嚇的発言がなされています。ちょうど昨年のこの時期は、日本の具体的な地名を挙げて初めての威嚇的発言をした年であります。このようなことに日本はしっかりと対応することが必要です。また同じく周辺国を見ると例えば、中国、尖閣諸島周辺で中国公船がたびたび領海に侵入し、また一昨年の12月12日ですが、初めて中国の航空機が尖閣周辺の領空侵犯を行いました。そして昨年の1月には自衛隊の艦船に対して中国海軍の艦船から射撃用のレーダー照射がされるという事案が続いております。私どもとしてこれからも日本の領土、領空、領海をしっかりとまもっていく中で防衛力整備を新たに見つめ直す必要がある、それが今回の大綱見直しのきっかけの一つであります。

第4段落

もうひとつは、我が国は実は6800もの島を持つ国であります。排他的経済水域は世界第6位ということです。この排他的経済水域においては最近レアメタル、レアアースあるいは貴金属などが見つかるような状況が続いております。今後共私どもとしては日本の貴重な資源のためにもこの領土領海に対しての防衛が重要という位置づけです。残念ながら日本の離島防衛、なかなか今まで手が回らなかったのですが、そういう中で例えば竹島など様々な離島について我が国の領土を守るという意味で防衛力整備が必要だと考えています。またそれと同時に島を守るというとそこに駐屯地ができ、警戒監視の部隊がいるということになりますがいざというときのために展開できる水陸両用の部隊、これも必要であります。また海洋海域は太平洋にまでおよぶ広いものになります。従前であれば日本海、東シナ海への監視が主要でしたがこれからは継続的に太平洋の地域を監視する高高度な無人機での警戒監視、これも重要な役割になります。今この導入に向けての検討に入っています。我が国としては警戒監視能力を拡充しつついざという時の離島防衛のための装備・部隊を充実させていく必要があります。

第5段落

防衛大綱のなかの大きな着目点として、防衛力整備をするときどれくらいの能力を我が国は持つべきか、そして将来的にはどのような運用になるか検討するなかで、統合的な運用というのが必要だと考えております。いままでの防衛大綱は、陸は陸、海は海、空は空という今まで別れた形での整備を行っていました。必要となる戦闘機の能力、戦車の能力、艦船の能力は、今までは陸海空それぞれで防衛力整備をしていました。ですが、実際の運用を考えますと、例えば、どこかの国が日本にミサイルを打ち込むという想定をした場合、これを防ぐためには一義的には海上自衛隊のイージス艦、ここで撃ち落す準備をします。そしてここで撃ち落とし漏らした場合、今度は陸上に配備した航空自衛隊が担任しますペトリオットが打ち落とす、といった二段構えで防衛を考えています。これらのレーダーサイトのこと、そして同時並行でおこるであろう沿岸の様なゲリラ、コマンド事案については陸上自衛隊が対応することになる。言ってみればひとつの事案に対しては陸海空が統合して運用していくことが大変重要になります。もう一つ、離島の防衛ということが起きた場合、この島を防衛するためには陸の部隊の速やかな展開が必要であります。装備や兵員を速やかにそこに移すためには当然海上自衛隊の輸送能力が必要となります。海上自衛隊が陸上自衛隊を輸送する中で、当然制空権を航空自衛隊が図る必要があります。何かの対応については陸海空これが必要なのです。先般のフィリピンでの海外派遣でも同様です。フィリピンの災害派遣のときに必要なヘリコプターを含めた人員、この主力は陸でありますが、それをフィリピンまで運び、速やかに展開するには海上自衛隊の力が必要です。そして真っ先に支援物資を運ぶためには航空自衛隊の輸送機が必要と、陸海空が統合したシミュレーション、能力の構築が必要となります。今回の防衛大綱の整備の中で初めて統合した形での能力評価を行い、それに対して何が必要かという視点で整備をしていきます。

第6段落

それからもう一つ、前の大綱から大きく変わった点として、災害に対する備えがあります。防衛省・自衛隊に対する国民の信頼度、内閣府の調査では、92%と大変高い信頼度になっています。昨年、朝日新聞と東京大学の調査で、組織の中で一番信頼度があるのは自衛隊、という調査があります。一番信頼度が低い組織はマスコミでありました。自衛隊に対して災害に対しての要請が強くなってきています。東日本大震災以来、災害にも十分に対応できるような装備を持つ必要がある、この観点から防衛大綱の整備をさせてもらいました。

第7段落

このアジアの地域、日本周辺、ここの安全保障環境が安定した地域にする。そしてそれがアジアの経済成長の中心であります東アジアが安定し、日本もあるいは中国も韓国もASEANの国も同じく経済的な利益を享受できます。そういう環境を作るためにはアジアの安定が何よりも大切だと思っています。今、日米関係とくに防衛分野では大変深い関係ができております。昨年だけでヘーゲル国防長官とは4度会談を行いました。アメリカだけではなくて昨年日本で初めて日ロの2プラス2が外務防衛関係の会合を行うことができました。今年初めには日仏の外務防衛の会合ができました。このように我々どもとしては、自衛隊の平和的な役割を対外的にアピールしていく考えです。

第8段落

最後にもう一つ、武器輸出三原則の問題があります。具体的にどのようなものを海外に持って行っているかということですが、例えば中国では旧軍時代を含め遺棄化学がありました。その化学兵器の除去のため日本から人を出し、化学兵器の除去をしておりましたが、防護服が必要となります。この防護服の日本からも持ち出しが実は武器の輸出になる。官房長官談話でこれを外すということで対応させていただきました。あるいは海外でPKOふくめ活動する場合、現地にブルドーザーとか重機を持って行って任務をするのですが、重機には銃を持つための銃座というものがついていて、それがついているだけで武器ということになる。これも官房長官談話で例外として扱った。たくさんこういう矛盾がある。今後、私が防衛省で働く中で、これは武器なのかこれは防衛装備品の範疇なのか、防衛装備品であれ海外平和活動目的であればこれは海外移転について国民の皆様に理解してもらうために積極的に説明していこうと思います。

第9段落

また、日本の優れた防衛装備があります。最近のトレンドでは、F35に見られるようにいくつかの新しい装備はいくつかの国で共同研究・開発、もしくは生産するという多国間の参加が中心となってきています。現在の制度では日本はこの枠組みの中に入っていけません。いつの間にか日本の技術が世界の中でおいていかれる、これも危惧すべき問題だと思います。一つ一つ慎重に日本の安全保障にとって、そして積極的な平和主義、他国での様々な支援、防衛分野をするために何が必要なのか、国会のなかで、また国民の皆様と一緒に議論をしながらより日本が世界に評価される国にしたいと思っています。そのような思いで今回の防衛大綱は我々が魂を込めて作ったものであります。今日の議論を聞きながら理解をしていただければありがたいと思います。

挨拶の様子 その1 挨拶の様子 その2

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