平成23年度 防衛省シンポジウム(自衛隊の国際協力開始20周年)概要

○ 12月12日、エプソン品川アクアスタジアム・ステラボールにおいて、「20周年シンポジウム 自衛隊国際協力開始20年」を開催しました。第一部では、神風英男防衛大臣政務官による基調講演、第二部では、有識者の先生方をお招きしたパネルディスカッションを行いました。

○ 冒頭、神風英男防衛大臣政務官より、自衛隊国際協力開始20年に当たっての基調講演を行いました。神風政務官からは、

  • 防衛計画の大綱における考え方等、自衛隊が国際協力を行う意義
  • 1991年の海上自衛隊掃海部隊のペルシャ湾への派遣を端緒としたこれまで20年間の活動の実績や成果
  • 陸上自衛隊中央即応集団の新編や国際平和協力センター等これまでの制度・態勢の整備
  • ハイチ国際平和協力業務やインドネシアにおける国際緊急援助活動等、最近の取組み
  • 南スーダン国際平和協力業務やPKO在り方に関する懇談会等、今後の課題

等について御紹介しました。

 
神風英男防衛大臣政務官による基調講演

○ その後、自衛隊の今後の国際協力の在り方等について、有識者の先生方によるパネルディスカッションを行いました。

・モデレーター: NHK解説主幹 島田 敏男 先生
・パネリスト: 海洋政策研究財団会長(元防衛事務次官) 秋山 昌廣 先生
朝日新聞編集委員 加藤 洋一 先生
慶應義塾大学准教授 神保 謙 先生
専修大学教授 広瀬 崇子 先生
防衛省顧問(元統合幕僚長) 先崎 一 先生
(50音順)

パネルディスカッションでの主な議論は、以下のとおりです。

秋山 昌廣先生:

 カンボジアPKOにおいて、安全なところに自衛隊をまず最初に派遣したということは、自衛隊のPKOを中心にした国際協力の発展の基礎になったと思う。日本のPKOは、外交との組み合わせなどいい活動をしてきており、それが評価されている。他方で、武器使用問題など国際的基準と異なる点が日本の場合特徴となっており、これには良い面悪い面があるが、悪い面について議論していく必要がある。また、日本は、長い間PKOを実施し、結果を残してきているが、国益から見た戦略というのは、積極的にはなかったのではないか。

加藤 洋一先生:

 この20年間、自衛隊の活動自体はかなりうまくいったと思う。しかし、政治の判断として自衛隊の海外派遣をうまく使っているかというと少し疑問もある。また、政策評価が十分でない。正当な理由で派遣されたか、効果は挙がったか、国益に資する形で行われたが、などの点について検証が必要。武器使用については、国民の支持を考えることが重要。自衛隊を海外に派遣する場合、どの地域にしろ、日本なりの判断基準を持ち、どういう地域秩序をどうやって作るかといった、大きな枠組みからの考え方が必要だ。

神保 謙先生:

 20年間、自衛隊は大変立派な活動をしてきたと思うが、新しい流れの中で制度のミスマッチが生じているのではないか。日本が国際的なスタンダードに合わせていくというのは当然必要。今後、新しい国際協力の姿を考えるにあたっては、①日本の安全保障の問題そのものである国際協力にしっかりとコミットすることが国益につながるという意識を持つこと、②国益との結びつきを議論してそこで初めてミッションの役割を法律や政策の中で決めていくこと、③何故一見国益との関わりが見えづらい場所で隊員が命をかけてミッションに参加できるかということに思いを致すこと、これら3点が重要。

広瀬 崇子先生:

 南アジアへよく行くので、現地での自衛隊の活動の評判を聞くが、自衛隊の活動は大変評判がいい。現地の文化とか宗教とか生活の慣習であるとか、そういうものを尊重して、尊敬の念を持って接しているとことがその理由だと思う。模範的な例として伸ばしていっていただきたい。他方、武器使用の問題で言えば、日本の自衛隊が他国の部隊に守ってもらいながら任務を遂行するというのは、かえってお荷物になる可能性もある。日本の行う支援は高く評価されているが、そこで自己完結しない海外派遣というのは問題があるのではないか。ただし、派遣をするかどうかの政治的決定は極めて重要で、日本独自の判断に基づき慎重かつ賢明な政策決定が求められる。

先崎 一先生:

 国際協力は自衛隊の得意分野の1つであり、ノウハウが蓄積され、人材が育ってきた。自衛隊はどんな分野であれ、任務を頂き、必要な権限をもらえばやっていける自信と力を持っている。一方、PKO法は実行できる事項しか示されておらず、実行できない事項を示す形式にする等、自主裁量の余地と権限をいかに与えるかを考えるべき。また、国際協力は、官民一体となって対応することが重要である。自衛隊の国際協力は、自衛隊の国際化、近代化、人材育成に大きな役割を果たしており、国外でも活動の場が与えられることは、部隊の士気を向上させ、日本のためにもなる。

島田 敏男先生:

 政権交代時代に入り、安全保障の分野では、方向性を同じくする人たちの中で、より高い目標のために協議を進めていく必要がある。今日の議論を、参加者皆様のそれぞれの立場で生かしていただき、安全保障と自衛隊の能力の公共財としての活用ということについて、さらなる議論を望む。

 
有識者の先生方によるパネルディスカッション

(以上)

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