本日、令和8年度防衛省入省式を執り行うにあたり、防衛大臣として一言申し上げます。皆さん、入省おめでとう。
本日、防衛省の一員として新たな一歩を踏み出された皆さんを心から歓迎します。そして、数ある進路の中から防衛省を選択し、国防という崇高な使命に志す決断をした皆さんに対して、防衛大臣として深く敬意を表します。
今、我が国を取り巻く安全保障環境は、かつてないほど急速に厳しさを増しています。ロシアによるウクライナ侵略が示すように、国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、既存の秩序は深刻な挑戦を受けて、新たな危機の時代に突入しています。
いかに厳しい時代、環境であろうとも、国民の命と平和な暮らし、そして我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜くことは、政府の最も重大な責務です。そして、自衛隊は、その最後の砦です。
皆さんは今日この瞬間から、防衛省・自衛隊にとって、欠かすことのできない大切な一員となります。本日は、私から、そんな皆さんに、今後、ぜひとも心に留めておいてほしいことをお話しします。
それは、皆さんがこれから取り組む仕事は、私の防衛大臣としての判断と意思決定を支え、自衛隊が任務を果たす上で不可欠の要素となること、ひいては、我が国の将来を左右する重要なファクターになるものだということです。
実例として、ここ最近における私の防衛大臣としての仕事を紹介しましょう。
例えば、政策の企画・立案について。
我が国は今、安全保障政策の基本方針を定める国家安全保障戦略などの「三文書」について、今年末までに改定すべく検討を進めています。防衛省では、私、副大臣、両政務官のもとに次官と統幕長を始めとする各部局の長を集め、日々、侃々諤々の議論を重ねているところです。
直近では、今後の自衛隊における無人機の活用等について議論しました。ウクライナを始めとする諸外国において、無人機の大量運用を含む「新しい戦い方」が現実に行われているという事例を示すとともに、我が国が今後採るべき防衛力の「変革」の方向性について、素案を作り、その判断に資するよう論点を整理してくれたのは、事務官・技官である皆さんの先輩方です。
また、記者会見や広報について。
国民の皆様に対する説明責任を全うし、現下の厳しい安全保障環境と、防衛力強化の必要性について、正しい理解を持っていただくため、情報発信の強化は欠かすことのできない要素です。
このため、毎週2回という高い頻度で、私、報道官、統幕長、そして陸・海・空の各幕長による記者会見を行っています。防衛省ほど会見を多く、充実して実施している省庁は他にありません。
どのような発信が効果的かを常に考え、最適な場面を設定し、応答要領を起案し、報道機関とも調整しながら、発信までの段取りをつけてくれているのも、皆さんの先輩方です。
SNSを始めとする様々な媒体による情報発信も強化しています。ときに、諸外国の発信が「情報戦」の様相を呈するような場合においても、素早く、正確に、かつ充実した内容を発信するため、防衛大臣の下に事務官・技官・自衛官がタッグを組んだ特別のチームを立ち上げたところです。このチームをまとめ上げているのも、皆さんの先輩方です。
そして、国会審議への対応について。
直近の予算委員会では、連日、当初予算の審議が行われています。防衛省としても、防衛力強化のために必要な装備品の取得経費や、隊員の処遇改善のための諸手当などといった様々な予算を計上しています。
国会での審議にあたっては、その必要性についての理解を得るため、防衛大臣として何度も答弁に立つこととなります。その際に参考とする答弁資料は、私と皆さんの先輩方とで、共に作り上げているものです。
さらに、国際関係の構築・強化について。
地域の平和と安定の確保は一国のみではなしえません。我が国自身の防衛力強化と同時に、同盟国・同志国等との連携のネットワークを重層的に構築し、抑止力・対処力を強化することが極めて重要です。諸外国におけるカウンターパートとの間で、個人的な信頼関係を含めて良好な関係を築くことも、私の防衛大臣としての使命のうちの一つです。
先日の日米首脳会談に先だっては、私とアメリカのヘグセス戦争長官との間で、2度にわたって電話会談を行いました。また、同じ週には、イタリアのクロセット国防大臣、オーストラリアのマールズ副首相兼国防大臣、スリランカのジャヤセーカラ国防副大臣、シンガポールのバラクリシュナン外務大臣らとの会談を行い、週末には、ドイツのピストリウス国防大臣を私の地元横須賀にお招きして共同声明を発表したところです。
こうした諸外国との関係構築・強化にあたっては、事前の調整や段取りはもちろんのこと、ホスピタリティを発揮するアイディアについても、皆さんの先輩方の本領が発揮されています。
皆さんには、今後、こうした仕事の一翼を担ってもらうこととなります。そして、今、挙げたものは、ほんの一部ですが、防衛大臣としての私の仕事が、職員一人ひとりの支えの上に成り立っていることを、日々、強く実感しています。この場をお借りして、私を支えてくれている職員の皆さんに、心から感謝を申し上げたいと思います。
また、今日は、皆さんの入省を歓迎するため、国歌斉唱にあたって、中央音楽隊の皆さんに演奏していただきました。音楽隊の威風堂々たる演奏が、皆さんの心に、使命感と責任感の火を灯してくれたものと思います。
その大切な瞬間を共に作ってくれた音楽隊の方々に、心から感謝します。
新規採用者の皆さん。改めて、入省おめでとう。
皆さんは、自衛官とともに、防衛力の中核を担う存在です。そして、防衛省は、そんな皆さんの一人ひとりが、持てる可能性を最大限に発揮して、活き活きと働ける環境を整えていく必要があります。
こうした考えのもと、先月、防衛省で働く「事務官・技官等」の働きがい向上を目的とした「人財戦略」を策定しました。防衛省は、この「人財戦略」を踏まえて、一人ひとりの職員が、自らの成長や国防への貢献についての実感を持てるような組織を実現していきます。
皆さん、ともに防衛省を、今いる人を大切にする組織、「世界で最も職員を大切にする組織」とすべく、支え合い、助け合っていきましょう。
皆さんが、これから働いていく上では、判断に迷うこともあるでしょう。意見が衝突することもあるでしょう。そんなときには、臆することなく、周囲の仲間を頼ってください。そして、皆さん自身もまた、仲間から頼られる存在になってください。そのためにも、防衛省だけに閉じないネットワーク作りや、防衛や安全保障以外の幅広い分野にも、好奇心、探究心を持ち続けてください。
皆さんのこれからの成長と活躍を心から期待し、私の訓示と致します。
令和8年4月1日
防衛大臣 小泉 進次郎